対談 2017.12.26
黒川勇人さん×ソーメン二郎さん|【第1回】生粋のマニアに聞く「缶詰とそうめん」の超絶魅力的な世界。実はこんなに奥深かった!
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- 黒川勇人
- 缶詰研究家、タレント。物心ついたときから缶詰に魅了され、2004年から缶詰ブログを開始。マニアックで缶詰愛溢れるブログが話題を呼び、メディア出演をはじめ著書も多数出版。近著に『レジェンド缶詰究極の逸品36(講談社)』、春風亭昇太さんと共著の『旬缶クッキング(ビーナイス)』など。雑誌「一個人」で缶詰コラム連載中。
- 缶詰blog
- 黒川勇人 Twitter|@hayatino
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- ソーメン二郎
- そうめん研究家。そうめん発祥の地と言われている奈良県桜井市生まれ。さらに本家が三輪そうめん製麺所であることから、生まれたときからそうめんと深い関わりをもっている。現代人のそうめん離れを嘆き、テレビやラジオ、雑誌といったメディアを通してそうめんの魅力やレシピを伝え“復権活動”に勤しんでいる。『簡単! 極旨! そうめんレシピ(扶桑社ムック)』が絶賛発売中。
- 「そうめん道」ブログ
- ソーメン二郎 Twitter| @somenjiro
アマノ食堂に訪れるゲストの“おいしいお話”をお届けする「お客さん対談」。今回の対談テーマは、「缶詰」と「そうめん」。
ゲストは、物心ついたときから缶詰に魅了され、缶詰への愛が溢れるブログが話題の缶詰研究家・黒川勇人さんと、実家が三輪そうめん製麺所(!!)という、生まれながらにしてそうめんに深い関わりを持つそうめん研究家・ソーメン二郎さん。
これまで並び評されたことなどない(はずの…)「缶詰とそうめん」。実は、アレンジ自在&コスパ抜群という共通点を持ち合わせていました!今回はその知られざる魅力と、おもてなし料理にもなる究極の缶詰め&そうめんメニューをご紹介します。お2人の熱い想い溢れるマニアックな世界を全2回でお届け!
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—「缶詰」と「そうめん」。それぞれの魅力を広めるために活動しているお2人は以前から親交があり、一緒にイベントを開催することもあるのだとか。まずは、お互いの活動を教えてもらいましょう。
僕が黒川さんを知ったのは、2007年にブログ『缶詰blog』)を見つけたのが始まりでした。それがすごく面白くて、「缶詰のイベントをやりましょう!」って本業のイベント・イベントプロデューサーとして僕からメールを送ったんです。
あ〜そうだったね。もう出会って10年近くなるね。
歴史ある「そうめん」の復権を!
(ソーメン二郎さん)
「缶詰とそうめんって合うよね!」って意気投合したんですよね。どちらも日本における“加工の食文化”代表だと思うんです。缶詰もそうめんも知らない人はいないけど、どこかないがしろにされている感ってあるじゃないですか(笑)。復権させたい、盛り上げたい!という気持ちが共通していたので、ご縁を感じました。
そうめんってさ、昔はよくお中元でもらってたよね?
そうですよね。もっと昔にさかのぼると、そうめんは平安時代から皇室御用達の献上品だったし、みんなで流しそうめんをしてワイワイ楽しめる料理として昔から親しまれていたんです。でも、今は家庭で作るそうめんレシピはワンパターンになりがち。海外でもラーメン・うどん・蕎麦はかなりの知名度なのに、そうめんの認知度は低いんです。
たしかに国内でも、うどん屋や蕎麦屋はよく見かけるけど、そうめん専門店って見たことないかも。昔から食べられている割にはあまりフィーチャーされないよね。
そうなんですよ!歴史はうどんや蕎麦よりも長いのに…。もっとそうめんを盛り上げたいな〜!と思って色々考えまして。で、黒川さんが“缶詰博士”と名乗っているように、僕も肩書きが欲しいなと。
うんうん。
ある時、たまたま某週刊誌の編集者とそういう話をしていたら面白がってくれて。そうめんの復権活動を記事にしてくれるというので、名前をどうしようかと考えて生まれたのが、「ソーメン二郎」でした(笑)。
いいよね〜!「ソーメン二郎」って名前!
“ソーメン二郎”という名前が生まれた背景に、黒川さんの存在は大きかったです。そういえば、近々ついに海外進出も果たすんです。ベトナムで流しそうめんをしたりして、日本とベトナムの食の外交ができたらいいなと。
海外進出?すごいなぁ。
「僕たち、赤い糸じゃなくて、白い糸で繋がってるよね…!」とか言いたいんです(笑)。そういったいろんな活動を行ううえで、黒川さんにはいつも刺激を頂いています。
知られざる「缶詰のこだわり」を伝えたい
(黒川勇人さん)
僕は“缶詰博士”として、缶詰の素晴らしさを広めるために「缶詰産業の発展に寄与すること」を大切にしていて。でも僕は消費者の立場でもあるから、缶詰メーカーに取材をして、あまり知られていない発見をした時が一番面白いね~。例えば、『ホテイフーズの焼き鳥』は本当に炭火で焼いている、とかね。
あれ、本当に炭火で焼いているんですか!? コンビニでよく見かけますよね。
そう。職人さんがちゃんと炭火で焼いてるの。1日8時間ぐらい、ずっと40度以上あるような真っ赤な炎の現場でひたすら焼き続けてる。びっくりするよね。
ちゃんと職人さんがいるんですね…!
今の渡邊さんという方が3代目炭火焼き職人。香ばしく焼くけど、中までは火を通さない。そういうこだわりを大事にしているのを知ると、もっとこの商品を広めたい!って思う。缶詰と職人って、なかなかイメージが結びつかないだろうけど、あの缶の中には職人たちのこだわりや歴史がギュッと詰まってるんだよなぁ。
歴史は大事にしていきたいですよね。そうめんにも1200年の歴史があるんですけど、それが途絶えてしまう危機感はあります。
そうめんも職人のなせる技だもんね。
今、そうめん職人の平均年齢は大体70歳前後なんですけど、後継ぎ不足が課題なんです。このままだと、10年後20年後においしいそうめんを作れる人がいなくなるかもしれない…と。そんな崖っぷちの状況をどうにかしたい。
—「缶詰」と「そうめん」に対する熱い想いを持つお2人。やっぱり日頃から食べる機会も多いのでしょうか?
食べたのは1000種類以上、年間だと900缶
(黒川勇人さん)
今まで1000種類以上は食べましたね。年間だと900缶くらいかな。1日中外にいるとなかなか食べられませんけど、それでも平均すると1日3缶くらいは食べてるかな。特に、春と秋は新商品が多く出るので、1日20缶以上試食することもあるな~。
1日20缶!すごい量…。僕は、実家がそうめんの製麺所(※亀田 植田製麺所)なので、幼い頃からお米じゃなくそうめんを食べていました。それからもほぼ毎日食べているから主食の感覚に近くて。日本人は基本お米が主食だから、「毎日お米を何杯食べてる?」って聞かれても当たり前のことすぎますよね。その感覚に近いです。
二郎さんの本家である「植田製麺所」
二郎さんの実家に遊びに行った時、夜飲んで帰ってきたらお母さんがにゅうめんを出してくれたのが忘れられないなぁ。寝る前や最後の締めにもぴったりで、おいしかったな〜。
そうめんって一般的に夏のイメージが強いと思うんですけど、実家だと季節に関係なく年中そうめんが出てきますからね。僕にとって、そうめんはお米と同じです!
—もはや日常生活で欠かせない存在でもある「缶詰」と「そうめん」。夢中になったきっかけを教えてください。
そうめんがあるのが当たり前の環境だった
(ソーメン二郎さん)
僕が生まれ育った奈良県桜井市は、そうめん発祥の地なんです。さらに本家が三輪そうめん製麺所でしょう?だから、自然とそうめん業界を盛り上げたいという気持ちが芽生えたし、1人でも多くの人にそうめんの魅力を知ってもらいたいと思うようになりました。
素晴らしいね。
「そうめん=ソーメン二郎」って思ってもらえるようになりたいですね。「またなんかソーメン二郎が活動してるな。あ、もう夏か〜」みたいに思い出してもらえるような存在になれたら。CMでケンタッキーのカーネルサンダースを見て冬を感じるような感じですね(笑)。黒川さんも、小さい頃から缶詰を食べていたんですか?
そうだね。初めて缶詰を意識したのは4歳の頃かな。
え!そんなに早い時期から…。
当時、五目飯の大きな缶詰が家にあってさ。よく父親が鍋の中に(缶詰を)缶ごと入れて湯煎してたの。その様子を「何をやっているんだろう?」って不思議に思って見てたんだけど。20分くらい温めてた缶詰のフタを開けたら、アツアツの五目飯ができあがってて。
うわ〜想像するだけでおいしそう…!
おいしいんだよ。にんじん・鶏肉・しいたけ…とね、具がたくさん入っていて。あれにはものすごい衝撃を受けたな〜。初めて缶詰の存在を知ったのがその頃なんだよね。それから台所をよく見るようになって、鯖の缶詰とかコンビーフとか色々ある!と気付いたりしてさ。物心ついた時から缶詰は身近にあったな。
子供時代、缶詰のポテンシャルに感動
(黒川勇人さん)
何より、缶詰に一番驚いたのは、「開けてすぐに食べられる」こと。
缶詰の大きな魅力ですよね〜。
僕、小さい頃から料理が好きで、親も働いてたから、夏休みになると自分と妹の分の昼ごはんを作ってたのね。その時に缶詰をアレンジするっていう技を覚えて。
アレンジですか。かなり上級者ですね(笑)。
そのまま食べるだけだと飽きちゃうじゃない?だから、「秋刀魚の蒲焼き」の缶詰の汁気を落として、片栗粉をまぶして、フライパンで焼いて“鶏の竜田揚げ風”にアレンジしてみたの。これがまたおいしくて。
おいしそう!昔から缶詰が大好きだったんですね。
でも当時は、自分が他の人以上に“缶詰好き”だという自覚はなくて。この間も中学時代の同窓会に行ったら、「そういえば、合宿にオイルサーディン缶詰とか持ってきてたよね〜」って言われて…。普通は持ってこないよって。あと、コンビーフ缶を開けるための鍵を持ち歩いたりもしてた(笑)。今思うと、昔から人一倍“缶詰好き”だったんだろうね。
自覚したのは大人になってからなんですね。
そうなんだよね。缶詰が好きだと自覚してからブログを始めるようになって。
自分のルーツって、時間が経ってから気付くことが多いですよね。僕もまさか缶詰博士と並んで、ソーメン二郎っていう名前でインタビュー取材を受ける日が来るなんて、10年前は想像もしていませんでした(笑)。
[第1回]生粋のマニアに聞く「缶詰とそうめん」の超絶魅力的な世界。実はこんなに奥深かった!
[第2回]缶詰×そうめんの絶品コラボレーション!達人のおすすめレシピからアレンジ術まで必見
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