読み物 2018.01.22
【第3回】「おしるこ」についてぼくが語ること【四コマ漫画】
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さむーい日に食べたくなるものといえば「おしるこ」ですよね。あたたかいおしるこをこたつで食べる、これ日本人の幸せの極み!
ところで、おしることいえば「こしあん派」か「粒あん派」で分かれるかと思いますが、皆様はどちらでしょうか? 私は断然こしあん派だったのですが、ここ最近、心に変化が現れてきました。そう、粒あんの台頭です。
どんな心境の変化があったかを説明するのはちょっと難しいので、ショートストーリー形式でどうぞ。
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こしあん:「ねえ!ちょっと!」
粒あん:「私たちのどっちがいいの!?」
− ぼくがはじめてその選択を迫られたのは、もう何十年も前のことだ。こまかいことは覚えていないけれど、その日がとても寒かったことは覚えている。北海道の寒い冬だった。
当時のぼくは、まだ年端のいかぬ少年で、なにかを決断するには若すぎたと思う。それでも自分なりに決めたのは「ぼくは、こしあんのほうが好きです」ということだった。
正直、どちらも好きだったけれど、ことばの魔力というのは不思議なもので、自分がこしあんを好きだと宣言したとたん、それは私の中での決定事項となり、見事に「こしあん派」となったのだった。
こしあん:「キミならきっと選んでくれると思った!」
喜ぶこしあん。その日以来、粒あんはぼくの前から姿を消した。
それから、ぼくとこしあんはいつも一緒だった。
おしるこはもちろん、大福も、あんパンも、おはぎも、すべてこしあんを選んだ。あの日ぼくが言った「こしあんのほうが好きです」という言葉は、当然のこととして体にしみついていた。
大人になると、時には酒に酔った勢いで「粒あん?こしあんじゃなきゃ、あんこじゃないね!」という汚い言葉を発したこともあった。この頃にはもう、こしあん以外のことは考えられなかった。
そして時が経ち―― ぼくが30歳になった冬のある日。
粒あんが突然、あらわれた。
ぼく:「き、きみは……」
粒あん:「……久しぶりね。元気にしてた?」
ぼく:「ま、まぁまぁかな……」
粒あん:「よかった! ずっと心配してたんだ」
少し気まずい顔をするぼくとは対照的に、粒あんは昔と変わらない、元気いっぱいな粒々姿だった。
それからぼくたちは少しずついろんな話をした。
幼い頃にこしあん派を宣言してから、あたかも自分がこしあんしか愛せないように思い込んでいたこと。本当は粒あんのことも好きなのに、ずっと素直になれなかったこと。そんなことを少しばかり後悔していること。
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粒あん:「そうだったんだね」
粒あんの優しい言葉に、ぼくは声を詰まらせてしまった。いくら後悔しても、ぼくと粒あんの空白の20年間は取り戻せない。だからといって、こしあんと過ごした20年間に後悔はない。
粒あん:「ぜんぶ、わかってるよ」
ぼく:「……なにがだい?」
粒あん:「キミはこしあんのことが好き。でも本心では私のことも好きなんでしょ?」
ぼく:「……でも、そんな不義理なことは許されない」
粒あん:「それでもいいじゃない!」
ぼく:「!!!!」
粒あん:「いいじゃない、じゃあもう一度決めましょうよ。ねえ、こしあん?」
そう言った粒あんの視線の先には、こしあんの姿があった。
ぼく:「こしあん……」
こしあん:「今まで縛りつけてごめんね」
ぼく:「そんな……縛り付けていたなんて……」
こしあんと粒あんは何かを話しながらこちらに歩いてくる。ふたりが並んでいるのを見るのは20年ぶりだ。ぼくはなんだか恥ずかしいような気持ちと同時に、このふたりが一緒にいることが、少しだけ嬉しかった。
こしあん&粒あん:「じゃあ久しぶりに聞くね」
ふたりはぼくを見つめた。
こしあん:「ねえ!ちょっと!」
粒あん:「私たちのどっちがいいの!?」
このセリフを聞くのも20年ぶりだ。
でも、あの時といまのぼくは違う。月に100円のお小遣いをもらって喜んでいたあの頃とは違う。立派な大人だ。ぼくはふたりを見つめ返し、こう答えた。
ぼく:「そんなの、どっちも好きに決まってるじゃないか」
その言葉に、ふたりはなんて答えたか―― それは、ぼくたち3人だけの秘密にさせてほしい。ただ、もう過去を振り返って後悔なんてしないはずだ。だってそれが、僕の選んだ答えなのだから。
(完)
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長々と失礼いたしました。
「こしあん派」vs「粒あん派」論争における私の気持ちを書かせていただいたのですが、簡単にまとめると
こしあん派だったけど、結局は粒あんも好き
というだけの話です。(だったらそう言え)
というわけで、今回はあんこがおいしいアマノフーズの「おしるこ」をいただきまーす!
私の地元である、北海道産あずき使用です。料理界における「北海道産」の説得力の強さは本当にすごいですよね。北海道に生まれてよかったー!
お椀に取り出してみました。某あずきのアイスのような見た目です。
このまましゃぶりつきたい気持ちになりましたが、ガマンガマン。ゆっくりとお湯を注ごうと思ったその時……私は気づきました。
「餅が!ないじゃないか!」
これは大変なことです。おしるこに餅がないというのは、カレーライスにライスがないのとほぼ同じことです。眼鏡なのにレンズがなくてフレームだけだというのとほぼ同じことです!
というわけで餅を焼きました。ちょうど正月明けで、わが家には餅が豊富です。
これぞ!理想のおしるこの姿!
こたつに入りながらいただいたのですが、おしること餅の相性が良すぎて大変。我が家では餠の消費量が4倍以上になってしまうという事態になっております。
……その結果どうなったか。
餠みたいなやわらかボディになっていることは言うまでもありません。
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