対談 2018.02.16
女優・深川麻衣さん×監督・今泉力哉さん|想いが対等な恋愛なんてない?話題の映画『パンとバスと2度目のハツコイ』の見所に迫る!
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- 深川麻衣
- 1991年3月29日生まれ、静岡県出身。乃木坂46の1期生として2011年8月に加入。12年8月発売の3rdシングル「走れ!Bicycle」で”選抜メンバー”に初選出。2016年3月発売14thシングル「ハルジオンが咲く頃」で”センター”を務める。同年6月「乃木坂46真夏の全国ツアー2016〜深川麻衣卒業コンサート〜」にてグループを卒業。
2017年は、舞台「スキップ」や、ドラマ「世にも奇妙な物語‘17秋の特別編ポニーテール」(17/CX)での主演など女優としての活動で注目を集め、『パンとバスと2度目のハツコイ』では、初めての映画出演にして初主演となる。 - 『パンとバスと2度目のハツコイ』
- 深川麻衣 Instagram
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- 今泉力哉
- 1981年福島出身。2010年に音楽ドキュメンタリー『たまの映画』で商業監督デビュー。『こっぴどい猫』(2012年)が数々の海外映画祭で上映。山下敦弘監督とともに共同監督したドラマ「午前3時の無法地帯」や乃木坂46の個人PVなど、映画以外にもその活動の場を広げている。『サッドティー』(2014年)では男女の一筋縄ではいかない恋愛模様を描き注目された。長編映画作品には『知らない、ふたり』(2015年)『退屈な日々にさようならを』(2016年)などがある。
- 今泉力哉 Twitter
アマノ食堂に訪れる、お客さんの“おいしいお話”をお届けする「お客さん対談」。今回の対談テーマは、「恋愛観」について。ゲストは、2016年に乃木坂46を卒業し、現在はドラマや舞台で活躍する深川麻衣さんと、恋愛映画の旗手として注目を集める監督・今泉力哉さん。
2月17日(土)公開の映画『パンとバスと2度目のハツコイ』でタッグを組んだ主演・深川麻衣さんと今泉監督によるスペシャル対談。映画の見所をはじめ、本作にちなんだ「男女の恋愛観」にまつわるお話お話もたっぷりお届けします♪
—今回、映画初主演を務める深川さんと、メガホンを取った今泉監督。初のタッグを組んだお2人ですが、お互いの第一印象は?
映画は乃木坂46在籍時から興味がありました
(深川麻衣さん)
僕、数年前から乃木坂46のシングルの特典映像「個人PV」の撮影を手伝っていたんです。深川さんがグループ在籍時はご一緒したことはなかったんですけど、知り合いの監督から深川さんのことはよく聞いていました。
わ、嬉しくもありちょっと恥ずかしいですね。
他のメンバーから“聖母”っていうあだ名を付けられているとか。あと、グループのなかで最年長だったのも少し意外でしたね。
聖母…(笑)。私も実は以前から今泉さんが撮る他のメンバーの映像を観てたんですよ。だから今回この映画でご一緒できると聞いた時はすごく嬉しかったんです。
いや〜それは嬉しい。最初にお会いしたのは関西テレビのロビーでしたっけ?
そうですね。
前から知ってはいたけど直接面識はなかったじゃないですか。だから、最初はまず挨拶して打ち合わせして…みたいな流れを一応冷静に想像していたわけですよ。でも、いざロビーでバッタリ会うと「あっ!深川麻衣だ!」って。顔には出さなかったけど心の中でうわ〜って思ってました(笑)。
え〜本当ですか(笑)?
いや、本当そうなんですよ。
私もお会いするときはちょっと緊張していました。乃木坂46時代から映像の世界には興味があったんですけど、グループにいた頃は1人の女優として活動することはなかったし。右も左もわからない状態で大丈夫かなと内心不安で。でも、現場で今泉監督が和やかな雰囲気を作ってくださったおかげですごく助けられました。この作品に出会えて本当に良かったなって思っているんです。
穏やかな人柄と真面目さが主人公と重なる
(今泉力哉さん)
今回の『パンとバスと2度目のハツコイ』はオリジナル脚本だから、深川さん自身のキャラクターを役柄に反映させたいと思って。事前にお話をさせてもらったじゃないですか。
そうでしたね。
深川さんと話をしてみたらすごく穏やかで、何かこう、非の部分が全然出てこなくて(笑)。
そんなことないですよ!
そんなことあるんです。僕は登場人物のキャラクターを考える時に人間の弱い部分を探すことが多いから、結構迷ったりもして。でも今回深川さんが演じた市井ふみ(※1)の「真面目に考えすぎてしまう所」って、深川さんの人柄と重なる部分があるんじゃないかと。
※1 深川麻衣さんが演じる役柄。「私をずっと好きでいてもらえる自信もないし、ずっと好きでいられる自信もない」と独自の結婚観を持つ。
そうですね。ふみと似ている部分や共感できる所はたくさんあって…あ、でも1つだけ共感できない部分がありました。
どこです?
数年付き合っている恋人からプロポーズされるシーンで、主人公のふみはそれを断ってしまうんですよね。でも私だったらプロポーズされるくらいまで真剣に付き合っていたら、きっと喜んで返事しちゃう。そこは共感できなかったなぁ。
なるほど。長年交際して真剣にプロポーズされて、それを断るなんて「今までの関係は何なんだろう」って、まぁ普通は思いますよね。
すでに結婚している友人から、ふみに近い意見を聞くこともあるんです。だから彼女の気持ちもまったく理解できないわけではないんですけど、これからの長い人生をずっと添い遂げるとことを考えると慎重になってしまうのかな。んー…でも実際に自分がその立場になってみないとわからないですね。難しい!!
—演じる側と作る側の立場であるお2人。作品を通して、それぞれが「こだわったこと」は?
「人を想い続けること」って難しい。
共感できるセリフが随所にあった
(深川麻衣さん)
役を演じるにあたって違和感がないようにしたいと思いました。今回パン屋さんで働く主人公を演じたので、実際にパン屋さんの製造現場を見せてもらったり、お店の方の店頭での様子をを見て参考にさせてもらったりもしました。
大変でした?
レジ打ちのアルバイト経験はあったので、意外とスムーズにできました(笑)。
撮影中につまずいたこと、ありませんでしたか?
台詞が長くて不安な場面はたくさんありましたね(汗)。例えば、片想いしているたもつ(※2)に向かって叫ぶシーンとか。でもそのときの主人公の気持ちとか、すごく共感できるんです!1人の人をずっと想い続けることへの不安やモヤモヤする感じ、その立場だったら私もそう思うかもなんて想像したりして。
※2山下健二郎さんが演じる役柄(湯浅たもつ)。市井ふみの中学時代の初恋の相手。別れた奥さんのことを今でも想い続ける。
お互いの想いが「対等な恋愛」はない。
そんな人間模様を描くのが楽しい
(今泉力哉さん)
よく恋愛映画の脚本を考える時に思うのは、「たとえ両想いだとしても、お互いの想いが五分五分のことはない」んじゃないかと。
そうなんですか?
片想いをしている時って相手の嫌な部分まで全部を知り尽くしていないじゃないですか。だから理想の関係でいられる。でも、夫婦やカップルになると、片方の想いが強くなったり、時には立場が入れ替わることだってあるし。そういう“対等ではない感情”に僕はすごく興味があるんです。今回もそんな人物の想いが交錯する人間模様を描きました。
今泉さんがストーリーを考える時は、実際のカップルのお話を参考にしたりするんですか?
昔は結構ありましたね〜。『サッドティー』という映画のセリフを喫茶店で考えていた時に、後ろの席でまだ付き合ってない男女が座っていて。でも男性のほうは、明らかに女性のことを好きなんですよ。
なんかそれ、いいですね。くすぐったい。
でしょう。物語として完成していたから2人の会話をこっそりそのまま使ったことがあります(笑)。まるっと作品に反映したのは、その一度きりですけどね。
今泉さんご自身の恋愛観を反映されたりは…?
僕は結構反映しまくってますよ。
え〜!その話、すごく気になります。詳しく聞きたいです!
自分の恋愛観や周りの話を聞いて理解できる部分を参考にすることは多いかも。あと、僕結婚しているんですけど奥さんも映画監督なんですよ。作風は全然違うけど、お互いに相談することもあります。僕がよく「恋愛は信じられない」みたいなテーマで脚本を書くので、妻にそれを読ませると「離婚したいの?」って冗談ぽく言われたことも…(笑)。
—劇中では、深川さん演じる市井ふみが偶然初恋の相手に再会したところから物語が始まります。お2人が「初恋の相手と再会」するなら、どんなシチュエーションが理想ですか?
悩むなぁ。たとえば、「辛いもの」とか食べに行きたいですね。
え、どうして(笑)?
緊張をごまかすための「辛い鍋料理」
(深川麻衣さん)
昔は辛い料理って苦手だったんですけど、最近好きになってきたんです。初恋の人との再会ってお互いに気があるとかないとか関係なく、絶対に緊張するじゃないですか。
うんうん。
だから静かな雰囲気のお店じゃなくて、賑やかでワイワイしたお店で辛い鍋とか食べて、「これ辛いね〜!」って話題になるようなものを食べに行きたいです。とにかく緊張をごまかしたい(笑)。
なるほどね。
今泉さんはどうですか?理想の再会シチュエーション。
2人でどこかに行くなら、劇中で2人が再会したような居酒屋かな。肩肘張らないような、自分が行き慣れているお店。
居酒屋みたいな緊張しない場所だと自然と会話が盛り上がりそうですよね。今泉さんは料理をされたりもするんですか?
食材がかわいそうだから作らないんです。
「食材がかわいそう」(笑)。
そうめんとか炒飯とか簡単な料理でも、僕が作ると全然うまくできなくて。最近は男性も料理できたほうが良いっていうじゃないですか。でも、もし相手の男性が自分より料理上手だと女性がプレッシャーを感じちゃうかもしれないし。…とまぁ、それは自分が作れないからただの言い訳ですけど(笑)。
「調味料が足りない」とか味付けに関して細かく言われるのはちょっと嫌ですね。「それなら自分で作ってよ!」って、たしかに思っちゃうかも。
男性に作ってもらいたい料理はありますか?
私が和食を作るのが好きなので、洋食を作るのが得意な人だとバランスが取れるのかなって思います。パスタとか作ってほしいですね。
2人揃えば和食も洋食のどちらも楽しめる、というのはいいですね。
—登場人物たちの独自の“恋愛観”が交錯する話題作。最後に映画の見どころをお聞きしました!
魅力的な登場人物の「恋愛模様」に注目!
(深川麻衣さん)
私にとって初めての映画で、思い入れの強い大切な作品です。恋愛に一歩踏み出せない方や、自分をさらけ出すのが苦手な方にも観てもらえたら嬉しいです。恋愛模様だけでなく、日常に寄り添うようなシーンやセリフがたくさんあるので、自分自身と重ね合わせて楽しんでもらいたいです。
恋愛映画でイメージされるようなキラキラした感じじゃなくて、どこにでもいる普通の人たちの物語です。登場人物の誰に感情移入するかで受け取り方も感想も違うと思う。
見方によって、いろんな反応があったら嬉しいです。
僕の映画はリトマス紙のような感じみたいで。一緒に観ると結婚したり、別れたりするカップルがなぜか多いようなので結構極端なのかもって最近思うようになりました(笑)。
何か考えるきっかけを与えているのかもしれませんね。
ヒントが欲しい人に観てほしい作品
(今泉力哉さん)
どこか自信がない人や、不器用な人を描きたいと思って作っているので、「この人で本当に大丈夫かな…?」って不安になっている方にも観てもらえたら嬉しい。もちろん、「僕たちは大丈夫!」って自信のあるカップルも、試しにご覧になってもらいたいですね(笑)。何か答えが見つかるといいな。
普通は良い雰囲気になるために、カップルで映画を観ることが多いと思うんですけど、自分の気持ちを確かめるための恋愛映画って新しいですよね(笑)。
たしかに。深川さんは、今後自分で映画を作ってみたいとか考えますか?
映画の監督さんって、自分の頭のなかで全て組み立てて、作品の一番の理解者だと思うんです。本当に尊敬しているので、私にできるのかなぁ…。でも、機会があれば挑戦はしてみたいですね。短編映画とか!
短編が実は一番難しいんですよ(笑)。
難しいんですか(汗)。でも、もし私が撮ることになったら今泉監督にぜひ出演してもらいたいです!
僕(笑)!? 全然喜んで出ますけど、1行もセリフ覚えられないかも。
(笑)。
過去に他の現場で固まっちゃったこともあるし。みんなどうやってセリフを覚えているんだろう。よく不思議だな〜と思うんですよね。たまにギリギリに台本が届いたり、当日にセリフを差し替えたりすることもあるじゃないですか。
ありますね。
僕はセリフを覚えるのが苦手だから、あれは俳優さんたちに本当に申し訳ないなっていつも思います。
私の場合はお風呂でセリフを覚えると頭に入ってきやすいですね。あと、そのシーンの情景を頭の中で思い浮かべたり。単に言葉を読むだけだと全然覚えられないんです。ぜひ、いつか今泉さんを撮らせてください!
—深川さんが監督を務める日がいつか来るかも(!?)。そんな息ぴったりなお2人に、対談後にアマノフーズの「たまごスープ」でほっと一息してもらいました。
『パンとの相性も抜群ですね。朝食にも良さそう!(by深川麻衣さん)』
『お湯かけてサクッと作れるのが便利!(by今泉力哉さん)』
と、フリーズドライ商品に驚きのご様子でした。そんなお2人から、ほっこりとする撮影の裏話も!
大室山(静岡県)で叫ぶシーンでは、たまたま社会科見学をしている小学生も居合わせて。
300人くらい小学生いましたよね。
叫び終わった後に、小学生の子から「良かったよ!いい演技だったよ!」って褒められて(笑)。嬉しかったです。
子供たちから、いじられている様子が面白かったです。
(対談終了後も和やかな雰囲気のお2人。カメラにハマっている深川さんが試食中の今泉監督を撮影中!)
—本日は楽しいトークをありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。2月17日(土)の公開をお楽しみに!ぜひ皆さんもチェックしてみてくださいね。
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