読み物 2019.03.18
【第13回】おにぎりの旅。
アマノ食堂をご覧の皆さま、ごきげんいかがですか(つばきファクトリー風に)。
劔樹人と申します。
日頃はバンド活動とマンガの執筆をしながら、主夫活動に勤しんでいます。
先日、妻の犬山紙子が地元の仙台で仕事があったので、ついでに娘を連れて妻の実家の方へ帰省してきました。
仕事柄、我々夫婦はどちらも盆正月だからといって休みというわけでもないので、こういう機会に実家に帰ることがあります。むしろ新幹線も観光スポットも混まないのでちょうどいいじゃないですか。
その日も、朝から昼過ぎまでの妻のテレビの仕事があったので、娘を連れて東京駅で待ち合わせにしました。
そんなときは朝から何も食べないので、いつもお腹をすかせて帰ってきます。
新幹線移動の多い仕事柄、駅弁も飽きているとよく言っているので、簡単なお弁当を作って持って行くことにしました。
ちょうど先日、新潟の母が来てくれたときに持ってきてくれた、牡蠣飯の素というものがあったので、牡蠣飯のおにぎりを作ることにします。
新潟市に、「新潟ふるさと村」という、道の駅みたいな商業施設がありまして、私は高校へ行くとき、いつもそこの前を自転車で通っていた馴染みの場所なのですが、母はよくそこで海産物を買ってきてくれます。
安いし、新鮮だし、こうして離れてみるとありがたさがわかるものですね。
そこは特に調理品がとても良くて、保存がきくように焼き漬けや味噌漬けをパックにしたものとか、味付けがしてあってあとは焼くだけというものなど、いつもお土産でもらっては重宝しています。
2歳児が部屋で遊びまわっていると、なかなか落ち着いて凝ったお弁当は作れないので、ご飯と牡蠣飯の素を合わせて炊くだけの簡単なものを「わが家の食卓」というのは大変恐縮ですが。
炊き上がりはこちらです。
昆布の出汁がきいていておいしいです。
おにぎりにしてタッパーに詰めます。
駅で犬山と合流して、総菜屋さんで唐揚げと煮物を買いました。
2歳児がいると、新幹線でおとなしくしてくれるのか、常に一抹の不安を抱えながらの旅行となりますが、移動中はiPadを与え、YouTubeを見ていてもらうことで乗り切ります。
落ち着いたところで、3人でおにぎりを食べます。
娘には、牡蠣の身はちょっとまだクセが強いので、入っていないご飯だけの部分を小さいおにぎりに。
「おいしい?」と聞くと、感想は「うん」とそっけないのは、YouTubeの方が楽しいからです。
正直、おとなしくしていてくればなんでもいいんです。
余談ですが、翌日はアンパンマンミュージアムに行きました。
***
仕事柄、私は新幹線に週6回くらい乗っているので、正直駅弁に飽きてしまっています。
なので、駅弁の代わりにファーストフードにしてみる→飽きる、コンビニごはんにしてみる→飽きる、ご当地サンドイッチなどを買って帰る→飽きる……。
そんなわけで、今帰りの新幹線はもうごはんを諦めてハイボールとつまみだったりすることが一番多いのですが、どれだけ食べても飽きないのがつるちゃんの握ったおにぎりです。
飽きないってすごいなあって思うんですよ。同じ味を毎回食べてもまた食べたくなる味。
この牡蠣おにぎりはよーーくご飯に味がしみてておいしかった。
でもつるちゃんが握ってなかったら、この味のおにぎりがコンビニで並んでいたら……もしかしたらすぐ飽きてしまうかもしれない。
つるちゃんの手から何か出ているのか。まあ毎日握ってもらうのは大変なので、たまにこうやって握ってもらえると嬉しくて小躍りします。
つるの愛情を受け、仕事で宮城県は七ヶ浜へ。
東日本大震災から8年、もうあの震災を知らない子ども達もいるんですね。
おにぎりを食べて力をつけて、当時のことを風化させないようチャゲにも伝えていこうと思っています。
劔樹人(漫画家・ミュージシャン)
[PROFILE]
男の墓場プロ所属。「あらかじめ決められた恋人たちへ」のベーシスト。著書に「あの頃。〜男子かしまし物語〜」(イースト・プレス)、「高校生のブルース」(太田出版)、「今日も妻のくつ下は、片方ない。 妻の方が稼ぐので僕が主夫になりました」(双葉社)。「小説推理」、「みんなのごはん」、「MEETIA」などで連載中。
犬山紙子(イラストエッセイスト)
[PROFILE]
大阪府生まれ。ニート時代に書いたブログを書籍化した『負け美女』(マガジンハウス)でデビュー。現在はイラスト・エッセイストとして多くの雑誌で執筆。テレビ、ラジオにも出演している。2017年1月に女児を出産。近著にさまざまな生き方の女性たちにインタビューし、自らの妊娠、出産も描いた新刊『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)
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