読み物 2020.01.24
【最終回】今一番作りたいもの。
アマノ食堂をご覧の皆さま、ごきげんいかがですか(つばきファクトリー風に)。
劔樹人と申します。
日頃はバンド活動とマンガの執筆をしながら、主夫活動に勤しんでいます。
2020年が始まりました。
そんな新しい年とともに、この連載もついに最終回を迎えることになりました。
思えば、連載が始まった頃はまだ離乳食に毛が生えたようなものを食べていたわが子。先日3歳になりまして、ほぼ大人と同じようなものを食べ、おしゃべりもすっかり上手になりました。
そんな最終回、どんなものを作るのがふさわしいのでしょう。
最近うちは、妻が忙しくて家にいないことが多かったので、料理をするときは子どもに食べさせるものメインですることが多くなりました。
ただ、娘に「今日何食べたい?」と聞くと、最近は常に「ふりかけごはん!」なんですよ。
だからもう、今回は自分の一番作りたいものを作ることにしました。
カレーです!!
今世間は本格的インドカレー、スリランカカレーなど、スパイスの効いたカレーが主流ですが、私は大阪に住んでいた頃よく食べていたような、なんとも甘辛いカレー、あれが一番好きなんですよ。
東京は甘辛いカレーの店が少ないので、あれが自由自在に作れたら私の料理人生に悔いなしです。
調べたところ、あの甘さはフルーツがたくさん入っていることで出てくるとのこと。
まずは、ひき肉と玉ねぎを炒めまして。
好き嫌いの激しい娘も野菜をたくさん食べられるように、にんじんをすりおろします。
ちなみにひき肉を使うのも、娘の好き嫌い対策です。
大きな肉は食べにくいから嫌がるのです。
そこにバナナもすりおろして入れます。
この辺ですりおろすのがいい加減面倒になって、どうせ溶けるかなという見込みでりんごとブロッコリーを適当に投入!
トマト缶を入れて煮込んだら、ソースやらバターやら、スパイスやらを色々足してカレーを味付け。この日は、カレー粉とガラムマサラやクミンパウダー、コリアンダーなどを入れました。
子ども用のルーを使った甘いだけの鍋と、大人(私)用のスパイスたっぷりの甘辛い鍋の2つに分けます。
さあ、できました!
しかし、これを作ったのは夜中。
一晩寝かせて、食べるのは朝食です。
みかんと、くまの器に入れたアマノフーズのおみそ汁を添えて娘に。
子どもなので、お湯を少し多めにして味を薄めています。
娘もすっかり、アマノフーズのフリーズドライものも食べられるようになりました。
あの感動的なフリーズドライのチキンカツの玉子とじも、いつか食べさせてあげたいです。
出汁と卵の風味もおいしいし、むしろ普通のカツより柔らかくて、うちの子に向いているかもしれません。
あれを食べてくれるようになったら、ベビーフードより楽で全国の忙しい親が助かりますよ!
さて、私が作ったカレーですが、娘の感想は…数口食べて「これ、いらない」とのことでした。
ショック!!!
トマトが多くてちょっと酸味が強いのと、辛味こそ無いですが、色々入れたせいで味が複雑なため、子どもには向いていませんでした…。
辛いものに弱い妻にも同じものを食べてもらいました。
寝起きなので顔は伏せています。
「うん。いくらでも食べられる」
こっちはバッチリ!
と、いうわけで、最後は娘に喜ばれませんでしたが、それも小さな子どものいる食卓の醍醐味ですね。
わが家は、今日も楽しくやっています。
長い間、うちの食卓にお付き合い頂き、ありがとうございました。
またどこかでお会いしましょう!
***
これを書いている今、まさに夫原作の本『あの頃。男子かしまし物語』が松坂桃李さん主演で映画化されるというニュースが発表され、さまざまな人が「ギョエー」とびっくりしています。いや、「ギョエー」なんて実際に言った人はいないけど…。まあ、夫役を松坂桃李さんが演じるのですからとんでもないことです。凄いパンチラインです。
しかしですよ、私にとってつるちゃんってのは最高に良い男なのです。
一生懸命作ったカレーを娘が食べなくても、娘を怒らず気持ちを尊重して、娘が食べるものをまた探す柔軟さ。いつかつるちゃんのそんな気持ちが伝わってカレーも食べてくれるようになるのかな。
保育園に連れて行ったときに娘が泣いていると「保育士さんが大変そうだから…」と何故かそのまま散歩の公園までついて行くつるちゃん。
仕事から帰ってきた私にいつもありがとうと言ってくれるつるちゃん。
松坂桃李さんと方向性は違えど、このキャスティングに私的には納得感があるんです。
それに、ぽっかぽかの温かいわさおフェイスのつるちゃんの良さと、松坂桃李さんの美しい建築のような骨格にセクシーな表情、そこに加わる少年のような茶目っ気、そして思慮深さをたたえる審美眼に優れた瞳…やばいな、桃李さん褒めようと思ったらいくらでも褒められるな…とにかく2人を比べるなんてのは野暮なことです。
2人には違う良さがあり、桃李さんはきっとプロフェッショナルにつるちゃんの温かみのあるやさしい雰囲気、ぽかぽかわさお感も演出してくれるのかなと思っています。最高だなあ。
そんなわけで、この連載でつるちゃんの手料理を通してつるちゃんの良さがふんだんに伝わったのではと、私は勝手に嬉しく思っているのです。
当たり前のことですが、母親の味も、父親の味も、優劣はなく尊いものです。
そのことは彼の姿が娘に示すことでしょう。
ではまたどこかでお会いしましょう!
私はただ食べていただけだけど…!
劔樹人(漫画家・ミュージシャン)
[PROFILE]
男の墓場プロ所属。「あらかじめ決められた恋人たちへ」のベーシスト。著書に「あの頃。〜男子かしまし物語〜」(イースト・プレス)、「高校生のブルース」(太田出版)、「今日も妻のくつ下は、片方ない。 妻の方が稼ぐので僕が主夫になりました」(双葉社)。「小説推理」、「みんなのごはん」、「MEETIA」などで連載中。
犬山紙子(イラストエッセイスト)
[PROFILE]
大阪府生まれ。ニート時代に書いたブログを書籍化した『負け美女』(マガジンハウス)でデビュー。現在はイラスト・エッセイストとして多くの雑誌で執筆。テレビ、ラジオにも出演している。2017年1月に女児を出産。近著にさまざまな生き方の女性たちにインタビューし、自らの妊娠、出産も描いた新刊『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)
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