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松㟢翔平さん×田中佑典さん|【第2回】巨大唐揚げに焼き餅! 台湾ツウが教える、今食べるべき「台湾グルメ」

  • 松㟢翔平
    1993年埼玉県生まれ。俳優・モデル。人気番組「TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020」初期メンバーとして出演したことで一躍人気者に。「魯肉飯」を始め、番組内で度々披露した台湾飯が話題になり、台湾イベントへのオファーも殺到。執筆活動も行なっており、現在『Ginza Magazine Web』や、映画レビューサイト『Banger』にて連載中。台湾名は「小黑」。
  • 田中佑典
    1986年福井県生まれ。生活芸人。台湾と日本間での企画やプロデュース、執筆、クリエイティブサポートを行う“台日系カルチャー”のキーパーソンとしてカルチャー誌『LIP 離譜』を手がける。そのほか、台湾中国語の語学講座「カルチャーゴガク」主宰、海外や地方などに2週間以上滞在して魅力を発掘する「微住」など幅広く活動中。共著に『LIP的台湾案内(リトルモア)』がある。

アマノ食堂に訪れる、お客さんの“おいしい話”をお届けする「今週のお客さん」。

ゲストは前編に続き、台湾と縁の深いお2人、松㟢翔平さん田中佑典さんです。

『台湾の楽しみ方』をテーマに、台湾とご自身との関わり方や台湾人の意外な人柄などをお話いただいた前編に続き、後編は台湾グルメを中心に対談! 台湾ツウの2人だからこそ語れる、コアな台湾の楽しみ方をぜひご堪能ください。

***

—— 後半最初は、「台湾グルメ」について教えてください。日本ではタピオカやかき氷ブームが続いていますが、「これから来そう!」なネクストブーム台湾グルメはありますか?

最近、「鹹豆漿(シェントウジャン)」という豆乳スープがきてるかな。台湾の朝ごはんのメニューのひとつなんです。料理上手な翔平くん、「鹹豆漿」は作らないの?

うーん、お気に入りの出汁がないんですよね。

そうか、出汁が大事なんだ。

朝ごはん屋さんでも店によって味に差が出るんですよ。台湾の人って、みんなこだわりとかお気に入りの店がありますよね。「あそこしか行かない」みたいな。

ある、ある。翔平くんお気に入りのお店は?

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僕は「永和豆漿(ヨンフートウジャン)」というお店が好きですね。チェーン店なんですけど台湾の定番朝食が楽しめるお店です。

あ、知ってる! たしか元々は「永和」という街からスタートした店だけど、今はどこにでもあるよね。

そうなんです。そこは出汁もおいしくて好きです。でも、お店の好みは人によって全然違いますね!

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台湾の人は食に関してはすごく厳しいからそれぞれのこだわりがあるね。

小籠包のお気に入りの店とかも譲らないですよね。夜市も、日本人はビール片手にお祭り感覚で食べ歩くけど、台湾人は目当ての店に直行! 他の店には見向きもしないですね(笑)。

それは意外だったよね! 日本の夜市のようにブラブラ屋台で食べ歩くような習慣は現地にはないよね。

—— 日本にいながら台湾を味わえる、おすすめの食べ物やお店はありますか?

僕がよく行くごはん屋さんは、中目黒にある「東京台湾」かな。行ったことある?

まだないんですよ。

いわゆる「台湾創作料理」で、日本人が作っているので、台湾ベースにちょっとだけ日本のアレンジがしてあって面白いよ。例えば、水餃子の皮にタピオカの粉が入っていてモチモチだったり。

おいしそうですね〜!

店内も台湾風の雰囲気で好きなんだ。

「東京台湾」ってPV撮影とかでも使われていますよね。

そうなんだ! それは知らなかった。翔平くんはおすすめのお店、どこかある?

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渋谷の「麗郷」は好きですね。値段相応という感じのおいしい台湾料理屋です。あと、恵比寿に「小城香」というスナックがあるのですけど……。

うんうん、あそこね。

その店のお母ちゃんが台湾人なんですよね。メニューはないけど、気分が乗ってくると水餃子を作ってくれる。

何それ! 僕、食べたことない!

めちゃくちゃおいしいですよ〜。

あそこのスナックではカラオケで歌を披露したことしかないな……。お母ちゃん、気分が上がってなかったのかも……。

(笑)。

―ここからは、中華街に繰り出して食べ歩きしながらトークを継続!日本で味わえる台湾グルメを教えていただきました。

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中華街久しぶりに来たな〜。

僕も4年ぶりです。あ! 「大鶏排(ダージーパイ)」だ。食べましょう!

「大鶏排」は台湾の巨大な唐揚げで、夜市でも定番だよね。台湾の人って基本食べ歩きはあまりしないけど、これは現地でも「THE食べ歩き」なメニュー。

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台湾だと辛い粉のトッピングの有無を選べますよね。花山椒の味がして懐かしい!

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「大鶏排(ダージーパイ)」をパクリ。

食べ歩きフードでいくと「菜餅(サイビン)」も定番ですね。

日本語だと「焼きお餅」。「餅」という漢字を使うけど、台湾では「餅」=クレープみたいに包むものを呼ぶね。1個40円くらいで、それを2〜3個買って食べるのがスタンダードかな。

ビニール袋に入れてくれて、それを持って食べますよね。というか、台湾はなんでもかんでもビニール袋に入れてくれますよね(笑)。

たしかに! あれ熱いんだよね……。喉乾いたし、タピオカでも飲む?

いいですね!

——田中さんはタピオカミルクティ、松㟢さんはマンゴーフルーツティをチョイス。

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トッピングに「仙草」(※)あるじゃん!

※仙草…中国産の植物。身体に良いといわれていて、中国では昔から生薬や漢方にも使われている。

ほんとだ! 僕、それトッピングにします!

味はあまりしないけど健康に良いって言われてて。食感も楽しくておいしいよね。

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―しばし食べ歩きを堪能したお2人。お店に戻る途中で見つけた乾物屋さんで松㟢さんが足を止めました。

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今「鶏肉飯(ジーローハン)」の上にかける「フライドエシャロット」を探していて。いつも自分でエシャロットを素揚げにして使ってるんですけど…。ここなら売ってそう!ちょっと見てもいいですか?

どうぞどうぞ! あ、スイカの種がある! 台湾ではおやつによく食べるんだよね。

台湾の食堂とかによく置いてありますね。

「芝麻醤(チーマージャン)」も置いてある!  乾麺にこれを混ぜて食べると坦々麺みたいなごまのコクが出てすごくおいしいんだよ〜。日本でもよくやります。

へぇ〜おいしそう! 「芝麻醤」というと、「涼麺(りゃんめん)」も良いですよね。日本でいう冷やし中華みたいな感じで、「芝麻醤」が冷やし麺に絡めて食べるやつ。台湾のコンビニでよく買っていました。

わかる! あれはおいしいよね!

あ、フライドエシャロット、ありました! これ買っていきます!

—— 食べ歩きお疲れ様でした! 初めて聞く台湾グルメがいっぱいで、とっても参考になりました。ここからはまたお店に戻りまして、お話の続きを。これから台湾を旅行する人に向けて、台湾旅行を楽しむコツを教えてください。

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計画を立てすぎず、出会ったものを楽しむ

(松㟢翔平さん)

3日間とかの弾丸で複数のスポットを回る旅は台湾には不向きかなと思います。

わかる!  最初はいいけどね。台湾ってきっちり観光しなくていいと思う。街をなんとなく歩くのが楽しいというか。

だらだら歩くほうが楽しいですよね。行きたい場所は1箇所とかで良いと思うんです。例えば「小籠包のおいしい店」だけ行く所を決めて、あとはもうテキトーで。

お店もいっぱいあるから、そこでの出会いとか、サラっと入ったごはん屋さんが意外においしかったとか、そういうのを楽しんでほしいな。

街歩きなら「台南」がおすすめです。BARとか楽しいですね。僕は「LOLA」という店がお気に入りです。すごくぶっきらぼうな店長がいるんですけど、カクテルがおいしくて、内装も音楽もすごく格好良い。

台南は台北に比べると街がコンパクトだから、ふらっと散策するにはぴったりだし、そこでの発見はめちゃくちゃあるね!

あと、台南はごはんがとにかくおいしいのでおすすめです。肉はその日に獲った動物の肉しか出さないし、フルーツも新鮮。

やっぱり台南は「古都」というか、京都みたいな日本的な街並みや建物もあるし、いわゆる「ザ・台湾」という雰囲気も味わえる。

台北だと、「小南門(シャオナンメン)」の古い町並みとかも好きですね。ちょっと政府に近いじゃないですか。国会っぽいところがあって。

行政系の建物がバーッと集まっているエリアで雰囲気があるよね。

そうなんです。のどかな感じがしてけっこう好きです。

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台湾の「神カルチャー」を体験してほしい!

(田中佑典さん)

観光名所ではないのですが、個人的には台湾の「神カルチャー」が好きです。

ゴッドですか?

そう、ゴッド!  台湾の宗教カルチャーってすごく面白いよ。台湾は中華系の宗教「道教」が主流で、赤色とか金色とか、原色のお寺が多いんだよね。そのなかで一番有名な神様に「媽祖(マソ)」という海の神様がいて、その神が毎年誕生日に台湾へ帰ってくるタイミングにお祭りがあるの。

へぇ! 知りませんでした。

「媽祖」の一番の本殿が「大甲(ダイコウ)」という地にあって、その中部に媽祖を祀っているお寺が150か所くらいあるんだよ。そこを8日間くらいかけて巡るパレードが毎年3月くらいに行われていて、そういう現地行事に参加するのも面白いかも。

「四国八十八か所巡り」みたいですね。

そうそう。でも僕らがイメージする宗教ガチガチな感じじゃなくて、花火ドッカンドッカンの楽しい祭りなんだよね。僕もこの前参加したんだけど、「アイ ラブ 媽祖」って書い車に乗って「媽祖」の曲を自分でリミックスして流す人もいたりしてて(笑)。本当に「エレクトリカルパレード」みたいな感じで面白い!

面白いですよね、神カルチャー。確か「逆神様」みたいなのもいますよね。

そうそう、神様にも「陽」と「陰」がいて、「陰」の神様には悪いことがあったらお参りする。結構複雑だけど。

面白いお寺だと「金剛宮」とかも良いな。

あそこはもう…何なんでしょうね(笑)。目から何か飛び出ている神様とかいるよね。

—— 見どころがたくさんあって、台湾に行きたくなってきました! 松㟢さん、田中さん、興味深いお話をありがとうございました! 対談後は、アマノフーズのスープでほっと一息。松㟢さんは「燻製鶏」、田中さんは「炙り牛」をチョイスされました。

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(写真左)Theうまみ 燻製鶏
(写真右)Theうまみ 炙り牛

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おいしい! フリーズドライって普段あまり食べなかったんですけど、こんなに具がしっかり出てくるんですね。

味が濃くてしっかりしていておいしい! これ、「魯肉飯」と一緒に飲んだら合いそう!

台湾ではごはんとスープはセットですよね。

台湾の人って、ごはんを食べるときに水を飲まないよね。水の代わりにスープを飲む感じ。

台湾のスープってなんであんなにおいしいんですかね!

やっぱり「出汁」がポイントかな。

—最後に、お2人が思う「台湾の魅力」について教えてください。

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「許容の文化」が心地よい

(松㟢翔平さん)

やっぱり僕は「人」ですね。

人。その心は。

……田中さん、先にお願いします。

ええっ!?なんで?

最近、台湾のことを聞かれることが多いんですけど、僕は台湾のことに詳しくないというか、国として語ったりすることはできなくて。ただ友達のことを喋っている感覚なんですよ。

なるほどなぁ。でも人はほんとに魅力的だよね。

台湾の友達たちにはすごく助けられました。基本的に「そんな固いこと言うなよ」みたいな感じがあるので、ラクです。許容する余裕がある。

「差不多(チャブドォー)=大体でいいんだよ」の言葉からも分かるね。

本当に許容の文化だなと思いました。みんな違うというのは当たり前の人たちだから。田中さんは?

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多様な文化が重なった「グラデーション」の国

(田中佑典さん)

僕も「人」と言おうとしたけど取られちゃったな(笑)。でも、日本にはないものと、日本と同じものというのが本当にバランスよくあって。やっぱり、共感することもあれば学ぶ部分もあるというか。その絶妙なバランスがすごく良いよね。

たしかに、わかります。台湾人と言ってもルーツがみんなバラバラなんですよね。南国系の人や中華系の人がいたりして「みんなひとつ」という前提がなくて。

実は小籠包も台湾料理ではなくて、戦後中国からやってきた人によって持ち込まれたものだしね。

火鍋や鹹豆漿(シェンドウジャン)もそうですね。

そうそう。だから「台湾ってなんだろう」と思うと、やっぱりそういう部分で一言では表現できないんだよね。そこがすごくいいし、「グラデーション」の文化だなって思う。

「グラデーション」の文化、面白いですね。

全部が重なって、ひとつのカルチャー、ひとつの台湾になっているんだね。そこが魅力ですね!

***

本日は楽しい対談をありがとうございました!またのご来店をお待ちしています。

撮影/山田健司
取材・執筆/大西マリコ

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