ごぼう
季節の食材のHOWTO 2015.11.04
11月の旬食材|ごぼうの基本|産地・種類・選び方
[ごぼうの旬の時期]
4〜5月、11〜1月頃
[ごぼうの特徴]
平安時代に中国から伝わったと言われているごぼう。当時は、利尿作用や解毒効果がある「薬草」として輸入されましたが、シャキっとした食感と土っぽい香りが日本人の口に合ったのか、江戸時代には各地で栽培されはじめ、汁物や和え物、さらには餅や茶菓子にまで入れてその味を楽しむようになったそう。
今でもきんぴらや筑前煮など和食には欠かせないごぼうですが、実は野菜として食べているのは世界中でも主に日本人だけ。中国人や欧米人にとってごぼうは薬草のイメージしかなく、「日本人は木の根っこを食べている!」と驚くのだとか。
ごぼうの最大の特徴はなんといっても食物繊維。栄養素は皮にも含まれているため、汚れは包丁の裏側で削ぎ取るか、たわしやアルミホイルでこすり洗いする程度にしておくのがいいでしょう。
[新鮮なごぼうの見分けかた]
直径2〜3cmでひげ根が少なく、すらっとまっすぐ伸びているものがよいでしょう。太すぎると中に“ス”が入っている(隙間ができている)場合があるので要注意! 柔らかく、ぐにゃっと曲がってしまうものも、古くなっているため避けた方がよいでしょう。
最近はきれいに洗ってある「洗いごぼう」も販売されていますが、ごぼうは乾燥しやすいのですぐに使いきらない場合は泥つきがオススメ。鮮度や風味を保つことができます。保存の際は、泥つきの場合は新聞紙にくるんで冷暗所へ、洗ってあるものはポリ袋などで密封して冷蔵庫へ入れておきましょう。
[日本の主な産地]
農林水産省のデータ(平成25年)によると、収穫量のトップは青森県。全体の約4割を占めています。県内でも産地は太平洋側に集中していますが、これは夏に「やませ」と呼ばれる冷たい風が吹き、冷涼な気候を好むごぼうの栽培に適しているためです。そのほか、茨城県や北海道でも多く生産されています。
[ごぼうの種類いろいろ]
【滝野川ごぼう】
スーパーなどで見かけるごぼうはほとんどがこちら。直径2〜3cmで長さ1m前後です。江戸初期に東京の滝野川地域(現在の北区滝野川)で栽培されたのがはじまりで、今では関東一帯で作られています。このごぼうが基本形となって日本各地に広まり、さまざまな品種が生まれました。
【新ごぼう(夏ごぼう)】
晩秋か冬にかけて旬を迎える滝野川ごぼうを、初夏に若採りしたもの。夏ごぼうとも呼ばれます。通常よりも柔らかいのでさっと茹でるだけでOK。サラダにして、新ごぼうならではのフレッシュな香りと食感を楽しんでください!
【若ごぼう(葉ごぼう)】
根の部分だけでなく、葉や茎まで丸ごと食べられるごぼう。福井県坂井市の「越前白茎ごぼう」や大阪府八尾市の「八尾若ごぼう」などの品種が有名です。程よい苦みのある葉はおひたしや天ぷらがオススメ。茎は「ふき」に似た独特の風味があり、根とともにきんぴらや炒め煮にして食べられています。
【大浦ごぼう】
千葉県匝瑳市(そうさし)大浦地区で、「門外不出」の種を数軒の農家が大切に守り育てている貴重なごぼう。収穫されたものは毎年成田山新勝寺に奉納され、護摩祈祷を受けた際に精進料理として食べることができます。通常のごぼうよりも太く、太さ30cmのものも! 匝瑳市の指定天然記念物にも指定されています。
【堀川ごぼう】
滝野川系ごぼうを斜めに植えて栽培されるごぼう。京野菜のひとつで、約400年前から作られています。直径5〜6cmで中は空洞ですが、肉質は柔らかく独特の香りがあります。通常のごぼうより栄養価が高いのも特徴です。京都の料亭などでは、空洞部分に肉やエビを詰めた煮物を食べることができます。
画像提供: (公社)京のふるさと産品協会
【宇陀(うだ)金(きん)ごぼう】
土に含まれる「雲母」(うんも)という鉱物がごぼうの皮についてキラキラ輝くことから「金色に輝く幻のごぼう」と呼ばれています。奈良県の伝統野菜のひとつで、明治初期から栽培されています。縁起物としてお正月のおせち料理などに使われます。
画像提供:奈良県
どこかで言いたい「かぼちゃ」の雑学
●きんぴらごぼうの語源は「金太郎」の息子?
「きんぴら」は漢字で「金平」と書きます。実はこれ、江戸初期に流行していた人形浄瑠璃の主人公の名前なのです。
短気でそそっかしいけど憎めない豪傑な男・坂田金平(さかたのきんぴら)が怪物を次々倒していく武勇伝は、江戸っ子の間で大評判! その影響で、強くて丈夫なものには何でも「きんぴら」とつけて呼ぶのが当時の流行となったようです。この流れの中で、しっかりした歯ごたえと精がつくごぼうを甘辛く炒め煮した料理を「きんぴら」呼ぶようになったのだとか。
そしてこの金平こそが、まさかりを担いで熊に乗っていた金太郎(坂田金時)の息子(という設定)。金太郎は童謡の中で「足柄山の山奥で けだもの集めて 相撲の稽古」(「金太郎」2番)をしていたほどの力持ちで、その後は勇敢な武士になったと伝えられています。
父譲りの怪力で人気を博した金平の名が、料理名として今でも受け継がれているとは、なんとも面白い話ですね。ちなみに、金太郎は実在していたという説もありますが、金平はあくまでも物語の中の架空の人物です。
※ 参考文献:平成25年産野菜生産出荷統計(農林水産省)
「からだにおいしい野菜の便利帳」(高橋書店)
「野菜の効用辞典」(明治書院)
「いちばん体に効く野菜の教科書」(主婦の友社)
※参考サイト
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