レシピ 2021.11.25
鯛のアラだしを使って豆もやしをごちそうに!「豆もやしの温びたし」
寒い季節、とくに冷える日には温かな一品があると嬉しいですよね。料理家の濱守球維さんが「出張料理でよく作る」というのが、豆もやしが主役の温びたし。一般的な豆もやしでもおいしく作れますが、今回は青森県のご当地野菜『大鰐(おおわに)温泉もやし』を使ったレシピを教えていただきました。
固定概念を持たず、自由な発想で料理を作る
「意外!」と思える組み合わせなのに、しっくりとなじむ優しい味わいが特徴の濱守さんの料理。食べた人たちは「箸が止まらない」「いつまでも食べ飽きない」と口を揃えます。
多くの人を惹き付ける料理の発想は、どのようにして生み出されるのでしょうか?
濱守さん:「小さな頃から好き嫌いが多かったんですよね。外食では食べられるものが限られるので、中学生の頃から自分で料理をするようになりました。だからか、『この食材にはこれを合わせないといけない』という考えがないんです。何でも試してみて、合わなければ変えてみる、の繰り返しです」
今回の教えていただくレシピのような、豆もやしとミントの組み合わせや、鯛だしを使うアイデアも、そうして生み出されたレシピのひとつ。
濱守さん:「これまでの経験で豆腐などの豆類とミントは合うことは分かっていたので、豆もやしにも合うんじゃないかなと思いました。最初は煮干しだしで作ってみたのですが、豆もやしと苦みの部分でぶつかってしまったんです。その時はスーパーをぐるぐる回り、鮮魚コーナーで鯛のあらを見つけた時に『これだ!』とひらめいたんです。鯛だしは上品だけれど力強く、もやしのおいしさを引き立ててくれますよ」
また、普段からスーパーを巡るのも大好きで「これまで知らなかった食材を見つけるのがとても楽しい」と話します。
濱守さん:「鯛だしは、スーパーで鯛の頭やあらが安くなっている時に買って作るのがおすすめです。鮮魚コーナーに鯛のお刺身がたくさん並んでいる時が狙い目。魚の三枚下ろしなどをやってくれるスーパーなら、魚コーナーの方に声をかけると裏から持ってきてくれますよ。もちろん市販のだしパックなどでも。その際はパックに含まれる塩分を考慮して、塩を控えめにしてみてくださいね」
本来なら捨てられてしまう魚のアラも、
もやしが主役! 心身ともに温まる「豆もやしの温びたし」
「豆もやしの温びたし」のレシピ
(料理監修 / 濱守球維)
- 材料(2人分)
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<600ml分の鯛だし用>
・鯛の頭…1尾分
・昆布…4㎝×2㎝ 2枚
・水…1リットル
<調味料A>
・塩…小さじ1と1/2
・白しょう油…大さじ1と1/2
・酒…大さじ3
・豆もやし(今回は青森県産の大鰐温泉もやしを使用)…150g
・スペアミント…1/2袋
20分(鯛だしを取る時間を除く)
作り方
最初に、鯛のあらでだしを取ります。まずは鯛のヒレをハサミなどでカットしてから、魚焼きグリルで両面とも各5分程度、軽く焼き色が付くくらいまで焼きます。
POINT
グリルで焼くことで魚の臭みが取れ、だしに香ばしさも加わります。
鍋に1、昆布、水を加え、弱火で1時間ほど煮てだしを取ります。その後、キッチンペーパーを敷いたザルで濾し、ウロコや焦げなどを取り除きます。
POINT
・今回はこのだし200mlを使います。余っただしはみそ汁にしても絶品!
・だし分量の目安はできあがり量200mlに対し、鯛の頭1/2頭分、塩…小さじ1/2 、酒…大さじ1、白しょう油…大さじ1/2、水…350mlを基本とし、作りたいだしの量によって増やします。
・だしに色を付けたい時は1~2滴普通のしょうゆ油を、淡い色味に仕上げたい時は白しょう油のみにするのがおすすめです。
土鍋に2、<調味料A>を加えて軽く混ぜ、洗った豆もやしを入れます。
POINT
豆もやしは向きを揃えて入れると美しく仕上がります。
沸騰したらふたをし、中火で3分程度煮ます。
この間にミントを洗い、茎の部分を手でちぎって葉だけの状態にしておきましょう。
ふたを開け、仕上げにミントを散らしたら完成です。
POINT
・ミントは火が入ると黒くなってしまうので、食べる直前に入れましょう。ゆずの搾り汁を加えても◎!
・スペアミントはだしと相性抜群。ペパーミントは香りが強すぎるので、スペアミントを選びましょう。
湯気とともに、爽やかなミントの香りが立ちのぼる「豆もやしの温びたし」。この日は「まごころ一杯 ごぼうと蓮根のおみそ汁」と一緒にいただきました。大鰐温泉もやしの独特の風味とシャキシャキ食感が心地良く、料亭で味わうような上品さがあります。
この日使用した『大鰐温泉もやし』は、デパートや青森県のアンテナショップで購入できるちょっぴり特別な食材です。青森県に古くから伝わる冬野菜で、温泉水を使う独特の方法で栽培されているそう。
濱守さん:「立派で見栄えがするだけでなく、ごちそう感のあるもやし。週末の出張料理でよく使います。海外から来たゲストにも喜ばれるんですよ」
大鰐温泉もやしが手に入らない時は、市販の豆もやしでもOK。
脇役になりがちなもやしをグッとランクアップさせてくれる料理です。鯛だしは冷蔵保存し、取った日を含め3日ほどで使い切るのが良いそう。時間がある時にぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
撮影/佐藤 侑治
文/田窪 綾
本日の一品
だしを効かせた「重ねだし製法」に、十割糀みそなどの数種類のみそをブレンドして濃厚な味わいに仕上げました。ごぼうや蓮根のシャキシャキとした食感も楽しい1杯です。
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教えてくれた人
料理家。1972年生まれ、北海道出身。レコード会社で制作や宣伝を務めたのち料理業界へ。雑誌や広告撮影現場などへのケータリング「たまごはん©︎」を主宰するほか、雑誌やメディアなどへのレシピ提供、料理教室も実施。定番料理でも具材や調味料を変えるなど、自由な発想や解釈で生み出される料理が大人気で芸能界にもファンが多い。著書に「おつまみ便利帖」(幻冬舎)。
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