レシピ 2021.12.23
ベトナム調味料が味の決め手! 電子レンジで簡単「ライム香るタラのヌックマム蒸し」
ベトナムの代表的な調味料「ヌックマム」。最近は輸入食材店などで気軽に買えるようになりました。でも使い道がわからなかったり、「ナンプラー」とはどう違うんだろう。と戸惑っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はベトナム料理研究家の伊藤忍さんに「ヌックマム」について詳しく教えていただきました。特徴をしっかりつかんだうえで「タラのヌックマム蒸し」を作ってみましょう。電子レンジを使った簡単レシピなので、忙しい日の献立にもおすすめです!
ベトナム料理に欠かせない調味料「ヌックマム」とは?
伊藤さんが愛用しているのはベトナムの老舗メーカー『フンタン』のヌックマム。200mlの小サイズは、輸入食品店などで300円~500円程度で購入できます。
ベトナムの代表的な調味料「ヌックマム」。「ニョクマム」と呼ばれることもありますが、現地の発音に近いのは「ヌックマム」または「ヌクマム」なのだそう。
伊藤さん「ヌックマムは魚醤のひとつ。塩漬けにしたカタクチイワシをかめや樽の中で発酵させ、その上澄み液を抽出したものです。ベトナム料理には欠かせない調味料で、料理の6~7割にヌックマムが使われているのではと感じるくらい。発酵のやり方や熟成度合いもさまざまで、最短で3か月、長いものだと1年くらい寝かせます」
ベトナムでは一般的な調味料なんですね。ちなみにタイの「ナンプラー」も魚醤ですが、それとはどう違うのでしょうか?
伊藤さん「ヌックマムもナンプラーも材料と製法は同じ。一説には、昔々ベトナムのヌックマムがタイに持ち込まれ、そこで派生したのがナンプラーだと言われています。商品によりますが、ヌックマムは砂糖なしなのに対し、近年流通しているナンプラーにはあらかじめ砂糖が入っていることが多いですね」
さらに、ヌックマムを上手に使うポイントもお聞きしました!
伊藤さん「ヌックマム使うときは必ず砂糖と一緒に。ヌックマムだけだと塩辛さばかりが強調されて、本来の豊かな旨みが感じにくくなるんです。砂糖が添加されているナンプラーでも代用できます。また、メーカーや商品で塩味の濃さや風味が異なる場合も多いので、レシピの分量通りに入れるのではなく、味見をしながら加えてくださいね」
今回教えてくれた「ライム香るタラのヌックマム蒸し」も、簡単なのにベトナムの味が楽しめる1品。ヌックマムらしい、エスニックな香りと風味がポイントですよ。
豊かな風味を堪能!「ライム香るタラのヌックマム蒸し」
「ライム香るタラのヌックマム蒸し」のレシピ
(料理監修 / 伊藤忍)
- 材料(2人分)
-
・生ダラの切り身…2切れ
・ライム(またはレモン)…1個
・赤唐辛子…1本
・パクチー…適量
<調味料 A>
・ヌックマム…小さじ1
・コショウ…少々
<調味料 B>
・湯、砂糖、ヌックマム…各大さじ1
・にんにく…1/2片分 ※みじん切りにしておく
20分
作り方
ライムは輪切りを2枚用意し、残りは果汁を絞ります。赤唐辛子は
ヘタの部分を切り、タネを取りのぞいて輪切りにし、パクチーはザク切りにしておきます。
POINT
ライムの果汁量はおよそ大さじ1と1/2。後の工程の中で2回に分けて使います。種は取り除いておきましょう。
タラはキッチンペーパーで水気を拭いてから下味を付けます。<調味料 A>をまぶして3分置き、さらに1の果汁を大さじ1/2だけまぶして5分ほど置きます。
POINT
・塩ダラは塩気が強いのでヌックマムを下味として使うことができません。必ず生ダラを使いましょう
・下味が薄まらないよう、時間をおいてからライム果汁をまぶします。
タレを作ります。器にまず<調味料 B>の砂糖とお湯を入れ、砂糖が溶けるまでしっかり混ぜます。その後ヌックマム、1のライム果汁(大さじ1)を加えて混ぜてから味見をし、最後ににんにくを混ぜます。
POINT
・ヌックマムを入れたら必ず味見をし、塩気、酸味、甘味が同じ程度に感じるように、ライム果汁や砂糖、ヌックマムで微調整をしましょう。
・ライムの代わりにレモンを使う場合は、酸味が強くなり過ぎないよう少なめにしてください。
耐熱皿に2のタラを下味の汁ごと並べ、上に1の輪切りライムをのせます。全体に赤唐辛子を散らしたらふんわりとラップをし、電子レンジ(500W)で3~4分加熱します。
POINT
・日本では魚の皮目を上にして調理することが多いですが、ベトナムでは魚を丸ごと、または皮目を下にして調理するのが一般的。そうすることで、上に乗せたライムや唐辛子の風味が魚に付きやすくなるとうメリットも!
・電子レンジの加熱時間はタラの大きさや、レンジの機種で変わる場合があります。様子を見ながら加熱時間を調整しましょう。
湯気で火傷しないようにラップを外し、1のパクチーを散らします。3のタレをお好みの量かけて召し上がれ!
エスニックな香りが立ちのぼる魚料理。隣には、おくら・山芋・わかめの3種入りの『Theうまみ ねばねば具材の和風スープ』を添えました。ライムと柚子の香りがさわやかにマッチします!
あっさりとしているのに風味豊かなのは、ヌックマムが味に奥行きを出しているから。タラの身はふっくらとしていて、電子レンジで作った時短レシピとは思えないほどの仕上がりです!
伊藤さん「この料理、ベトナムでは川魚で作ります。日本ではなかなか川魚を手に入れることができないので、私の教室では川魚に似た白身魚で作ります。今回は季節に合わせてタラを使ってみました。ベトナム料理は『五味・五彩』が魅力。さらに私は『二香』もベトナム料理を形づくる大切な要素だと考えています」
「五味」は塩味・酸味・甘味・辛味・コク。「五彩」は黒・赤・青(緑)・白・黄。そして「二香」とは、食材そのものの香りと、調理することで出てくる香ばしさのこと。今回の1品も、ベトナムならではの「五味・五彩・二香」が溶け合った味わいに仕上がっています。
伊藤さん「ベトナム人は外食も好きですが、自炊も大好き。食へのこだわりがが強いだけでなく、自分好みに味を付けられる舌の能力も高いんです。私たち日本人よりも食への執着が強いからかもしれませんね(笑)」
お米が主食で、ごはんに合う簡単料理がたくさんあるベトナム料理。短時間で手軽に作れるものも多いので、毎日のレパートリーとしても取り入れやすいのではないでしょうか。「いつもの材料でちょっと変わった料理が食べたいな」と思ったら、ぜひ試してみてくださいね。
写真/パタヤナン・ワラット(vvpfoto)
文/田窪 綾
本日の一品
具材に注目した、あふれる「うまみ」のねばねば具材のスープです。おくら、山芋、めかぶの3種類のねばねば具材を使用し、かつおベースの和風スープにふわりとやさしく柚子が香る一杯に仕上げました。
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教えてくれた人
ベトナム料理研究家
伊藤忍さん
神奈川県生まれ。短大の家政科を卒業後、フードコーディネーターとして活動。旅行をきっかけにベトナム料理に魅せられ、2000年から3年半にわたりベトナム・ホーチミンに移住。一般家庭やレストランなどさまざまな場所で現地の料理を学び、地方を含むベトナムの食文化研究に没頭する。帰国後、ベトナム料理教室「an com(アン コム)」を主宰するほか、書籍や雑誌など各種メディアでベトナム料理の奥深さを発信。近書に「ホーチミンのおいしい!がとまらない ベトナム食べ歩きガイド」(アノニマ・スタジオ/足立由美子さん、鈴木珠美さんとの共著)など。
HP / Instagram / Facebook神奈川県生まれ。短大の家政科を卒業後、フードコーディネーターとして活動。旅行をきっかけにベトナム料理に魅せられ、2000年から3年半にわたりベトナム・ホーチミンに移住。一般家庭やレストランなどさまざまな場所で現地の料理を学び、地方を含むベトナムの食文化研究に没頭する。帰国後、ベトナム料理教室「an com(アン コム)」を主宰するほか、書籍や雑誌など各種メディアでベトナム料理の奥深さを発信。近書に「ホーチミンのおいしい!がとまらない ベトナム食べ歩きガイド」(アノニマ・スタジオ/足立由美子さん、鈴木珠美さんとの共著)など。
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