ごぼう
季節の食材のHOWTO 2015.11.30
ドレミファームの人気No.1!「ごぼうのピクルス」ヒットの秘密は?
常備菜として、お酒のおつまみとして、料理の副菜として人気の「ピクルス」。手軽に野菜がとれてヘルシー、保存もきくためここ数年徐々に人気が高まっています。その人気から最近では食品売り場だけでなく、雑貨店やライフスタイルショップなどで見かける機会も増えてきました。
なかでも絶大な支持を受けているのが、千葉県我孫子市の食品工房「ドレミファーム」が手掛ける野菜のピクルス。以前雑誌『BRUTUS』で、秋元康さんが「ワインに合う手土産」として紹介したことでも話題を呼びました。ドレミファームのピクルスがこれほどまでに愛される理由とは一体何なのか?今回はこのヒット商品の秘密を探りたいと思います。
ピクルスはビジュアル第一。ほんのひと手間が目を惹きつける
秋晴れのとある週末。青山の国連大学前で開催されている「Farmer’s Market」の中で、ひときわ賑わうお店がありました。人だかりの先には、木箱にズラリと並ぶ色とりどりの小瓶たち。
ドレミファームでは、ピクルス・ソース・ジャム・シロップなどの加工食品を販売しています。メイン商品である野菜のピクルスは、トマトやパプリカなどの定番から、ねぎやれんこんなどの変わり種まで、その数なんと500種類!こちらのマルシェではその中から季節に合ったおすすめ商品を選んで販売しています。
まず何といっても目を惹くのはピクルスたちの“色鮮やかさ”。でも合成着色料は一切使用しておらず、すべて野菜本来の色を活かしたもの。ドレミファームの生産者である高田幸雄さんにお話を伺ったところ「ピクルスはビジュアル第一」なのだとか。
瓶の中にローリエの葉やレモンの輪切りを添えるなど、見た目の美しさへのこだわりが見受けられます。写真中央の「ごぼうのピクルス」には、れんこんの輪切りを1枚。普通であれば瓶に入っているのはごぼうだけ。でもドレミファームでは、瓶の正面に輪切りにカットしたれんこんをプラスする。
些細なことですが、このひと手間があるとないとでは印象がまったく違うそう。「飾っておきたい」「食べるのがもったいない」…決して珍しくはないピクルスという食品をどこか“スペシャル”に感じるのは、こういった工夫があるからなんですね。
「クローブやパプリカも入れてみたけど、ごぼうはれんこんの輪切りを入れて“白”でまとめるのが一番しっくりきたんですよね」と高田さん。れんこんは大きな穴が空いていることから「見通しがいい」とされる縁起ものの野菜。実はこっそり験も担いでいるとか。
ドレミファーム人気No.1商品「ごぼうのピクルス」
ドレミファームではさまざまな野菜のピクルスを取り扱っていますが、そのなかで一番人気なのが、実はこの「ごぼうのピクルス」。にんじんやパプリカなど定番野菜ではなく、人気No.1が「ごぼう」だなんてすごく意外な気がしませんか?
早速、ひと口いただいてみると…口の中に入れた瞬間、ピクルス液のスパイスとごぼうの香りがふわっと広がり、ひとたび噛めばシャキッとした強めの歯ごたえにびっくり!「食感にはすごくこだわったんです。ポイントは火入れの時間。この食感に辿り着くために、何度も試したんですよ」(高田さん)
ごぼうは生産量日本一で知られる青森県産のものを使用。ただ、数あるごぼう農家のなかでも高田さんと親しいある農家さんでつくられたものしか使わないのだとか。理由は「色々なごぼうで試してみたけど、やっぱりここのごぼうが一番おいしいから」だそう。この歯ごたえを実現するために、食材選びにも徹底したこだわりがあるようです。
火入れした後は、ローズマリーやクミンなど12種類ものスパイスが入った特製のピクルス液(通称:ツクルス液)に漬け込みます。通常、ピクルス液といえば入っているスパイスは3〜4種類。ドレミファームはその3〜4倍ものスパイスを使用しています。「数種類程度のスパイスなら誰でも集めて作ることができるけど、12種類はなかなか集められない。だからこそ、うちで販売している意味がある」
(※こちらがツクルス液。単品で販売もしています)
ドレミファームの「ごぼうのピクルス」が愛されるワケ
見た目は大事。でも、見た目以上の信頼できるおいしさがある。だからこそ誰かにおすすめしたり、贈りたくなったりする。食材選びから火入れの時間、ピクルス液、見た目の美しさを計算した瓶詰め…「ごぼうのピクルス」にはどの工程にもドレミファームならではのこだわりが隠されていました。
「珍しさもあるんじゃないかな。ごぼうのピクルスってなかなかないでしょう。しかも、ごぼうは食物繊維が豊富で健康にも良いですからね。僕のおすすめの食べ方は、やっぱりワインのおつまみ。11月はボジョレーヌーヴォーも解禁されるからちょうどいいんじゃないかな」
私、ワインは飲めなくて…という方もご安心を!料理の箸休めとして食べてもいいし、色んなアレンジもできるんです。
「そのまま食べるのに飽きてしまったら、具材を細かく刻んでオイルに混ぜてドレッシングにしたり、マヨネーズと和えてタルタルソースにしたりして、野菜や肉にかけてもおいしい。ごぼうのタルタルソースは商品としても販売しています。あとは、トマトジュースと一緒にミキサーにかけて冷製パスタのソースにしたり、鍋に入れたりしても合いますよ。基本的にピクルスは“保存食”。食べ物がない時に食べるものだからどんな料理にも応用できます」
(ドレミファームでは、ピクルス以外に“ジャム”も製造しています。このように、ピクルス同様に食材を加工してひとつひとつ丁寧に瓶詰めしていくのだそう)
味見はしない。おいしいかどうかはお客さんが決める
高田さんはもともと、千葉県我孫子市で無農薬のいちごを作る農家でした。しかし、2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに加工食品の道へ。
「震災以降、野菜が全く売れなくなってしまいました。自分自身も、無農薬野菜は絶対安心!と信じていたけど、その価値観が崩れてしまった。放射能に負けた気がしました」震災以降、野菜づくりは完全にストップ。「農園のスタッフたちとこれかどうしようかという話しをしていたとき、ひとりが『ピクルスがいいんじゃないか』と言って。それだと思い、すぐに作り始めました」
「考える前にまず行動する」主義の高田さん(血液型はAB型だそう)。震災からわずか3週間後の4月1日にはもう加工場である店舗を構え、ピクルスを販売。しかも、なんとご自分では一切味見をしないのだとか。
「安全安心な野菜を自分の目で選ぶことにはこだわります。そのために各地を飛び回るのはいとわない。でも、出来上がったピクルスが美味しいかどうかはお客さんが決めること。だから商品を作ったら自分好みの味に近づけるのではなく、まず店頭に出してお客さんの反応を見るんです」
配色バランスを考えたピクルスの陳列、手作りの木箱に敷いた英字新聞のビジュアル。ディスプレイへの徹底的なこだわりもお客さんを第一に考えているからこそ。
「どうやったらお客さんの手に届くだろうっていつも考えています。まぁ、もともとモノづくりが好きだったっていうのもありますけどね」と高田さん。取材した日のマルシェでは3つのテントで出店していましたが、なんと全部並べるのに4時間もかかったとか!
それもそのはず。撮影用に英字新聞をお借りした際、「どの面を使って撮影する? 写真付きの面でもいいし、株価情報の面もあるよ」とのひと言。木箱に敷く新聞の面まで考えるこのこだわりが、ドレミファームのビジュアルを生み出しているんですね。芸術肌のAB型ならでは…でしょうか?
美術館でも販売スタート。食品の域を超えて“芸術品”へ
また、農業への考えもビジュアルに反映されています。「農業って芸術だと思う。二度と同じものができないアートな世界ですよ」 ちなみに、なんと今年の5月からはこのピクルスがイタリアの美術館でも販売されているそう。食べ物の域を超えた、まさに芸術品といえますね。
(マーケットの販売を手伝う看板娘、山中かなさん)
「ひとつの考えにとらわれるのではなく、まずは見る目線を変えてみる。アイデアは色んなところから出てきます。とにかくやればいいのよ、やれば。すぐ動いてみなきゃ」そんな高田さんの語り口調に、販売のお手伝いをしている山中さんも笑顔を見せます。高田さん、「自分は出なくてもいい」との一点張りで残念ながら写真を撮らせてはもらえませんでしたが、その熱い想いはしかと受け取りました。今後はレストランオープンも視野に入れているそうで、まだまだやりたいことには一直線。引き続き、高田さんの活動から目が離せませんね。
食べてよし、飾ってよし。自分用にはもちろん、ついつい誰かにも贈りたくなってしまうドレミファームの野菜のピクルス。これからの年末シーズン、忘年会やクリスマスなどのちょっとしたギフトにもぴったりです。11〜12月のおすすめはまさしく、旬の野菜であるごぼうやれんこんなどの根菜類。旬のおいしさがギュッと詰まった「ごぼうピクルス」を、ぜひあなたの“スペシャル”な日のお供に。
【企画協力】
千葉県我孫子市の食品工房。ピクルスをはじめ、ジャムやソースなどの加工食品を生産販売している。商品は、青山ファーマーズマーケットや「千年こうじや」の各店舗で販売。都内近郊のマーケットにも不定期で出店中。※現在直販は行っていません。
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