注目ニュース 2024.03.07
災害で直面する「食」の困りごととは? 防災士に聞く、ローリングストックの重要性
災害時に直面するさまざまなピンチ。そのなかでも「食事」は、年齢や性別、そして災害規模を問わず多くの人を取り巻く問題です。もっともイメージしやすいのは、ライフライン(電気・ガス・水道など)の遮断による水・食料手配の難しさですが、じつは他にも食の困りごとはたくさんあるんです。
今回は、東日本大震災で被災され、現在は防災士としても活動するイラストレーター・アベナオミさんにお話を伺いました。実際にあった食の困りごと、そして、その経験から得た教訓とは? ぜひ日頃の備えのヒントにしてください。
厳しい寒さ、水不足…災害時に食事面で困ったこと
2011年3月11日、宮城県で東日本大震災を経験したアベさん。ご家族の無事が確認できてホッとしたのも束の間、停電をはじめ通常の生活機能が失われたことで、さまざまな問題に直面したそうです。そんなアベさんに、食事面で特に困ったことを伺いました。
① 東北の3月は寒い!温かい食べ物を食べたかった
当時、東北地方はまだまだ寒い季節。停電で暖房やエアコンが使えないなかで、体の冷えは非常にこたえたそう。非常食でなんとか空腹は満たせても、電気やガスを使えないと温かい食事や飲み物を取るのは困難…。いつ訪れるかわからない自然災害の怖さを感じます。
② 生ゴミの処理に困った
大規模震災下では、ライフラインの断絶だけでなく街の機能も失われます。被災時にアベさんが実際に困ったのはゴミ処理の問題。ゴミ収集がストップした状況では、再開されるまでの間、家庭や避難所にゴミを溜めておくほかありません。生ゴミのにおいや衛生面での心配があり、食事や調理が困難だったといいます。
③ 水不足で調理が大変だった
そして、災害発生時に喫緊の課題である水不足問題。東日本大震災をはじめ、2024年元日に起きた能登半島地震でも災害発生直後の水不足が大きな問題となりました。物資の支援や給水所で水を確保できても、これまでの生活と同じようにとは到底いきません。貴重な飲料水を確保しておくために、洗い物などに極力使わないようにしていたというアベさんは「まな板や包丁を使うと洗わないといけないので調理のハードルは非常に高かった」といいます。
それらの経験から、水や食料を備蓄することの重要性を痛感したアベさん。災害直後は積極的に非常食をストックするようになったものの、「ひたすら溜め込むだけでは家のスペースにも経済的にも限界がある…」と感じたのだとか。
そこで辿り着いたのが、ローリングストック(ながら備蓄)の考え方
どうすれば無理せず続けられるかを考えたアベさんが辿り着いたのが、ローリングストック(ながら備蓄)! ローリングストックとは、日常生活のなかで「備える」「食べる」「買い足す」を繰り返しながら万が一の災害に備える、近年注目されている食料備蓄の考え方です。この方法を活用すれば備蓄食の賞味期限切れを防ぐとともに、普段から食べ慣れた食品を災害時にも食べることができるのでストレス軽減も期待できます。
どのようにローリングストック(ながら備蓄)を実践しているのか、アベさんに聞きました。
アベさんはフリーズドライ食品やレトルト食品をはじめ、米・うどん、お子さんが好きなお菓子類などさまざまな保存のきく食品をストックしているそう。
ローリングストック(ながら備蓄)のコツは、賞味期限が近いものから消費していくこと。定期的に量や内容をチェックして、不足してきたら買い足しましょう。普段の食事に取り入れる習慣がない方は、週もしくは月に一度ほどのペースで、非常食を食べる曜日や日にちを決めておくのもいいですよ!
ご飯・おかず・汁物も!便利な「ローリングストックBOX®」も活用してみて
「わが家には、どんなものを揃えればいいんだろう?」と迷ったら、ご飯やフリーズドライのおかず、汁物がセットになったアマノフーズの「ローリングストックBOX®」がおすすめ!
朝食セット・昼食セット・夕食セット(フリーズドライ食品18食)にパックご飯3点付き。ひとりが1回の食事で2袋ずつ食べると、3日分の食事になります。
フリーズドライ食品は、軽量・コンパクトなため省スペースで保管でき、お湯だけでおいしく食べられる且つ常温で長期保存可能なことから、非常食にぴったりなんです。また、セットの中には、もしもの時に役立つ知恵やヒントが書かれた「自宅避難マニュアルブック」も。一緒にBOXに入れておけばいざという時にきっと役立つはずです。
また、ローリングストックの補充用に便利な「買い足しセット」も販売中! 朝食セット、昼食セット、夕食セットの3種類があり、セット単位で買い足しできます。
【商品詳細】
18食分+サトウのごはん3パック/箱
価格5,492円(税込)
今回お話を伺ったアベさんにも、この「ローリングストックBOX®」を試していただきました!
「普段からフリーズドライ食品を活用していますが、非常食としてはもちろん、子どもたちが風邪をひいた際にもリゾットや雑炊などが手軽に用意でき、大変重宝しました。食欲がなくても、味を選んだりフリーズドライ食品がお湯で戻る様子を見ながら“早く食べたい!”という気持ちにさせてくれました。大きな災害に備えながら家庭内に起きる小さなトラブルにも備えておくのに本当にピッタリだと感じます。丼シリーズと一緒にパックご飯がついている点も、食料が不足しがちな災害時にはとても心強いです!」
最低限そろえておきたい備蓄品。「非常用トイレ」は重要!
食料調達や調理以外にも、震災直後の生活で大きなネックになるのがトイレ問題。一見、食とは別問題のようにも思えますが…
「水を飲んだり食事を取ると、当たり前ですがトイレに行きたくなりますよね。でも、災害時は水が止まってトイレが使えないことも。そうすると、飲んだり食べたりすることを我慢するようになるんです。体に良くないですし、脱水や栄養不足になる可能性も。空腹はたとえ数日我慢できたとしても、トイレは数時間しか我慢できません。なので、非常用トイレは絶対に備蓄しておくことをおすすめします!」と、アベさん。
水や食品だけでなく、非常用トイレや生活用品など必要なのは切らさない。これを習慣化できると安心ですよね。特に小さなお子さんがいるご家庭では紙おむつやミルク、ウェットティッシュなど必要に応じて必要なものを備えておきましょう。
突然やってくる自然災害だからこそ、カギを握るのは“いつもの備え”。普段から防災を意識している方もそうでない方も、いま一度災害時を想定した「食の備え」について考えてみてはいかがでしょうか。
【お話をお伺いした方】
アベナオミ/イラストレーター、防災士
宮城県在住、3児の母。2011年に東日本大震災で被災し、そのときの様子や被災を伝える活動がライフワーク。2022年には、宮城県石巻市で震災の伝承活動をしている「日和幼稚園遺族有志の会」が発行する冊子に、震災当時の様子と命の大切さを伝えるマンガを執筆。防災セミナーの講演活動にも取り組んでいる。著書に『被災ママに学ぶ 小さな防災アイデア40』(学研プラス)、『結婚1年目のトリセツ』(マイナビ出版)など多数。