読み物 2016.02.24
第3話「全力疾走!姉とマラソン大会」
【登場人物】
おかっぱちゃん…28歳、イラストレーター。いつもふざけてばかりいる末っ子。趣味はひとり旅。
あかり(姉)…31歳、会社員。真面目で仕事できる人。休みの日は常にぐうたらしている。趣味はライブに行くこととマラソン。
3話「全力疾走!姉とマラソン大会」
わたしには3つ年上の姉、あかりがいる。
仲はとても良いけれど、どういうわけか姉妹といえども性格も容姿もかなり違う。
わたしは亀のようなゆったりとした口調で話すのに比べ、姉はメトロノームのようにリズムよくしゃきしゃきと話す。わたしはいつもふざけてばかりいるが、姉は真面目な性格で賢い人。そして、体型も異なる。わたしはあまり太らない体型だけれど、姉は食べたらすぐ太ってしまう。
そんな姉と数年前、2人で暮らしていた時期があった。
一緒に住み始めて3カ月が過ぎた頃、姉がとても太ってしまったことがある。
ある時、たまたま携帯で撮った写真を見て驚いた。
姉がバ◯ナマンのH村さんにそっくりだったのだ……。
当時彼氏がいなかった姉に、わたしは
「お姉ちゃん…それじゃ嫁にいけないよ…」と悲しげに警告をした。
髪をマッシュルームカットにしたのがいけなかったのか?二重あごのあたりがボテンとしている。
その夜、姉は肉を溜め込んだ自分の身体を鏡に映し、これではいけないと翌日からジョギングをすることにした。小さな頃から運動音痴な姉がジョギングを始めるなんて!と、とても驚いたけれど、女性とは”結婚”が関わると、努力は惜しまないのかもしれない。
毎朝5キロ以上走ることを決めた姉。
ジョギングを始めて1週間、ようやく姉の身体にも変化が出はじめたようだ。
大汗をかいて走り終えると、必ず体重計で自分の体重を量る。
「わ!500gも減ってる~!!!!」
日々の変化が嬉しいらしく、ジョギングは見事日課になった。
1カ月が経過した頃、体重は3キロ減り、2ヶ月で5キロ。
あごに溜め込んでいた脂肪はどこへやら?ホッソリとした顎のラインが見えてきた。
妹の私は”あぁ、これならお姉ちゃんもお嫁に行ける日がくるかもしれない”
そう心で思い始めていた。
翌日、ジョギングに出たはずの姉がものの10分で家に戻ってきた。「どうしたの?」と聞くと、涙を流しながら「痛いよ~痛いよ~。転んだんだよ~。膝から血が出てるよ~!」とまるでこどものように泣きべそをかいている。
どうやらジョギングを始めてすぐにつまづいて転んだらしい。
おっちょこちょいな姉がやりそうなことだ。
「あ~ぁ痛そう。大丈夫?」
と心配したわたしが姉の膝に目をやると
なんと!傷口が綺麗なハート型になっている…!
嘘かと思ったが傷は本物だった。
しかも結構ひどい傷。ハートから流血!!??
というか、こんな傷見たことがない!
「お姉ちゃん!ハート型の傷口だよ!見て!ハート型だよ!? 恋愛運アップだよー!!!」
興奮したわたしが携帯でその傷口をバシャバシャと写真に収めると、「恋愛運アップするかな~。お嫁にいけるかな~?」と、姉は涙を流して笑っていた。
*****
そんな姉もこの春 結婚することになった。
ハートの傷口事件から丸6年。
えらく時間がかかったけれど、ようやく姉の恋愛運がアップしたようだ。
「あんなこともあったなぁ」と思い出に浸りながら、この春を待ち遠しく思う。
次回、4話「おじいちゃん家はゴミ屋敷」をお送りします!
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