レシピ 2016.03.15
つむぎや・マツーラユタカさんの愛用品|谷中の骨董屋で出会った「印判のお皿」
旬の食材を使った素朴な料理に定評のある、男性2人組のフードユニット・つむぎやさん。本日は、つむぎやのマツーラユタカさんが普段から愛用している「印判のお皿」をご紹介します。
実家の食器棚に1枚はありそうな、どこか懐かしい絵柄。東京の下町で出会ったという、素朴なこのお皿にまつわるエピソードをマツーラさんに伺いました。
谷中で出会った一点モノのお皿
「印判」とは、明治時代に考えられた、焼きものを量産するための絵付け技法の一つ。焼きものには、土からできる「陶器(とうき)」と、石の粉からできる「磁器(じき)」があり、印判は磁器に同じ絵を転写していくことをいいます。もともと一つひとつ丁寧に絵付けを施こす「染付」の技法で作られた器の人気が高くなったことで、量産化できるようにと、明治以降に広まった技法です。
効率的に作られるとはいえ、転写は手作業が行われるため、同じ絵柄でもにじみやズレがあるものがあって、そこが愛着を感じさせるポイントにもなっています。磁器なので割れにくく、普段使いにもぴったりですね。
量産品として、たくさんのお皿が作られたため、器屋さんなどで見かけるデザインも豊富です。転写される柄はさまざま。同じ大きさのお皿を何枚か買うなら、いろんな種類の柄を揃えてみたらおもしろいかも。
アイデア次第で料理が“化ける”
マツーラさんが東京の下町・谷中エリアを町歩きしていたある日。ふらりと立ち寄った骨董屋で見つけたというこのお皿。思った以上に使い勝手がよく、一品料理や大皿料理など、幅広いシーンで重宝しているのだとか。実はお皿の右上にポコッとふくれた箇所があるのですが…これはそういうデザインではなく、実は失敗作(!!)だからなのだとか。「つまりはB級品なんですが、逆にこれがあることで愛着が湧いてくるんです」とマツーラさん。
たしかにお皿としては役割のないふくらみ。でも、それはまるで自分のためだけに作られた一点モノのよう。「掘り出し物」って、まさにこういうもののことを言うのかもしれません。
「普段はつい土モノの食器ばかり買ってしまいがちですが、こういう印判のお皿が1枚あるだけで料理が化けるんです」と話すマツーラさんがサッと盛りつけたのは、焼きそばで作るナポリタン。和風のお皿にあえて洋食を盛りつける。そのギャップが新鮮です。
「例えば…そばちょこでコーヒーを飲むなど、どんなお皿もアイデア次第で楽しく使うことができるんです。器次第で料理の印象がガラリと変わることも。固定概念にとらわれすぎず、いろんなお皿でいろんな使い方をしてみてほしいですね」
雰囲気や元来の用途にとらわれず、自由な発想で使うことでより「自分のもの」になっていく愛用品たち。偶然出会ったこのお皿も、いまやつむぎやさんのおいしい料理を支える頼もしい1枚になっています。
【愛用品の詳細】
印判のお皿
谷中の骨董屋で購入
価格不明
[今月の料理人]
つむぎや/フードユニット
金子 健一とマツーラユタカからなる2人組フードユニット。「食を通して、人と人とを、満ち足りたココロをつむいでいく」をモットーに、和食ベースのオリジナル料理を、雑誌、イベント、ケータリングなどで提案している。「あっぱれ!おにぎり」(金園社)などの著書多数。金子健一名義の新刊「ぱんぱかパン図鑑」(地球丸)が好評発売中。http://www.tsumugiya.com/
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