読み物 2016.07.04
【第8回】免弱(めんよわ)なアナタに朗報!発酵界のアイドル、キムチが通りまーす(←腸を)
味噌汁飲んでますか?発酵デザイナーの小倉ヒラクです。
僕、免疫力弱め男子、略して免弱(めんよわ)男子なんですよね。
未熟児で生まれた直後に即入院し、小学生くらいまでアトピー・アレルギー・喘息の「免弱三種の神器」をコンプリート。熱を出して寝込んでいた時に、天井の木目模様を「これはヒツジさん」「あれは飛行機」などと識別してヒマをつぶしていたことが想い起されます。
さて。
その頃の記憶を引きずってか、パンや味噌を見るたびに「これは酵母菌」「あれは麹菌」などと識別してヒマをつぶしているヒラクなのですが、免疫機能をダウンさせないように毎朝の定番にしているものがあります。
何を隠そう、それはキムチだ!
韓国の代表的漬物は乳酸菌共和国!
読者の皆さまにもファンが多いと思われる、香辛料と酸味の効いたお漬物、キムチ。もとは韓国の食文化です。
そもそもキムチはどんな発酵食品なのかというと。
アミ(小エビなどの魚介)の塩辛を漬け床にして、そこに白菜や大根などを漬け込み、唐辛子を添加して辛味をつけた、いわば「韓国版ぬか漬け」のようなもの。塩辛にいる乳酸菌をはじめとした多数の発酵菌が野菜の多糖類を分解し、なんともいえない旨味と酸味を醸し出します。しかもそこに唐辛子のスパイシーさが加わり、ついでにその鮮やかな赤色もあいまって、見た瞬間に「い、い、今すぐ喰いてえ!」とよだれが出てくる最高峰にパブロフな発酵食品です。
でね、このキムチ。日本のぬか漬けを凌駕するほどの「菌濃度高すぎ食品」なのですね。漬け汁1gあたり1億〜3億匹(ほんとは匹じゃなくて個で数えるんだけど)の菌が棲息していると言われています。1gでアメリカ・ブラジル級、4gで中国・インド級、20gでなんと全世界の人口に匹敵するこの密度。
その中でも多数派は乳酸菌。未だに完全に解明されていないのですが、数十種の種類の異なる乳酸菌が共生しているらしく、驚くべき乳酸菌共和国となっています。
これだけの種類の乳酸菌の共生は、ヨーグルトやぬか漬けでも絶対無理。
「で、ヒラク君は何が言いたいのかね?」
お答えしましょう。
キムチは、免弱男子(女子でもいいけど)を救う免疫サポート食品なのであるよ。
乳酸菌が免弱男子を救う理由とは?
「乳酸菌をいっぱい取ると腸内環境や免疫システムに良いっぽい」と最近よく聞きますが、それって何で?って話ですよね。
すごーーーくざっくりと言えばだな。
数ある菌のなかで、乳酸菌は胃酸に溶かされないレアな菌で、食べ物と一緒に腸に侵入して、そこで色んな物質を分解したり生成したりする。
腸は人間の免疫システムが作られる場所で、乳酸菌の働きが免疫システムにナイスなフィードバックを与え、その結果免疫細胞を活発化させることが最近の研究によりだんだん明らかになってきたのですね。
で。乳酸菌って実はいっぱい色んな種類があって、それぞれ腸のなかで果たす役割が違う。
ということはだ。
キムチを食べるっていうことは、異なる役割をこなす乳酸菌がいっぺんに体のなかに入ってくるわけだから、複雑な免疫システムに対して複数のフィードバックを与えることができる。
つまり、キムチというのは発酵界の『SMAP』であることになる。
そうさ僕らは
腸まで行ける一つだけの菌
一個一個違う酵素を持つ
その酵素を発酵させることだけに
一生懸命になればいい
※厳密にいうとなぜか納豆菌も腸内まで行けるそうです。最強かよ…!
キムチを選ぶコツ、こっそり教えるよ
さてそんな美味しくて免弱サポートもバッチリなキムチ。スーパーに行くといっぱい並んでいてどれを選べばいいかわからなくなりますよね。
そんな時は、「唐辛子のゆるキャラ」あるいは「韓国直輸入」の表示があるものを選べば間違いない。「国産白菜使用」など「国産」を強調しているキムチは、発酵していないキムチ=白菜の唐辛子浅漬けの可能性がある。
※唐辛子のゆるキャラ=キムチくん。韓国産キムチ(発酵食品)に付けられているマークです。
韓国では「キムチは必ず発酵しているべし」という基準があるのだが、日本では発酵していない浅漬けもキムチと名乗っていいことになっている(そして日本のマーケットではハードに乳酸発酵した独特の香りと酸味が好まれなかったりする)。
国産キムチの甘酸っぱい旨味も悪くないが、免弱男子としてはやっぱり発酵しているものを選びたい。毎朝食べれば、スパイスの刺激でからだポカポカ、香りと旨味で食欲モリモリ、真っ青な顔色もピンクになっていい感じだぜ。
それではごきげんよう。
いつものおみそ汁人気商品ランキング
※ランキングは2022年12月~2023年11月の弊社流通出荷実績です。