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最終話「いじめられっ子の思い出」

おかっぱちゃんと難あり家族

【登場人物】

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おかっぱちゃん…28歳、イラストレーター。いつもふざけてばかりいる末っ子。趣味はひとり旅。

 

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最終話「いじめられっ子の思い出」

 

みなさんは幼少期、どんな子どもだったのだろう?

 

わたしの場合、幼い頃の思い出は色んなことがあるけれど

楽しい思い出の側にはいつも「家族」がいたように思う。

 

幼少期、わたしは末っ子で母親にべったりの甘えん坊。しかしながら、どんな子どもにも社会に出るための第一歩が待っている。大好きな母のそばを離れて、集団生活が始まったのはわたしが4歳の頃。幼稚園がその始まりだ。

 

記憶を辿ると、当時のわたしはちょっと変わり者だったようで、幼稚園で過ごす時間のほとんどを教室の隅っこにある倉庫の中で過ごしていた。倉庫の中で積み重なる紙の束や、お道具箱に入ったクレヨンを取り出して、絵を描いて過ごしたり、空想の世界に飛んでみたり…。そんな時間を自由気ままにすごしていた。

 

なぜそんな行動を取っていたのか。おそらく寂しさからきたものだろう。先生にかまってほしかったのかもしれない。

おかっぱちゃんと難あり家族

それから小学校に無事入学したわたしだけれど、ひとつだけ忘れられない思い出がある。

 

私のことを知っている人なら驚くかもしれないが、わたしは昔いわゆる“いじめ”にあったことがある。もともと男女分け隔てなく誰とでも話をするタイプだったので、よく女子のひんしゅくを買っていたのだ。この世代の女の子は、嫉妬したりうわさ話をよくするもので、わたしはそんな”女子っぽさ”が苦手だった。その感覚が、もしかしたら外に向いていたのかもしれない。

 

ある日のこと。いつも通り登校すると、クラスの女の子たちがはわたしと口をきいてくれなくなっていた。昨日まで仲良くしていた親友から「Aちゃんから話さないように言われたの。ごめんね」そんなことまで言われてしまった。

 

このAちゃんという子はクラスの権力者で、どうやらわたしと仲の良かった男の子のことを好きだったらしい。そのヤキモチから発展してしまったらしい。

 

おかっぱちゃんと難あり家族

わたしは悲しくて、悲しくて、目を腫らしながら親にこう告げた。

「いじわるな子がいる。もう学校に行きたくない」

 

すると、いつも優しい父が

「お前は間違っていないから、そんなやつ気にするな。負けるんじゃない!」

と珍しくわたしを叱った。

 

それからわたしは父の言葉を胸に、学校に通い続けた。

「負けない!負けない!負けない!」

心の中で呪文を唱えるように、毎日を過ごしていた。

 

何もなかったことにして無心に1日を過ごす。幼いなりに必死だった。そんな日々を送っているうちに、クラスメイトがわたしに声をかけてくれるようになった。おそらく、何も気にしていない様子に諦めがついたのだろう。折れなくてよかった。通い続けてよかった。この一件で、わたしの心はとても強くなった。

 

 

この経験から学んだこと

 

あれから大人になり、わたしは就職活動をせずフリーのイラストレーターという職業を選んだ。そしてよく旅をするようになり、タイやインド、メキシコにボリビア、モロッコと世界各国をひとりでよく出かけたりした。周りの友人からは「ひとりで色んな国を旅するなんて行動力あるね」と言われるが、ひとりであらゆることができるようになったのは、家族の深い愛情とサポートがあったから。そして、何より逆境に耐える精神力を幼少期に父から学んだからだ。

 

”みんなといっしょ”

”みんなとおなじ”

 

そうじゃなきゃいけないことなんて、決してない。

人と違うことをしていると、不安になることもある。

でも、その先に揺るぎない愛情と自信があれば、誰にも負けない勇気に変わる。

その想いに、次第に周りのみんなが気付いてくれるようになる。

 

いじめられっ子にも明るい未来がある。

いじめられっ子の思い出は、わたしを強くしてくれた大切な思い出だ。

 

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