まごころ出前 2016.09.13
〜前回までのあらすじ〜
アマノフーズの名物社員・島村雅人が、全国の皆さんに“思い出の味”をフリーズドライしてお届けする「まごころ出前」企画。今回は、人気ブログ「むねさだブログ」を運営しているブロガー・むねさださんの思い出の味である『手打ちうどん 七里茶屋』の鍋焼きうどんに挑戦!
前回は、むねさださんが学生時代を過ごした第二の故郷、愛媛県松山市へ行き「七里茶屋」のご主人・近藤さんが作った鍋焼きうどんを試食しました。地元で長年愛されている、むねさださんの思い出の味を再現するべく岡山に戻り早速開発に取り組む島村さん。果たして無事に完成品をむねさださんの元にお届けできるのでしょうか!?
(こちらが「手打ちうどん七里茶屋」の鍋焼きうどん。むねさださんのおっしゃる通り、だしに甘みがあって絶品でした!)
愛媛で訪れたむねさださんの思い出の店『手打ちうどん 七里茶屋』。お店のご主人・近藤さんの“本物の味”を追求する職人としてのアツい想いに共感し、とても感銘を受けた島村さん。何やら…ここ数日間、開発室にこもり作業に没頭しているという情報を聞きつけ(by敏腕助手ミムラさん)開発室をのぞいてみると…。
(コネコネ…)
「生地の厚みは3mm〜4mmがベストで…」
「麺の太さはこのくらいだったかな…?」
島村さん:やっぱり手打ちうどんって難しいなぁ〜。お店のご主人は、40年近く手打ちうどんを作り続けててさ。長く愛される味を手作業で作り続けるってすごいことだね!その味を楽しみに待つむねさださんの元に、僕も本物の味をしっかりとお届けしなきゃ…。
手作業で“長年愛される味”をお客さんに届ける「七里茶屋」の近藤さんと、フリーズドライ技術で“思い出の味”を依頼主に届ける島村さん。形は違えど誰かに喜んでもらいたい!という強い気持ちは同じ。実際にお店を訪れたことをきっかけに、島村さんの職人魂にますます火がついたようです。
島村さん:前に作った時は腰を痛めちゃってさ。今回は無事に完成したよ!でも、やっぱり手打ちでうどんを作るのって難しいなぁ…。上手く麺をカットするだけでも大変なんだなぁって思い知ったよ。
…と本音をポツリ。
今回、うどんの「麺」を忠実に再現することは、開発の重要なポイントの一つ。七里茶屋のご主人いわく、うどんの生地を作る際に、中力粉に混ぜる水の量や塩の濃度、麺を茹でる時間が違うだけで味や麺の食感が変わるとのこと。生地を作って、茹で上がるまでに半日以上かかったものの、すっかり手打ちうどんの魅力に目覚めたという島村さん。
むねさださんに納得のいく、おいしい「鍋焼きうどん」を届けるためにもここは妥協できませんね!
少しでも七里茶屋の麺の食感に近づけるべく、いろんな種類の「麺」を用意しました。
茹で終えた麺を均等に容器に入れて凍らせます。
実際にフリーズドライにしてお湯で戻した時の再現性を細かくチェック!
9種類の麺を使って、茹でる時間やお湯の量を調整しながら、七里茶屋の「鍋焼きうどん」にぴったりな麺を選定します。様々な方法を試しながら、麺に適した条件や種類を決めるだけでも2週間以上かかったという “うどんの麺”の開発ポイントは?
島村さん:使用する麺の製造会社や種類によって麺の太さや適した茹で時間も違う。食べた時の歯ごたえや麺のコシにも違いがあるし…。例えば、麺が太すぎるとお湯をかけても復元せずに塊のまま浮かんじゃうんだよね。ちゃんとほぐれたとしても硬くて、バリバリした食感で…。でも、七里茶屋の鍋焼きうどんは平たくってモチっとした食感だったから、もう少し食べ比べて検証してみようかな。
(ズズッ…)
島村さん:ここ数ヶ月、毎日うどんばっかり食べてるんだよなぁ…。
島村さんが実際に開発する際には①調理→②味見のステップを何度も繰り返します。自分が納得いくまで作り続ける島村さんのフリーズドライに対する情熱…!きっとむねさださんにも届くはず!
とはいえ…今回は麺の他にも「ボリューム満点の具材」と「甘みのあるだし」を再現する必要があり、難題は山積み。完成までの道のりはまだまだ遠そうです。
七里茶屋で食べた鍋焼きうどんの具材は、ねぎ・ごぼう・しいたけ・牛肉・卵・油揚げ…と種類が豊富。上にはドーンっと大きなエビ天までのっていて、食べ応えたっぷりでした。島村さんは試行錯誤しながら具材のサイズや調味料などを少しずつ調整していきます。
なかでも一番の難題は、このエビ天!衣しか戻らない可能性があるので、エビを平らに開いてから調理するなど様々な可能性を試しましたが、やっぱり見た目も本物に近づけたい!という一心で、エビをまるごと1本使用することに。
具材の種類が豊富なので、エビ天とうどん以外の開発にも大変時間がかかりました。復原性を良くするために椎茸と油揚げを数日間じっくりと煮込んでみたり、具材からだしに甘みを引き出せるかを試したり…。具材の味わいと、だしの甘みがどのように絡むのか細かくチェックしていきます。
その結果、油揚げ・ゴボウ・椎茸・牛肉の味付けを少し薄めにして調整が完了。だしは過去に商品化されたアマノフーズの秘伝の味「麺の具とつゆ」シリーズを応用し、様々な調味液やエキスでだしの甘さを引き出すことになんとか成功!
島村さん:う〜ん、香りも良い感じ!見た目はかなり本物に近い仕上がりになったんじゃないかな。
七里茶屋の鍋焼きうどんと同じく具材は、ねぎ・ごぼう・しいたけ・牛肉・油揚げ・エビ天。復原性を重視して月見たまごは「かきたま」、かまぼこは「かにたま」に変更しましたがボリューム満点でおいしそうです。開発当初の試作ではネギ以外すべて復元せず、どうなることかと思いましたが…これは期待できそうですね!
型に流し込んだ鍋焼きうどんを冷凍して…
天野実業にある島村さん専用マシーン「島村号」を真空状態にして、鍋焼きうどんに含まれる水分を抜き、フリーズドライにしていきます。
いよいよ完成間近…!
オープン!!
じゃーん!!
島村号を使って数時間、ものによっては数十時間かけて徐々に乾燥させていくんです。フリーズドライされるとこのような仕上がりに!
試行錯誤の末、ようやく島村さんの納得のいく仕上がりまでたどり着いた七里茶屋の「鍋焼きうどん」。しかし、「まごころ出前」の本題はこのあとの依頼人へのお届けです!
鍋焼きうどん完成!ということで、早速むねさださんの元にお届けしてきました!
今回はギフト風ラッピングでお届け。
むねさださんにとって、七里茶屋の「鍋焼きうどん」は、奥様と過ごした大学時代の思い出が詰まった一品ということで、思い入れもひとしお。この日をとても待ち遠しく思っていたのだとか。
中を開けてみると…
むねさださん:お〜!具材のボリュームがすごいですね〜!
むねさださんのおっしゃる通り、具材た〜っぷり。うどんとだしと具材…もちろん一番の難関だったエビ天までまるごとフリーズドライされています。何度も試作を繰り返しながら完成した島村さん渾身の一品です。
むねさださん:全部フリーズドライで出来ているなんて、これはすごいですね…!
七里茶屋の鍋焼きうどんに少しでも近づけるべく、土鍋に移し替えて・・・
(季節がら、鉄鍋は入手できませんでした!)
コポコポコポ…
ゆっくりとまんべんなくお湯を注ぎます。
ついに復元完了!熱々うどんにたっぷり具材、大きなエビ天がドーンっと乗っているこの見た目。まさかフリーズドライで作られているとは思えない完璧な仕上がりです。
むねさださん:いただきます!
むねさださん:ネギの食感がシャキシャキしていますね。玉子のとろみとすごく合っていて、美味しいっ!。牛肉とだしのこの甘さ…かなりお店の味に近くって懐かしい気持ちになりました!
具材の種類やサイズ感は多少調整をしたものの、ネギの食感やだしの甘みがとても好評価でした。
むねさださん:麺とゴボウが若干細いかなぁ…とは思ったんですが、トータルで見ると、具材の味付けや食感などお店の味がちゃんと再現されていて、びっくりしました。エビ天もまさかフリーズドライになるなんて…。
むねさださんは、最初にお湯をかける時にエビ天には少し多めにお湯をかけたそう。そうすると、うどんの汁が多めにかかった部分はしっかりと戻って、あまりお湯がかからなかった部分はサクサク感が多少残っていたので、フリーズドライならではの食感も楽しむことができたとのこと。
あっという間に完食!
むねさださん:七里茶屋の「鍋焼きうどん」は、愛媛に住んでいた頃を思い出す忘れられない味です。奥さんと一緒に通っていた“思い出の味”を愛媛を離れてから、まさか自宅で食べることができるなんて思ってもみませんでした。お店のうどんの食感や甘いだしの再現性はもちろん、お湯をかけてあっという間に戻る“フリーズドライ”の奥深さを知ることができたのでとても満足です。
むねさださんにも喜んでもらえてよかった〜!
というわけで…今回の出前も無事に完了。35年に渡って愛される「七里茶屋」の味をお届けするということでなかなか苦労しましたが、思い出の味を再現するというミッションだけでなく、フリーズドライならではの味わいや楽しみ方を再確認できました。これからも島村さんの新たな挑戦はまだまだ続きます。果たして次なるお題は…? それではまたアマノ食堂でお会いしましょう。
撮影協力/手打ちうどん七里茶屋
\どんな注文もおまかせ!/
アマノ食堂では、島村さんにまごころ出前してほしいという方を随時募集中!必要事項と理由を添えて contact@amanoshokudo.jpまでメールでご連絡ください。
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【必要事項】
・お名前
・年齢
・職業
・電話番号
・お届けしたいor届けてもらいたい人との関係性(母親、息子、娘、恋人…etc.)
・お届け先(例)岡山県→東京都
・依頼したい料理
(例)岡山県に住む母親がつくる豚汁、遠恋中の彼女がつくる肉じゃがなど
・その料理にまつわるエピソード
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