まごころ出前 2016.10.07
これまで数々のヒット商品を生み出してきたアマノフーズの名物開発者・島村雅人。フリーズドライ食品の開発に人生をかけて30年以上、人はそんな彼を“フリーズドライの伝道師”と呼ぶとか呼ばないとか…。この『まごころ出前』は、そんな彼が全国の依頼主のもとへ「思い出の味」をフリーズドライしてお届けする企画です。
フリーズドライ食品は賞味期間が1年以上と「保存性」の高さが特長。手料理だと通常食べられる期間が短く、運ぶのも困難なので特に遠く離れている人へ届けるのは難しいですよね。でもフリーズドライすることで物理的な距離をも越えられる!そんなメリットがあるのです。
加えて「お湯だけでいつでも手軽においしく食べられる」こともポイント。お湯を注いだ瞬間にまず香りで、そして一口食べれば思い出の味が一瞬にして蘇る。唯一無二の“思い出の味”、まごころ込めてお届けしますよ!
依頼主は福島在住の吉田美紀子さん。なんと去年の12月に結婚したばかりの新婚さん!そんな彼女が“思い出味”をお届けしたい相手とは?
美紀子さん:東京に単身赴任中の主人に。東京で1人暮らしをしているので、一緒にご飯を食べることがなかなかできないので、「芋煮」を届けたいです。
—今回なぜ“思い出の味”に芋煮を選んだのですか?
美紀子さん:主人も私も福島出身で。福島では学校で「芋煮会」という季節行事があるほど、昔から親しまれてきた郷土料理なんです。
—芋煮会…!?どんな行事なのか気になります。
美紀子さん:河川敷で、芋煮を囲んでみんなで食べるんです。私も学生の頃、マラソン大会の後に大勢でワイワイ芋煮を食べた記憶があります。すごく良い思い出ですね。
—楽しそう…。そんなおいしそうな行事があるんですね。
美紀子さん:芋煮と一言で言っても、地域によって具材や味付けが違うんです。福島の芋煮は、豚肉と里芋がメイン、最後に味噌で味付けします。1人暮らしをしている主人に地元で親しんできた思い出の味を届けたいですね。
新婚さんで、しかも遠距離中。遠くから旦那さんのことを想う、健気な美紀子さんの姿にグッときました。“愛情&まごころ”が込もったその想い、しっかりと東京にお届けしますよ! ね、島村さん。
いわき市は福島県の浜通りの南部にあり、県内で最大の人口・面積を持つ中核都市。映画「フラガール」の舞台としても知られる街なんです。
“東北の湘南”とも呼ばれ、国際港「小名浜港(写真・左)」を持つ近代都市としても、ますます発展を遂げるいわき市。今年の10月1日には市制施行50周年を迎えるそう。
そんな魅力的な街・いわき市で、ひと際目立つ青いジャンバー。
手に持った紙袋には、『AMANO FOODS…』
やっぱり島村さんだぁ〜!!!
毎回、全国各地を飛び回る島村さん。実はいわき市を訪れるのは今回が初めてなのだとか。岡山からやってきて、いつも以上に長い移動ということもあり若干疲れているような気が…。大丈夫でしょうか!?
依頼主の美紀子さんのご自宅に向かう道中…
目の前には、阿武隈山地から太平洋に注ぐ「夏井川」。川前から小川郷までの約15kmの間は、夏井川渓谷として県立自然公園に指定されている、四季折々の自然を楽しめることで有名なんだそう。
そして、見て下さい。駅に到着した時とは別人のようなこの表情を…
島村さん:だって僕、晴れ男だからさ。天気予報で雨っていう日でも“晴れ”にしちゃうんだから〜。
前回の「愛媛編」では、移動中はずっと雨だったような記憶が…。でも、いつも以上に(!?)元気な島村さんに一安心!
今回の目的は、美紀子さんの作る「芋煮」を再現するべく、ご自宅に訪問して作り方を教えてもらうことです。
現在、料理を勉強中ということで少し緊張ぎみの美紀子さんですが…
出会って数分でこの笑顔♪相手の心をがっちり掴む島村さんのコミュ力には毎回脱帽です。
〜数分後〜
島村さん:いや〜、いわきってすごく良い所だねっ。ほんとに来てよかった〜。
実家のように、くつろぐ島村さん。
(美紀子さんが、ご夫婦の思い出が詰まったアルバムを見せてくれました)
旦那さんがプロポーズの時に、黄色いバラをプレゼントしてくれたそう。離れていても、とっても仲良しなご夫婦。素敵ですね!
福島名物“ままどおる”を頬張りながら…
「新婚って良いよね〜。もう僕は29年前かぁ…」と新婚時代を振り返る島村さん。ちなみに、島村さんにとって、奥様との“思い出の味”は「ピザ」だそう。子供達が好きなのでよく作ってくれて、小さい頃に一緒に食べていたんだよね〜!と貴重すぎるプライベート情報まで教えてくれました。
思い出の味を忠実に再現し、旦那さんにお届けするために、具材の種類や大きさ・切り方など細かい部分までチェックしていきます。美紀子さんが芋煮に使う材料は、里芋・豚ばら肉・大根・にんじん・ごぼう・こんにゃく・しめじ・しいたけ・ねぎ・油揚げ…と具だくさん。
まずは、芋煮のメインでもある「里芋」の皮を剥きます。以前、仙台編で「ポトフ」に挑戦した時に、島村さんの天敵“ジャガイモ”をフリーズドライにするという大きな難題を無事に乗り越えました。イモ類はフリーズドライで再現するのがとても難しいので、今回の里芋も難しくになりそうな予感。
その他の野菜も手際良く、カットしていきます。大根・にんじんはいちょう切りに。ごぼうは、皮をそいで乱切りにして水にさらしておきます。
島村さん:こうやって、奥さんの料理ができあがるのをリビングで待つのっていいよね…。
奥さんの手料理を忠実に再現して旦那さんにお届けするということもあり、今回島村さんは美紀子さんの“見守り役”に徹すると決めたんだそう。少し離れた場所から、芋煮ができあがるのを静かに待ちます…。
※5分後
やっぱり台所の様子が気になってしょうがないという島村さん。美紀子さんの邪魔にならないように後ろから見守ります。
静かに見守ると言いつつも・・・何やら気になるものを発見!
「ん!? これは…??」
福島産の椎茸。その名も“いわきゴールドしいたけ”。県内でも最大級の広さの工場を持つ「いわき菌床椎茸組合」が生産している椎茸で、みずみずしく、なめらかな食感が特徴なんだそう。
いわきゴールドしいたけ・油揚げ・ネギをカットして…
切った具材を鍋に入れた後、中火で煮ていきます。美紀子さんが作る芋煮は、福島風の味噌で味付けするのがポイント。
全ての具材を入れて煮込むこと数分…
大きな里芋に爪楊枝を差して、中まで柔らかくなっていることを確認。
台所は芋煮のいい香り♪
島村さんも思わず「おぉ〜!おいしそう・・・」と芋煮の入った鍋に釘付け。
美紀子さんの調理の様子をずっと背後から見守っていた島村さん。完成した芋煮を見てこの表情。これはとっても期待できそう!どんな芋煮ができあがったのでしょうか…?
メインは、この大きな里芋。旦那さんの大好物はお肉ということもあり、豚肉もたっぷり!これは食べ応えがありそうですね。
東北地方で親しまれる芋煮ですが、実は地域によってメインの具材や味付けもそれぞれ異なるんです。福島では「里芋&豚肉」がメインのため“豚汁風”の芋煮が一般的な味として親しまれているんだとか。
「いただきま〜す!」
美紀子さん:旦那さん以外の人に手料理をこうやって食べてもらう機会って少ないので、やっぱり緊張しますね…。
島村さん:おっ、里芋のサイズもやっぱり大きいね。
開発の天敵はやっぱり、この“大きな里芋”とのこと。これまでも数々の難題を乗り越えてきた島村さん、開発に向けて良いアイデアは浮かんだのでしょうか?
島村さん:里芋にもエビ芋とか…いろんな品種があるからね。どれが戻りやすいのか試してみようかなぁ…。とりあえず、今は作ってくれた芋煮をしっかり味わないと!
美紀子さんの想いが詰まった芋煮を旦那さんの分までしっかりと味わいます。
(旦那さん先にごめんね…!by島村)
「こりゃ、おいしい!!」
島村さん:しっかりと煮込んであって…味噌が具材にも染み込んでいて、おいしい!こういう料理が食卓に出てくるなんて幸せ者だな〜
ふと気付けば、父&娘のような雰囲気に…。
撮影のことをすっかりと忘れて、黙々と食べ…
島村さん:芋煮って…具材もボリュームたっぷりだし、お椀1杯分でもこんなにお腹に溜まるんだね。美紀子さんの言っていた「芋煮会」って、外に行ってみんなでワイワイしながら食べるものだと思うから…1杯でお腹にたまるボリュームで僕も再現できるようにしたいなぁ。
東北地方の季節行事として親しまれる「芋煮会」。島村さん曰く、具材の大きさや量によって戻すお湯の量も変わるので、今回の完成品のお湯の量はアマノフーズのおみそ汁の1.5倍くらいの、だいたい200ml〜250mlくらいが理想的なボリュームになるんだそう。再現性だけでなく、食べる時に必要なお湯の量や具材のボリューム感など納得のいくものを旦那さんに届けるべく、頑張りますよ!と気合いも十分。
美紀子さんの作ってくれた芋煮、とってもおいしかったです!
ごちそうさまでした!!!
さて、そろそろおいとまの時間…と思いきや
お昼に作っていたハンバーグも実食!
せっかく美紀子さんが作ってくれていた“ハンバーグ”。去年の旦那さんの誕生日に作ってあげた“思い出の味”でもあるんです。
ついさっき、具だくさんの芋煮を完食したばっかりですが…
島村さん:お腹いっぱいになったんだけど、ハンバーグも見ていたら食べたくなっちゃった…
「いただきます!」
島村さん:ハンバーグもおいしいね!芋煮食べたばっかりだけど、お昼時だし…。少しくらい食べ過ぎても良いよね。
…と言いわけしながら、ハンバーグも完食。
「ごちそうさまでした!!!」
島村さん:おいしい手料理を食べた後の麦茶って格別だね〜。
美紀子さん、芋煮&ハンバーグごちそうさまでした!
さて、これから開発室に戻って、早速芋煮のフリーズドライに挑戦します。次回は、完成品を東京にいる旦那さんの元へお届けしますよ!美紀子さんの愛情&島村さんのまごころが込もった思い出の「芋煮」。果たして、無事に仕上がるのでしょうか!? それでは、次回のアマノ食堂でお会いしましょう。
\どんな注文もおまかせ!/
アマノ食堂では、島村さんにまごころ出前してほしいという方を随時募集中!必要事項と理由を添えて contact@amanoshokudo.jpまでメールでご連絡ください。
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【必要事項】
・お名前
・年齢
・職業
・電話番号
・お届けしたいor届けてもらいたい人との関係性(母親、息子、娘、恋人…etc.)
・お届け先(例)岡山県→東京都
・依頼したい料理
(例)岡山県に住む母親がつくる豚汁、遠恋中の彼女がつくる肉じゃがなど
・その料理にまつわるエピソード
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