たまご
季節の食材のHOWTO 2017.04.12
元・寿司職人が直伝!神山町『キャメルバック』の玉子サンドがおいしい理由
意外と知られていない春の旬食材といえば「卵」。そんな今だからこそ「一度は食べてみたい!」そのおいしさを再実感できるスペシャルな「玉子サンド」をピックアップ!全国の数ある玉子サンドのなかでも、今ひと際注目を集めているのが、渋谷・神山町にある『キャメルバック サンドウィッチ&エスプレッソ(CAMELBACK sandwich&espresso)』 ※以下、キャメルバック』の元・寿司職人が作る玉子サンド。一体どんな味なの?普通の玉子サンドとどう違うの?人気の秘密を探ってきました。
話題の玉子サンドを求めて“奥渋”こと渋谷・神山町へ
飲食店が多く立ち並ぶ渋谷・神山町の裏路地に佇む『キャメルバック』。道行く人がおいしいサンドウィッチとコーヒーを求め、ついふらりと立ち寄ってしまう開放的な雰囲気が魅力。さすが奥渋、素敵です。
目印はガラス張りの入り口にある、印象的なラクダのロゴマーク。
店内にもラクダにまつわる絵やインテリアが至る所に飾られています。
お店のメニューはサンドウィッチと、本格エスプレッソコーヒー。フード担当は、寿司職人として長年経験を積んできた成瀬さん、コーヒーはバリスタの鈴木さんが担当。実は高校時代からの友人(!)という2人がそれぞれの分野で技術を磨き、2014年12月にここ神山町で『キャメルバック』をオープンしたんだそう。
名物は、元・寿司職人が作る「すしやの玉子サンド」!
じゃーん!!
全9種類あるサンドウィッチのなかでも特に人気なのが、写真の「すしやの玉子サンド」(税込410円)。『キャメルバック』を開く前、成瀬さんが寿司職人として身に着けた技術を活かして1つ1つ丁寧に焼き上げた卵焼きです。見てください!このコロンとしたかわいい形…ついつい見とれてしまうほどキレイな卵の色!厚焼きの卵焼きが、もっちもちのコッペパンでまるごとサンドされています。見た目からすでに一般的な玉子サンドと大きな違いが。
お寿司屋さんでは魚介のネタが主役ですが、卵焼きも欠かせない存在ですよね。しっとりと甘くて上品なお寿司屋さんならではの卵焼き。家庭で作る一般的な卵焼きとはまったく違うおいしさがあります。
ちなみに、この「すしやの玉子サンド」は平日は50〜60個、土日は80〜100個の限定販売のため、閉店前には売り切れてしまうことがほとんど!
門外不出の職人ワザ。特別に見せてもらいました!
こちらは『キャメルバック』のサンドウィッチ担当であり、元・寿司職人でもある成瀬隼人さん。今回は、なんと「すしやの玉子サンド」の作り方を一部見せていただけることに!職人時代から秘伝のワザとして受け継がれてきた卵焼き。その調理工程を公に見せることはなかなかないそう。本当にいいんでしょうか!(嬉)
卵焼きをおいしく作るには「下準備が9割」
この日は54個分の卵を使うんだそうです!
具材の卵焼きを作るのは、販売する前日の夜と当日の朝。この限られた時間で一気に焼き上げるそう。使用する卵は選び抜いたこだわりの1種類のみ。卵を選ぶポイントはあるのでしょうか?
成瀬さん:何種類かを実際に焼き比べて、選び抜いたものを使っています。お店で使っているのは「サンキの濃卵」というもので、色も黄色くスタンダードでありながらコクと旨味がしっかりとしていてバランスのいい卵なんですよ。
(まずは濃卵をかくはん!すごく力がいりそうな作業です)
卵を溶きほぐす時には、こし機を使って、丁寧に卵の溶きほぐし、“コシ”がなくなるまで勢いよく混ぜるのがポイント!しっかりとコシを切っておくことで、なめらかな舌触りに仕上がるのだとか。
(溶いた卵と秘伝のだしを混ぜ合わせます。寿司職人時代からの知識と技術が、一つ一つの工程に詰まっているんですね!)
成瀬さん:お寿司屋で働いていた頃から、卵焼きには“鮪(まぐろ)だし”を使っていました。一般的な鰹(かつお)だしだとコクが強く後味が魚っぽくなるんですが、鮪だとあっさりとした風味になるんですよ。
(混ぜ合わせた後に、「気泡を取る」作業も大切なのだそう!)
成瀬さん:気泡をしっかり取り除くことで、ぎゅっと凝縮されてスカスカしない“濃密な卵焼き”になります。これ一つで味わいもグッと変わるんですよ~。
卵の種類からだしについてまで、とっても詳しく教えてくれる成瀬さん。到底、私のような素人には同じクオリティのものは作れないまでも、おいしい卵焼きを作るには練習あるのみ!
ポイントは「こし機でコシがなくなるまでしっかり混ぜること」と、「細かい気泡を取り除くこと」とのこと。この2つのポイントは自宅で卵焼きを作る際にも応用できるそう。家庭でよく使われるテフロン加工のフライパンで作る時も参考になりそうですね!普段の卵焼きをもっとおいしくしたい人はぜひトライしてみて。
さて、下準備が終ったところで実際に焼くところを見せていただきました。
すぐに焼くのかと思いきや…ここでも事前準備が肝心。四角い卵焼き器に油を敷き、1時間以上加熱し続けて油を馴染ませます。
卵焼きを焼く時は、専用の銅製の卵焼き器を使用するという成瀬さん。取り扱うのが難しいので、使い込むまでに1ヶ月近く火入れを繰り返すんだそう。準備の段階でも細部まで手間暇かけて行う、まさに職人技の世界!
その後、表面の余分な油までしっかり拭き取り、ツルツルになるまで何度も繰り返します。
成瀬さん:この下準備が仕上がりの9割を占めると言っても過言じゃありません。普通は卵焼きを作るごとに油を引いたりしますが、僕の場合は油を敷くのは最初の1回だけ。どれだけ念入りに下準備をするかで完成度も変わってくるんです。大変ですけどね(笑)。
焦がさないよう1つ1つ丁寧に焼き上げる
下準備が完了したら、溶き卵を流し込みます。
(次々と卵焼きを完成させていく成瀬さん。誰にも真似できない職人技は間近で見ても圧巻でした!)
成瀬さん:焼いている間は手を止めず常に動かしています。直火の上に置いたりのんびりとしていると、すぐに焦げ目がついてしまうので。余熱で火を入れていくイメージですね。
卵焼き器を縦に横にとずっと動かしながら、1つずつ卵焼きを作っていく成瀬さん。火加減や焼く秒数もすべて体に染み付いているのだとか。…すごい!1個焼いたらまた1個と、これを何度も何度も繰り返すんですよね…。なんて気が遠くなる作業!ここまで手が掛かっているなんて…(汗)。
形や色が整った美しすぎる卵焼きはまるで芸術作品。この卵焼きを1つ作るのに使う卵は2個。かかる時間は約2時間…。54個分の卵から、27個の卵焼きを丁寧に丁寧に焼き続けます。
素材を活かす、職人直伝のひとひねり
「すしやの玉子サンド」というメニュー名の通り、職人時代に培った秘伝の味や技術をとても大切にしている成瀬さん。調理するうえで大切にしているこだわりを聞いてみました。
成瀬さん:お寿司もサンドウィッチも“シャリやパンをよりおいしく食べられるように仕上げる”という意味では、卵の役割は根本的に同じです。焼き方やだしも、お寿司屋で働いていた頃から変わっていません。
大きいサイズがお寿司屋さん時代に作っていた卵焼き、小さいサイズが「すしやの玉子サンド」で使われている卵焼き
成瀬さん:唯一の違いは甘さ加減です。お寿司屋さんでは全てのお料理とのバランスを考えた味付けになっていますが、玉子サンドにする場合、パンと発酵バターと合わせるのですこし甘さを控えた方がバランスが良くなりました。全てがほんのり甘いので和からしで味を引き締めます。そうすることでぼやけた味にメリハリがつきます。
そして、もう一つ「すしやの玉子サンド」に欠かせないのが見た目のかわいい三重県産の“桑名もち小麦”を使用した「カタネベーガリー」のコッペパン。和がらしを丁寧に塗り、焼き上げた卵焼きを半分にカットして、コッペパンを挟めば完成です!
パリッ!もちっ!玉子のおいしさが引き立つ最強コンビ
もちもちとした“コッペパン”と、職人の技術とこだわりが詰まった“卵焼き”から生まれる「すしやの玉子サンド」。ひと口食べると、パン表面のパリッとした食感の後にもちもち感がやってきて、ふわっふわの玉子と、和がらしのツーンとした味がなんとも絶妙なバランス!玉子サンドの概念を覆すミラクル玉子サンドといっても過言ではないです。
「僕がやるべきことは、お寿司屋さんで勉強させて頂いたことを再現することです。それらを大切にしながら新しい組み合わせに挑戦したいですね」と話す成瀬さん。
玉子サンド界のなかでは“革新”ともいえる「すしやの玉子サンド」ですが、それは職人技術の“伝統”の延長で生まれたものだったんですね。
お店に伺うまでは「410円は少し高いなぁ」と正直思っていたのですが、実際に調理工程を経て出来あがった玉子サンドを食べると「この味で、あの手間で、410円って安すぎるんじゃ…!」と不安に感じてしまったほど。職人技術とこだわりがギュッと詰まった「すしやの玉子サンド」。食べた瞬間の感動は、ぜひ実際にお店に足を運んで味わってみてください!
【今回協力してくれたお店】
キャメルバック サンドウィッチ&エスプレッソ(CAMELBACK sandwich&espresso)
【住所】東京都渋谷区神山町42-2
【電話番号】 03-6407- 0069
【営業時間】 10:00〜19:00
【定休日】月曜日
【URL】http://www.camelback.tokyo/
※記事公開時の情報となります。最新情報は店舗公式サイト/SNSでご確認ください。
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