注目ニュース 2024.06.28
麻布台ヒルズ「Pizza 4P’s Tokyo」「おいしい」の背景に触れるピザレストラン【都内のエシカルショップ特集 vol.1】
6月5日は環境の日。1972年にストックホルムで行われた「国連人間環境会議」の日に由来します。
環境省では毎年6月を『環境月間』と定め、さまざまな取り組みを行なっています。
私たちの身近な「食」を通して、サステナブルで地球や社会に配慮した取り組みを行う飲食店や小売店を紹介する連載企画がスタート。
これを機会に環境や社会について、少し思いをめぐらせてみませんか?
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今回はグローバルでお店を運営するベトナム発のピザレストラン「Pizza 4P’s Tokyo」をご紹介。
作り手から食べ手まですべてをひとつにつなぐお店で、私たちにもできる「身近なサステナブル」を考えます。
アジアを中心に33店舗を展開するピザレストランが日本初上陸
「Pizza 4P’s」(以下、4P’s )は2011年にベトナム・ホーチミンで創業したピザレストラン。
ベトナムの高原地帯ダラットで栽培されるオーガニック野菜や、自社工房で作るチーズを使ったピザで人気を呼び、現在はカンボジア、インド、インドネシア、日本で33店舗を展開しています。
ブランドが掲げるビジョンは「Make the World Smile for Peace」。
原点にはオーナーの益子陽介さん・高杉早苗さん夫妻が友人とともに過ごしたピザパーティーでのひとときがあり、あの幸せな時間を世界中の人たちとシェアしたいとの想いからスタートしました。2023年11月には日本初出店として麻布台ヒルズに東京店をオープン。すでに2か月先まで予約が埋まる人気店になっています。
ビジョン達成のため、国ごとの店舗でコンセプトが異なるのも特徴のひとつです。
創業地のベトナムではエデュケーションとエンターテインメントを掛け合わせた「エデュテインメント」に注力しており、店舗で自然の循環を学べる仕組みを導入しています。
池で魚を飼い、その糞を肥料にして野菜やハーブを育て、子どもたちがそれを摘んでピザを作るワークショップを企画。さらに、食べ残しや生ごみはミミズにあげて、そのミミズを魚が食べるという循環も生まれています。
ごみ問題が深刻なカンボジアのコンセプトは「ゼロ・ウェイスト」。2店舗のごみを20種類に分別し、廃棄物は、コンポストや鳥の餌などに活用することも。2022年にはリサイクル率91.1%を達成しています。
東京店のコンセプトは「Earth to People -Oneness-(地球から人々へ-ワンネス-)」
今回取材に伺った東京店のコンセプトは「Earth to People -Oneness-(地球から人々へ-ワンネス-)」。
その背景には「先進国の中で日本の幸福度は圧倒的に低い」という課題がありました。
人も、自然も、すべては地球を構成するひとつの要素。「おいしい」や「楽しい」というポジティブな食体験からその事実に気づくことで、幸せを感じられたり、思いやりが生まれたりするのではないか――。
その想いは料理からインテリアに至るまで細部に宿ります。
河原に置いた石の自然な形状を再現したテーブルの配置や、ベトナム産のハンドメイドタイルを使った温かな色味の壁。
奥のテーブルには規格外で食材として使えなかった海藻と和紙から作られたランプシェードが飾られていたり、ソファーには野菜の皮などの食品廃棄物で染めたクッションが並べてあったり。
コースターはベトナムのリサイクルブランドが使用済みのプラスチックで製造しているそう。
料理、空間デザイン、プロダクトひとつひとつにストーリーがあり、自然や地球とのつながりを感じさせてくれます。
さらに「ワンネス」を体現するのがお店のメニュー。雑誌のような厚みで、生産者、デザイナー、クリエイター、サプライヤーなど、お店に関わるすべての人を紹介しており、思わず読みふけってしまいます。
飲食店ではオーダーを済ませるとついスマホを触ってしまいがちですが、デジタルデトックスの良い機会にもなりそうです。
店内にチーズ工房を構える東京店。日本ならではのメニューも多数あるとのこと。今回は人気の3品を教えていただきました。
環境問題にも触れる、日本ならではのメニュー
自家製のブッラータチーズを崩しながらいただく。「Pizza 4P’s」の看板メニュー
「Pizza 4P’s」を代表するメニューが、「4P’sシグネチャー ブッラータ、生ハム、ルッコラSince 2013」。
素焼きしたピザにルッコラ、トマト、食品添加物不使用の生ハム、自家製のブッラータチーズをのせています。
東京店ではピザ生地は北海道産の小麦粉を4種類ブレンド。小麦粉に入れる水の量や発酵具合など細かく分析を重ねて開発したそう。
自家製チーズの原料である生乳は、千葉で放牧を中心とした酪農を営む須藤牧場から。クリーミーなコクと甘みがあり、ピザ全体を優しく包み込みます。
ルッコラやトマトからはフレッシュ感や自然な甘みが伝わり、生ハムの塩気もアクセントに。さっぱりとした食べ心地が楽しめます。
海藻の旨みがぎゅっと詰まった日本オリジナルピザ
「Pizza 4P’s」では店舗ごとに、各国限定のメニューを揃えています。東京店で人気が高いのは「すじ青のりとおかひじき あさり」。
高知県で地下海水を使った循環型の陸上養殖を行なう「SEA VEGETABLE」のすじ青のりをメインに、畑の海藻とも呼ばれるおかひじき、煮付けたあさりをトッピングしています。
濃厚な青のりの風味とおかひじきのシャキシャキとした食感がよく合い、和食のような味わいが楽しめます。
メニュー開発の経緯には、海藻を食べる日本ならではの文化を守る意味や、近年拡大している海の磯焼けへの問題提起などが含まれているそう。
チーズの副産物「ホエイ」を活用したベトナムのローカルスイーツ
最後は、ベトナムで親しまれるローカルスイーツ「チェー」を4P’s流にアレンジした「季節のフルーツと3種のホエイチェー」。
“3種”とは、自家製チーズの製造時に出るホエイを有効活用し、グラニテ(氷菓)、寒天、シロップに仕上げているから。柑橘など季節のフルーツと合わせ、ベトナムのレンゲですくっていただきます。
さまざまな柄のレンゲからお客さまに好きなものを選んでもらうスタイルです。爽やかさがありつつ、コクのあるミルキーな味わいも。暑い時期には特にうれしいひと皿です。
定休日以外、毎日お店で仕込むという自家製チーズ。その分ホエイもたくさん出ますが、ドリンクやピザ生地、ビールの原材料などさまざまな用途に活用しているそう。
製造の様子が見えるガラス窓には、アップサイクルの様子が描かれています。
目の前の食事に想いをめぐらせることが、「サステナブル」の第一歩になる
環境や社会に配慮した取り組みを世界規模で行っている4P’s。2021年からは各事項の達成度を数値化した「サスティナビリティレポート」を毎年発表しています。
続けていくのは大変なことですが、徐々に従業員の意識が変わり、ポジティブな気持ちでサステナブルな行動に取り組むようになっているそう。また、環境に配慮する企業との共創もさまざまな形で実現するようになったといいます。
しかし、こうしたサステナブルな取り組みは、あくまでブランドのビジョンを達成するための要素のひとつ。コンパッションあふれる活動を続けることで、お客さんも自然に興味を持ってくれるのではないかと考えているそう。
最後に、Pizza 4P’s東京店でチーフディレクターを務める久保田さんに、「身近でできるサステナブルとは何か」を伺いました。
「食事の時間は毎日2~3回あります。普段からつい無意識に過ごしてしまいがちですが、その食べ物がどこから来て、どう作られているのか、思いをめぐらせることからサステナブルを意識することができるのではないでしょうか。
そのきっかけを作るために 4P’sでは『食べる瞑想』ができるプログラムも用意しており、音声ガイダンスを聞きながら、五感を通じてそのひと皿と向き合うことができます。
自身の意識が変われば見慣れた自然への印象も変わり、環境や社会への感謝の気持ちからコンパッションが生まれ、アクションを起こしたくなるかもしれません」
今後はお客さんから希望者を募り、農場訪問などを行う「Tour 4P’s」の開催や、ブランドビジョンやコンセプトを丸ごと伝えるための島をつくる「Island 4P’s」 などを計画しているそう。
これからのPizza 4P’sも楽しみですね!
身近なことからサステナブルを。長期保存可能なフリーズドライ食品
アマノフーズのフリーズドライ食品は、常温で食材の傷みを気にせず長期保存可能。食べたいときに食べたい分だけ、食卓の一品に添えることができるのでフードロス削減への貢献にもつながります。
忙しい日でも、温かい汁物を添えてほっと一息。スーパーやコンビニなど身近に買えるフリーズドライ食品を活用して、普段の生活から地球や社会のことを考えてみてはいかがでしょうか。
【店舗情報】
「Pizza 4P’s Tokyo」
住所:東京都港区虎ノ門5-10-7 麻布台ヒルズガーデンプラザD 1F
営業時間:ランチ 11:00 – 15:00/ディナー17:00 – 22:00
定休日:不定休
※記事公開時の情報となります。最新情報は店舗公式サイト/SNSでご確認ください。
文:田窪 綾
写真:秋山枝穂
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