まごころ出前 2015.11.19
〜前回までのあらすじ〜
アマノフーズの名物社員・島村雅人(通称フリーズドライの伝道師)が全国の皆さんに“思い出の味”をお届けする「まごころ出前」企画。第3弾は、沖縄出身の依頼人からのオーダー「おふくろの作ったタコライス&アーサ汁」。
前回、沖縄へ向かった島村さんは依頼人のお母さんが作ったタコライスとアーサ汁を試食。おふくろの味をフリーズドライで再現するべく、早速開発に取りかかりました。島村さんの愛用マシン・島村号、今回も登場しますよ!
(おいしいタコライスをいただきました)
①…まず材料を揃えてアーサ汁を作ります。
②…続いてタコライスも。
③…作った料理を容器に均等に入れます。
④…すべて入れ終えたらいざ冷凍!
さすが今まで数々のヒット商品を生み出してきた島村さん、テキパキと手際よく料理していきます。調味料や具材の量などを少しずつ変えながら、このステップを何度も繰り返します。「開発」とひと言で言ってもかなり長〜い道のりがあるんですね…。
作った料理を味見するのは当たり前。少し味を変えたものと比較したり、実際にフリーズドライしてお湯で戻した時の再現性を確認したりと、思い出の味に近づけるべく細かくチェックしていきます。
特に今回は汁ものじゃない「タコライス」がありますからね。これはかなりハードルが高そう!試行錯誤した結果、タコライスはメイン具材である“タコミート”をフリーズドライで作ることに。
調理後に凍らせたタコミート&アーサ汁は…
こちらの名物「島村号」で真空状態にして水分を抜きます。通常、スーパーやコンビニなどで売られているアマノフーズ商品の生産にはこの何倍以上もの大きな真空凍結乾燥機を使うのですが、日々新商品の研究を行っている島村さんにはこのコンパクトサイズの「島村号」が良き相棒。
さて、「島村号」に入れた後はどうなるかというと…
じゃーん!こうなります。
フリーズドライされて乾燥した固形状態に!
(別アングルでもう一度。じゃーん!)
早速お湯で戻して試食してみましょう。まずはアーサ汁。
島村さん愛用のメスシリンダーでお湯の量を計り、器に注ぐと…
アーサ汁のできあがり!お湯を注いだ瞬間にふわっとアオサと豆腐が膨らんでいくのが見所。湯気とともにいい香りが漂います。おいしそう〜!
見た目の再現性の高さに島村さんも満足げのご様子。肝心の味はどうでしょうか?
(ズズッ…)
(うーーーーん……)
「ぐぅっっ!!!(=Good)」
よかった。満足のいくお味のようです。
続いてタコミートもいっちゃいましょう!お湯を注ぐとこんな感じ。ひき肉の形がちゃんと戻っていますね。これは期待できそう…!
タコミートはあくまでタコライスとして食べるので、ご飯にかけていただきます。
「うん!…これはいける!!!」
味には人一倍うるさい島村さんのこの表情からお察しください。というわけで、ついに完成!!
取材スタッフ:「ついにやりましたね!これは、これはスゴいですよ…!だってこれ、食感も味も完全にひき肉ですもん。いや〜島村さんってやっぱりスゴい人なん…」
(ガチャッ)
「失礼しま〜す」
(あれ?誰か来た…)
見覚えのある顔…と思ったらアマノフーズの“洋食の女王”こと、開発部門の福田さんでした。(※詳しくはよしかの台所を参照) 偶然にも現在進行中の新商品について、島村さんにアドバイスをもらいにきたのだそう。
(フリーズドライの伝道師×洋食の女王)
質問に対して的確な意見を出す島村さんと、そのアドバイスに熱心に耳を傾ける福田さん。隣でタコライスをモリモリ食べている取材スタッフが会話に入っていけないほど、2人とも真剣そのもの。老舗アマノフーズの商品開発の礎を築いてきた島村さんは、いわば社内の歩くレジェンドなのだとか。それゆえこうしてアドバイスを求めてABC開発室へやってくる社員が絶えないそう。普段は愛嬌たっぷりの島村さんですが、スゴ腕開発者としてのまた違った一面が見れた瞬間でした。
さて、島村さん渾身のタコミート&アーサ汁が完成したところで、早速今回の依頼人にお届けしてきましたよ!
こちらが完成品のタコミート&アーサ汁!(パッケージデザインby島村雅人)
今回の依頼人、岸本祥也さん。沖縄出身、高校卒業後に上京して現在は都内のIT関連会社でバリバリお仕事しているオシャレガイです。メガネがよくお似合い!
フリーズドライのアーサ汁(写真手前)&タコミート(写真奥)。この状態だとどんな感じになるかまだわかりませんね。
お湯を注いだ状態のアーサ汁。アオサの色味もキレイに再現されています!通常アーサ汁はかつおだしが多いそうなのですが、今回は依頼人の実家で教えてもらった鶏ベースのだしを使用。具材には、アオサと豆腐以外に小さくカットされた鶏肉もプラスしました。
続いてタコライス!ほかほかのご飯の上に、タコミート・とろけるチーズ・レタス・トマトをトッピングしてより実家の味に近づけました。
食べる直前にケチャップをかければできあがり。
「これ、本当にフリーズドライなの!? タコミートすげえぇ…!本当に手料理みたいなんだけど」
写真はさておき、見た目のクオリティの高さに本当にびっくりしたという依頼人。まず見た目の再現性はクリアできたようですね。
「いただきます!」
いくら私たちが食べておいしいと感じても、依頼人にとっての“思い出の味”でなければ意味がない。なので、この瞬間はいつもながらドキドキ…。
「(モグモグ…)ふむふむ…」
「おぉ、ウマいです!タコライスは、最初は乾燥したひき肉のシャリッと感が少しあったけど、しばらく噛むと肉の味や旨みがしっかりと感じられて全然違和感ありません。噛めば噛むほど実家の味に近くなってきて、何だか昔を思い出すな〜。実家のタコミートより少しスパイスが効いていてピリ辛風味だけど、辛いものが好きなんで好きな味です」
「アーサ汁は、率直においしい!鶏のだしが効いていて優しい味ですね。アオサの色がすごいキレイだし、海藻特有の食感もちゃんとある。何より豆腐が“豆腐そのもの”でびっくり!フリーズドライ食品って今まであまり食べたことなかったけど、これは感動するな〜」
【結論】
「タコライスはおいしかったけど、実家のものと比べると少しピリ辛だったから“再現性”でいうと87点というところでしょうか。でも肉の食感や甘みもちゃんとあったし、これ単体だともっと高得点ですね。アーサ汁はとにかくウマい!具材の豆腐もアオサも鶏肉もまるで本物そのもの。ぜひ商品化してほしいくらいですよ。潮のいい香りが沖縄の海を思い出させてくれました」
※ちなみに、以前テレビでマツコ・デラックスさんが絶賛して話題になったフリーズドライの親子丼でも、鶏肉の食感と旨みを楽しめますよ。
実は岸本さんの奥さんも沖縄出身。「帰ったら奥さんと一緒に食べますね。きっと喜びます〜」とのことでした。よかった、よかった!今回は初の汁もの以外&肉類ということでなかなか苦労しましたが、さすがはフリーズドライの伝道師。依頼人の笑顔を引き出すことに成功しました。というわけで、今回も依頼人の“思い出の味”を無事お届け完了!次なるお題は一体何になるのか…おみそ汁?煮物?それともスイーツ? 皆さんからのオーダーをお待ちしています!それでは、またアマノ食堂でお会いしましょう。
\どんな注文もおまかせ!/
アマノ食堂では、島村さんにまごころ出前してほしいという方を随時募集中!必要事項と理由を添えてcontact@amanoshokudo.jpまでメールでご連絡ください。「思い出の味のフリーズドライを作ってほしい」「遠く離れたあの人へ手料理を届けてほしい」「何だかよくわからないけど、おもしろそう」など、どんな理由でもOK。海外以外はできるだけがんばって行きます!
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【必要事項】
・お名前
・年齢
・職業
・電話番号
・お届けしたいor届けてもらいたい人との関係性(母親、息子、娘、恋人…etc.)
・お届け先(例)岡山県→東京都
・依頼したい料理
(例)岡山県に住む母親がつくる豚汁、遠恋中の彼女がつくる肉じゃがなど
・その料理にまつわるエピソード
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