まごころ出前 2015.07.17
アマノフーズの名物社員、島村雅人。フリーズドライ商品の開発に人生をかけて30年、世に送り出したヒット商品は数知れず。人はそんな彼を“フリーズドライの伝道師”と呼ぶとか呼ばないとか…。そんな高いスキルと味覚、そして熱い情熱を持つ彼がアマノ食堂のスタッフとして新たな挑戦を始めます。
フリーズドライ食品と聞いて、何を思い浮かべますか? 手軽、乾燥食品、インスタント…色んなイメージがありますよね。なかには「インスタント? 体に悪いんじゃないの?」と思っている人もいるかもしれませんね。実は、通常の熱風で乾燥させる乾燥食品が素材の風味や栄養素が損なわれやすいのに対して、フリーズドライ食品は食材を約-30度で凍らせ真空状態で乾燥させるため、食材本来が持つ味や栄養が損なわれにくいのです。
インスタント=体に良くないという先入観は大きな間違い! アマノフーズのフリーズドライ食品は保存料や防腐剤などを全く使用しておらず、いろんな方にお使いいただけるんですよ。でもそれは、悲しいことに世の中にはまだあまり知られていません。
こんなにおいしいのに…
簡単に調理できてすっごく便利なのに…。
もっとフリーズドライの魅力を広めたい!
このおいしさを知ってほしいいぃぃ!
そんな使命感に燃える男・島村雅人がこんな企画に挑戦します。
フリーズドライ食品の特長は、そのままの味をキープできて手軽に食べられること。そして長期保存できること。ということはつまり、どんな料理もフリーズドライすれば、そのままの味をいつでも食べたい時に食べられるんじゃないの? 距離も時間も超えられちゃうんじゃないの…!? ということで。上京して都会で暮らすお子さんへ、遠距離恋愛中の恋人へ、単身赴任中の旦那さんへ…遠く離れたあの人へ思い出と一緒に“懐かしのあの味”をまごころ込めてお届けします!
記念すべき1回目の依頼人はこの方!地元岡山県を離れ、現在東京にお住まいの松本ゆかさん。
今年結婚したばかりで新婚ほやほやです。普段は航空会社のキャビンアテンダントとして海外を飛び回り、なかなか実家に帰れない彼女。そんなゆかさんの思い出の味とは?
「思い出の味といえば、小さい頃から食卓によく出てきた“粕汁”ですね。わが家の定番料理で、酒粕とお味噌ベースのお汁に野菜や豚肉が入っているんです。冬は母が生姜を入れて体が温まるように工夫してくれたりも…。私昔からとにかく甘酒が大好きで粕汁も大好物の一つだったんです。今でもよく母が東京へ冷やし甘酒を送ってくれるんですよ」
このあたりまでは比較的スムーズでした。ただし、ただの美味しい粕汁じゃなくて“ゆかさんの思い出の粕汁”というのが大事な肝。ゆかさんが小さい頃によく食べていたという粕汁の味、せめて実際に食べることができたらヒントが掴めそうなのに…
というわけで。
というわけで…
……。
来ちゃった!!!
ご紹介が遅れましたが、この方が天野実業株式会社の島村雅人さん。趣味はフリーズドライ、特技はフリーズドライ。寝ても覚めても、三度の飯よりフリーズドライ。本日も休日返上で、ゆかさんの地元である岡山県玉野市までやってまいりました。
ご実家にあがらせてもらって3分後。島村さんはコミュ力の高さもハンパないです。
たまにろくろも回しつつ、お母さんと打ち解けたところで早速企画の主旨を説明。ゆかさんの思い出の味、粕汁を作ってもらうことに。
「ささ!さぁ!どうぞ思いきりやっちゃって下さい!」
お母さんが真顔なのがすごく心配です。
まず野菜を切って
野菜とだし汁を鍋に入れて柔らかくなるまで煮ます。
「ほぉ。なるほど、なるほど…」(パシャパシャ!)
「大根は1cm幅の扇型っと…なるほどなるほど」(パシャパシャ!パシャパシャ!)
「…すみません、ちょっと邪魔なんで少し離れてもらっていいですか?」
(…ごめんなさい)
(……。)
気を取り直して、味噌や酒粕を順にといていきます。材料をすべて入れて煮込むこと数分。
「もうすぐ完成ですよ。味見してみますか?」
「いいの!? やったー!」
味をチェック。「うん、だしが効いてる!」
ついに完成!お母さんがお椀によそってくれます。
こちらがゆかさんの思い出の味、松本家の粕汁。大根、にんじん、油揚げ、豚肉がごろっと入っていて食べ応えたっぷり。仕上げにネギを散らすのがポイントです。豚肉はたまに鮭にアレンジしたりもするそう。さて早速試食!の前に…
ここで島村チェック。食べる前にまず具材の大きさ、形など隅々まで確認します。
それではいざ実食!
ズズズ…
うっ…
「うんまいっ!!!」
秒殺で1杯完食。「ごちそうさまでした」
「いやぁ、ワクワクするよね。なるほど、そう来たかー!って感じ…うんうん」
あまり聞き取れませんでしたが何かをぶつぶつ言っていました。どうやら島村さんの頭の中ではすでにイメージが出来上がっている模様。
食後の麦茶も格別。
「ぷはーっ!麦茶サイコー!!」
さて、これから開発室に戻って実際に粕汁を作ります。フリーズドライで難しいのは、ただレシピ通りに料理を作るだけではなく、乾燥させてそれをお湯で戻した時にこの味を再現できているようにしなければいけないという点。味だけでなく食材の食感や香りも忠実に再現するのは高度なテクニックと経験を要するのだとか。
フリーズドライの開発はアマノフーズのトップシークレット。普段は見ることができないのですが、今回は特別に開発の様子を一部見せてもらえることに。何とも貴重な体験です。
「社外秘?ないない!大丈夫!」
広報泣かせな発言が目立つ島村さん。逆にこっちが心配になります。大丈夫じゃない気がするので大事なところだけ抜粋してお届けします。
まずはお母さんに教えてもらったレシピをもとに、実際に粕汁を作ります。
あまり知られていませんが、アマノフーズのフリーズドライ食品はまず実際に“調理”をするんですね。それをそのまま味や風味を損なうことなく美味しい瞬間を冷凍&真空状態で乾燥させるので、手作りの美味しさをちゃんと再現できるのです。ちなみに島村さんは基本的にカメラ目線です。
食材と調理した粕汁を型に流し込みます。
そして冷凍。-30℃の凍結庫で8時間以上凍らせます。通常、フリーズドライ商品を作る時はもっともっと量が多いので、とても大きな冷蔵庫で凍らせます。
実はここだけの話、アマノフーズの開発室には「島村号」という島村さん専用マシンが存在します。これを使うことが許されているのは全社員のなかで島村雅人ただ1人。何という特権なんでしょうか。
こちらが噂の「島村号」。島村さんのキャラクターが描かれたネームプレートにもご注目。
凍らせた食材をこの島村号にイン! 真空状態で24時間以上かけて乾燥させて水分を抜きます。でき上がったフリーズドライのブロックには小さな気泡の穴があり、お湯を注ぐことで瞬間的に元に戻るという仕組みです。お湯の量や味を変えながら、何度も試作を繰り返し…
繰り返し…繰り返して…
こちらが完成した粕汁。「松本様思い出の味」というパッケージまでお手製です。(写真には残っていないのが残念ですが、実は実家のお母さんへ届けて実際に試食をしてもらい、OKをもらってからのこの完成品。時間も手間も、そしてまごころもたくさん詰まっています。というわけで早くこれをお届けしなきゃ!
依頼人のゆかさん宅へ再び訪問。
完成したフリーズドライを笑顔で受け取ってくれました。何と、この粕汁のために食事を用意してくれていた彼女。何という女子力の高さ。何というおもてなし力。世の男性はこういう人をお嫁さんにすると幸せな人生を送れますよ。
(すごくおいしそう。こういう奥さんがほしい)
そして、お湯をそそいだフリーズドライの粕汁がこちら。固形ブロックにお湯をそそいで10秒もたたないうちに粕汁のできあがり。「えっすごい!! 野菜の色もきれい!」と、第一印象でまずハートをキャッチ。目の前で女子が喜んでくれるってこんなに嬉しいものなんですね。
島村さん曰く「フリーズドライはお湯をそそいだ時と、食べたときの2度の驚きがある」とのこと。それでは早速食べてみてもらいました。
ふーふー
「いい匂い♪ いただきます!」
さて気になるお味は…?
「美味しい! しかも実家の粕汁に味がそっくり!!!!」
どうやら味もご満足いただけたよう。というか本当にすっごく喜んでくれた! リアルに2度驚いてくれました。
「すごく懐かしい味。この大根の切り方とか、豚肉の食感とかも実家の粕汁にそっくりで! すごく久しぶりに食べたけど、実家でよく食べていた子どもの頃を思い出しました。残りの2つは旦那さんが帰ってきたら2人で一緒にいただきますね♪」
…というわけで、松本家の思い出の粕汁は無事にお届け完了! 新しく家庭を持ったばかりのゆかさんも、このおふくろの味を受け継いでいくのかな…なんて。ちなみに点数をつけると「97点!」とのことで、初回からかなりのハイスコア。次回の出前にも乞うご期待ください。
\どんな注文もおまかせ!/
アマノ食堂では、島村さんにまごころ出前してほしいという方を随時募集中!必要事項と理由を添えて下記までメールをお送りください。
contact@amanoshokudo.jp
「思い出の味のフリーズドライを作ってほしい」「遠く離れたあの人へ手料理を届けてほしい」「何だかよくわからないけど、おもしろそう」など、どんな理由でもOK。海外以外はできるだけがんばって行きます!
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【必要事項】
・お名前
・年齢
・職業
・電話番号
・お届けしたいor届けてもらいたい人との関係性(母親、息子、娘、恋人…etc.)
・お届け先(例)岡山県→東京都
・依頼したい料理
(例)岡山県に住む母親がつくる豚汁、遠恋中の彼女がつくる肉じゃがなど
・その料理にまつわるエピソード
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