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【特別企画・火星めし編】vol.2/火星めし開発現場に潜入!

島村雅人

〜前回までのあらすじ〜

これまで全国の依頼主のもとへ「思い出の味」をフリーズドライしてお届けしてきましたが、次なるお届け先はまさかの火星…!? と思いきや、アメリカ・ユタ州で行われる模擬火星訓練を想定した2週間のプログラムに参加するクルーに向けて、極地建築家として活動する村上裕資さんとフードユニット「つむぎや」の金子健一さんと一緒に“火星めし“をお届けしようということになったのです。前回、初めて3名(チーム火星めし)全員揃ってメニューの案出しを行ったのですが…今回は、その時の内容を踏まえて、アマノフーズの名物開発者・島村雅人さんが開発に取り組む様子をお届け!さて、どんな火星めしが出来上がっていくのでしょうか!?

 

 

いざ島村さんの開発拠点へ…!

島村雅人とミムラ

島村さんが日々フリーズドライ食品の開発に励む開発室に潜入しちゃいました!

早速、村上さん&金子さんと行った火星めしの案出しの内容を“敏腕すぎる助手“として評判のミムラさん(写真左)に伝えている島村さんの姿が…。

 

島村さん:この前、村上さんと金子さんと火星めしの案出しを行ったんだけど、宇宙食って食事はおかずのバラエティや生鮮野菜、色味や食感が足りてないんだよね。だから栄養バランスとか、食事がもたらす効果もふくめて色々考えてみたんだよ。あとは、僕の中での問題としては、宇宙にフリーズドライ食品を持って行くと、水が食材の表面にくっついちゃって全体に染み込まないということもあるらしいんだよ。だから、宇宙で自分が作ったフリーズドライ食品にしっかりと水分が浸透するのか知りたいって想いもあるんだよね。だって、宇宙空間だよ?地球とは全く違う環境だから、開発する商品としても全くの未知数なんだよね。

 

ミムラさん:確かに。でも、今回はあくまでも火星での閉鎖環境を想定した訓練になるんですよね?

 

島村さん:そうだった。参加するのはアメリカ・ユタ州の砂漠で日本人4名、アメリカ人2名。食事は2パターンを作る予定。エコノミークラスは、決まったサイズや形の食器で小鉢をいくつかつけて、ファーストクラスは、器や盛りつけにこだわって御膳みたいなイメージ。現地で簡単に調理できるように、食材だけじゃなくて何かトッピングできるようなものを用意したいんだよね。それぞれ朝・夜の4食分を作るから、何をメインにしようかな〜。

 

ミムラさん:テーマはどんなものになったんですか?

 

島村さん:この前は僕が作った試作品を食べてもらって、火星めしの作った試作品を持って行ったんだけど…。テーマは“和食“。だからさ、やっぱりおみそ汁はあさりとじじみは欠かせないよね?それぞれ10個ずつ用意してあるよ!あとは豆腐も準備しようかな〜。

 

ミムラさん:うん、おみそ汁はあったら、良いんじゃないですか!

島村雅人とミムラ

島村さん:あと、すでに商品化されている“にゅうめん“に、フリーズドライしたねぎをかけたり…。盛りつけできるような食材を試してみようかなって思っているんだよね。薬味を色々作っておけば、自分たちで好きなようにトッピングできるから。そういうところでエコノミークラスとファーストクラスの差をつけたりして…。

 

ミムラさん:なるほど。そういえば、現場での調理できる環境や食事の時間って決まっているんですか?

 

島村さん:実際に訓練に参加する時に、限られた空間の中で与えられたミッションの間に食事をとるということを考えると、調理自体にたくさん時間を費やせないみたい。ある程度は僕達のほうで調理したものを届けるような感じだね。そんな時に、向こうでもトッピングとか盛りつけとか少しでも“食“を楽しむということを火星めしを通して感じてもらえたら良いなって思っているんだよ。

 

ミムラさん:確かに食事って大切ですもんね。

 

島村さん:閉鎖的な空間にいるとストレスも溜まるし、それが伝染してしまうんだって。だから食を楽しむことで、気持ちの面にどんな効果が出るのか気になるところだよね。宇宙では直火を使うのは避けたほうがいいみたい。 火災が怖いからね。でも IHコンロとか電子レンジは使えるから、水で食材を戻して電子レンジで温めたりしてもらって。この間は、焼き鮭のパリパリとした食感が評判だったの。それは現地でも喜んでもらえると思うんだよね〜。

 

ミムラさん:やっぱり“焼き鮭“と“卵焼き“の2つは鉄板ですよね?

 

島村さん:朝ご飯にも良いかも!おみそ汁と合わせて…。

 

 

日本でも欠かせない定番の和食メニューもこのように…

 

—こちらが前回、村上さん&金子さんからも皮のパリパリとした食感が大好評だった“焼き鮭“。島村さんが新たに開発した“玉子焼き“も。パッと見ではフリーズドライなのか分からないほどのクオリティに仕上がりました。

焼き鮭と玉子焼きのフリーズドライ

島村さん:焼き鮭はお湯でも戻してもらって。あと玉子を作った料理は、他にも色々用意しようと思っているんだよね。金子さんが、刻んだ香味野菜とタルタルソースを合わせた和風タルタルが美味しいって言ってたから、それも用意しようかな。あと、お米もお届けすれば玉子とじ丼もできるし、玉子雑炊を〆にするのも良いかも。

 

ミムラさん:あと、一口サイズでそのままでも食べられるものがあると…って思って。“こんにゃく““枝豆“もあります!

こんにゃくと枝豆のフリーズドライ

島村さん:そうそう!フリーズドライにしても、このままつまみとしても食べられるし。枝豆は色が鮮やかだし、白米や炊き込みご飯と合わせて食べても良いかもね。トッピングとしても彩りになるし、オススメですよ。

 

ミムラさん:確かに見た目でも楽しめるし、食材としても彩りあるものは欠かせないですよね。そういえば、日本の春を感じられるような要素もメニューに入れるんでしたよね?

桜のフリーズドライ

島村さん:そう!この間も話をしていたんだけど“桜“が良いんじゃないかなって思って。一応、桜の塩漬けを用意してみたんだけど。メニューのイメージとしては、桜の花びらやつぼみをフリーズドライにして、“桜の炊き込みご飯“や“塩粥“にトッピングするとか色々考えていて…。

 

 

実は、こんな試作品まで用意していました

島村雅人とミムラ

島村さん:あと、日本からアメリカに肉も持ち込めないから。肉は現地で調達するんだって。今回は持っていけないんだけど、実はね“ステーキ“を作ってみたんだよ。

 

なんと…ステーキまであるなんて!

ど〜ん!!

ステーキのフリーズドライ

島村さん:焼き目までしっかり付けて、結構うまくできたからさ。でも、今回は持っていけないそうだから、ステーキや肉の代わりになるようなメニューを別で用意しようって考えているんだ。ほたて・かにの入った海鮮鍋とかほたての玉子とじとか!

 

ステーキのこんがりとした焼き目までこんなにくっきりと!これは見ただけでも食欲をそそりますね〜。でも、こちらはまたの機会に…。

ミムラ

ミムラさん:そうだ、島村さん!フルーツやデザートも色々用意しましたよね?

 

島村さん:そうそう。フル−ツはみかんにデコポン、パイナップル!

 

—島村さん&ミムラさんが開発したメニューがこちら!国産のみかん(写真・左)とデコポン(写真・右)。味わいや大きさも違うので、それぞれ違いが出るので良いですね〜!

デコポンのフリーズドライ

島村さん:国産のみかんね!甘酸っぱさと酸味のバランスが絶妙なんだよ〜。元々皮をむいて売られているみかんをフリーズドライにして。 “デコポン“も自分の好きな大きさにカットして、トッピングに使っても良いからね。やっぱり柑橘系のフレッシュな感じがあると良いんじゃないかな。

パイナップルのフリーズドライ

ミムラさん:あと、これも!パイナップルもフリーズドライにして作ったんですよ。

パイナップルのフリーズドライ

続いて出てきたのは…“パイナップル“!生の状態のパイナップルをくりぬいて、丸ごとフリーズドライに。ここまでくると、もはや芸術品の域ですね!

 

島村さん:パイナップルって中身をほじくり返さないといけないし、形をきれいに残すのは大変なんだよね。試しにシュークリームにトッピングをしてみたよ。いちごもプラスして…。

シュークリーム&フルーツのフリーズドライ

島村さんがトッピングしてくれたシュークリーム&フルーツの盛り合わせ。やっぱりフルーツがあると、彩り良く仕上がりますね。デザートまで考えているなんて…島村さん、女性の気持ちもしっかりわかってくれているんですね…。

島村雅人

(宇宙でもそういうスイーツとか甘いものがあると、女性も嬉しいんじゃない?)

 

島村さん:あとは、飲み物もスムージーを作ってみたから。2種類用意したから、一つはチアシードを入れて、プチプチとした食感に。色も鮮やかなオレンジスムージー!もう一つは、栄養たっぷり緑スムージーにしました。

 

 

フリーズドライにした2種類のスムージーに水を注いでみると…こんな感じ!

スムージーのフリーズドライ

スムージーのフリーズドライ

島村さん曰く、オレンジスムージーのほうは“チアシード“のプチプチとした食感まで再現できたところがポイントだそう。一方、緑スムージーは、ケール・さつまいも・小松菜・セロリ・三つ葉など栄養素もたっぷり!ヘルーシーだけど、一杯飲むだけでこんなに身体にも良いなんて。色々と悩んだ結果、今回持っていくのは“緑スムージー“に決定!

島村雅人とミムラ

恒例のGoodポーズ!今回の火星めしの開発でも、色々なメニューを試作してきた島村さん&ミムラさん。訓練の参加者の方が現地でもほっと一息食事の中でも“彩り、香り、風味、食感“を楽しむことができたらという気持ちで火星めしの開発に取り組んできたそう。

 

—火星めしの開発に取り組む中で一番こだわった部分は?

 

島村さん:やっぱり“薬味“だね。これまでも、すでに擦った状態のものをフリーズドライにすることはあったんだけど、実際に食べる直前に自分たちで擦りおろしたり削ったり、カットできたほうが、より食を楽しめると思ってね。現地で好きに調理できるように、なるべく食材そのままの形でフリーズドライにしたところかな。

 

火星めしの肝は“薬味“!そこで開発現場の一部始終をお届け!

薬味

今回、島村さんが火星めしを開発するに何度も試作を続けるほどこだわってきたというものがこちらの食材。大根・生姜・長芋を使用した“薬味“です。数々のフリーズドライ食品を開発してきた島村さんですが、宇宙をテーマにしたフリーズドライ食品の開発は初めて。食材一つ、少量の水の使い方に対しても、とてもシビアな宇宙環境では実際にどんなものがあったら良いだろうと考えた結果、薬味を作ろうと決めたのだとか。

 

—薬味としても、大根・長芋・生姜など香りの強いものや特徴あるものが多いですね。そこにも島村さんのこだわりがあるのですか?

 

島村さん:そうね〜。生の食材やパウダーをそのまま持って行っても、酸化して使えなくなってしまうんだよ。でも、薬味として大根を擦りおろして“大根おろし“にしたり、生姜はパウダー状にして料理の香りづけに活かしたり。 切ったり削ったりしてから水で戻すと、さらに風味がでるんだよね。その場でやったほうが香りづけになるし、食材を、まるごと全部活かせるから。

 

実際にそれぞれの食材をフリーズドライにしてみると…

島村雅人

島村さん:う〜ん。山芋はね、種類が「長芋」、「銀杏(いちょう)芋」、「捏(つくね)芋」とか種類も色々とあるから。悩んじゃうよな〜。

島村雅人

(う〜ん、やっぱり擦りやすさも大事だから長芋にしよう!)

 

島村さん:すり下ろす時の長さは大事だからね。あとは、色や痛んでいる部分は削ぎ落としたりして。色の基準は厳しいよ。

長芋のフリーズドライ

長芋を実際にフリーズドライにしてみるとこんな感じ!色もこんなに真っ白になるんですね。

 

 

実際に持ってもらうと、サイズ感はこのくらい!

島村雅人

さすが島村さん!すり下ろしやすいベストな大きさですね。

 

 

続いて…生姜はどのようになったのでしょう?

島村さん:ほら、生姜って山芋と比べると形がボコボコしていて、ちょっと見た目がいびつじゃない?出来れば、すり下ろして使うということを考えると、一定の大きさに整えたいんだよね。

生姜のフリーズドライ

島村さん:特に生姜の場合は、“どうやって同じ大きさにするのか“、“皮をどうやってとるのか“とか、“そもそも皮がついていたほうが良いのか“っていう判断も難しいんですよね。ここはまだ検証段階。理想は、スティック野菜みたいに細長くできたら良いんだけどな。

 

ミムラさん:生姜は元々、まっすぐな形状で育たないから難しいんですよね …。

 

島村さん:高知産の黄金(こがね)生姜を使っているんだけどね。生姜って、和食に欠かせないものだし。胃を健康に保つ効果や解毒・消臭効果もあるから、パウダー状にすり下ろしてドリンクとしてもどうかな?冷え症対策にも良いから、身体の内側からあったまると思うんだよね。

 

 

最後に…調理法も多彩な万能食材といえば…!?

 

島村さん曰く、最初の頃は中々戻らず形や切り方にもこだわったこともあり、少し苦戦してしまったという“大根“

 

島村さん:切り方は、“縦切り“と“輪切り“の2パターンやってみたんだよ。

 

そこで、まず大根を縦切りで試してみると…

島村雅人
手慣れた手つきで大根のカットをどんどん進めていきます。最後にピーラーを使って皮もむいて…

このように縦切りにした大根をフリーズドライにしてみると、なんとこんなに収縮してしまいました。

大根のフリーズドライ

島村さん:何度試してみても、縦切りにすると収縮しちゃうんだよね。多分、大根の持っている食物繊維質の問題ですね。これから研究してみます。

大根のフリーズドライ

でも、やっぱり火星めしで大根も使いたい!ということで…

 

今度は“輪切り“で再チャレンジしてみると…

大根のフリーズドライ

こちらは、元の形をキレイに保ったまま再現することができました。

 

大根の“縦切り“と“輪切り“の2つを並べてみるとこんな感じ!

大根のフリーズドライ

島村さん:うん!やっぱり、輪切りのほうが良いよね〜。

 

早速、輪切りにした大根を戻してみました!

大根のフリーズドライ

輪切りにした大根をフリーズドライにしたものをすりおろして水を注ぐと、大根おろしに(写真・左)。すり下ろさずに、そのままの状態でお湯に戻ると、ふろふき大根(写真・中央)のように。

 

島村さん:大根は、昔から“魚の毒消し“って言われるように、食事中のちょっとしたお口直しにも良いのかなって。あと、大根のもたらす効果っていうのもあるので。“ジアスターゼ“(胃腸の働きを助け消化不良を解消したり、
胃酸をコントロールし胃もたれや胸やけを防止したりする働きがある)で消化を助ける働きもあるし。フリーズドライにしても、そういう大切な栄養素も損なわないようにできるから。

島村雅人

島村さん:僕の中での火星めしのテーマは、“ひと手間かける楽しみ“だね。宇宙空間でも、味、香り、風味、食感…とか本来の食材が持つ良さを損なわないようにフリーズドライ食品にすることで、参加クルーに五感で食事を楽しんでもらえたら。そういう喜びをさ、訓練…いや、火星にも持っていけたらって思っているんですよ。

 

さて次回は、いよいよアメリカ・ユタ州で行われる模擬火星訓練を想定した2週間のプログラムへ出発する参加クルーに直接“火星めし“をお届けします。ついに…!? 火星めしの全貌が明らかに…!それでは、また次回お会いしましょう!

 

 

※本件の食材(フリーズドライ加工品)の海外への搬出については、日本火星協会の企画の枠組みにおける「個人による持込み」の形式をとっております。また、フルーツや野菜については、熱処理を施してあります。

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\どんな注文もおまかせ!/

【まごころ出前の注文、大募集!】

アマノ食堂では、島村さんにまごころ出前してほしいという方を随時募集中!必要事項と理由を添えて contact@amanoshokudo.jpまでメールでご連絡ください。
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【必要事項】

・お名前
・年齢
・職業
・電話番号
・お届けしたいor届けてもらいたい人との関係性(母親、息子、娘、恋人…etc.)
・お届け先(例)岡山県→東京都
・依頼したい料理
(例)岡山県に住む母親がつくる豚汁、遠恋中の彼女がつくる肉じゃがなど
・その料理にまつわるエピソード

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