まごころ出前 2017.02.15
〜前回のあらすじ〜
アマノフーズの名物社員・島村雅人が、全国の皆さんに“思い出の味”をフリーズドライしてお届けする「まごころ出前」企画。今回の依頼主は、福岡在住5年目の亜里紗さん。高校卒業後に地元・宮崎から上京して、大学時代に同郷の友人と通い詰めた思い出のお店、宮崎料理店『新宿みやこんじょ』。
前回は、島村さんが『新宿みやこんじょ』の店主・廣底さんの元を訪ね、お店の名物メニューであり依頼主の思い出の味である「チキン南蛮」を試食しました。果たして…35年に渡って多くのお客さんから親しまれる“思い出の味”を再現して、無事に亜里紗さんの元へお届けできるのでしょうか?
(こちらが「新宿みやこんじょ」のチキン南蛮。ジューシーなお肉の上にボリュームたっぷりのタルタルソースが絶品!これをフリーズドライで再現してお届けします!)
〜ある日のABC開発室〜
島村さん:あのチキン南蛮…おいしかったなぁ。東京に行ったはずなのに、お店にいる間は宮崎にいるような気分だったよ。お店で食べたチキン南蛮は想像以上にボリュームがあって、タルタルソースがドカンと乗っててもう絶品だよ〜。
本場の宮崎の味をすっかり堪能した島村さんは今回の開発にも意気込み十分の様子!中でも、不動の人気メニュー「チキン南蛮」の再現は、これまた難題なんだとか。
しかし、今回は島村さんの敏腕助手・三村さんも「開発を手伝うよ!」とのこと。とっても頼もしいですね〜!
信頼を寄せる三村さんが手伝ってくれることになり「先行き明るい〜」と上機嫌の島村さん。相変わらず2人のコンビネーションはばっちり!かと思いきや・・・
(パクッ)
今回の開発材料として欠かせない卵をつまみ食い。
三村さんが目を離している間に、 早く飲み込まないと…。モグモグ…。(by島村さん心の声)
ゴクリ…。
何とかごまかそうとする島村さんをよそに、調理の準備を黙々と進める三村さん。
島村さん、なんだか苦しそう。喉に詰まらせたようです。よい子のみんなは真似しないでね!
卵の早食い、ダメ絶対。心から反省した島村さんでした。
さて、気を取り直して…早速チキン南蛮の調理を開始!
まず、今回の開発で最初にこだわったポイントは、チキンカツの食感。フリーズドライしても、お肉のサクサクとした食感を出すために、今回は“小麦粉をまぶしてから卵をさっと通して揚げる”のが秘訣とのこと。
島村さん:肉のやわらかさは大事だからね。一口食べたときのジューシーな食感をどう再現できるかが重要なんだよ。
そこで、島村さんが考えたのは“小麦粉と卵はあらかじめ混ぜないこと”。小麦粉と卵が混ざり過ぎてしまうと、水分が入る隙間がなくなってしまうため、食感がドロドロになってしまうので要注意なんです。作り方や調味料の量だけでも、食感が全くの別物になるので、調理の手順にも細かいチェックに余念がありません。
ジュワ〜!
この音がたまんないんだよね。
鶏肉特有の柔らかさをうまく再現するべく、今回のために特注した鶏肉を手慣れた様子で調理する島村さん。お肉の切り方、厚さや大きさ次第で完成品の出来映えが大きく左右されるんです。
揚げたてのチキンカツを、フリーズドライするための型にはまるサイズにカットして…
甘酢を型に流し込みます。
島村さん:前にも「チキンカツのおろしポン酢」という販売商品を作ったんだけど、今回のチキン南蛮の肝は味付け。甘酢は絶対に欠かせないんだけど、フリーズドライするのに実は酢ってあんまり向いてないんだよね〜。
と…つい本音をポツリ。酢は揮発性(蒸発しやすい性質)の調味料のため、少し時間を置くだけでも酸味がどんどん薄まっていくそう。島村さんは、お湯を注いだときに甘酢の風合いを忠実に再現できるように、お店の味を思い出しながら何度も検証を行っていきます。こうして試行錯誤を繰り返すうちに、ベストな調味料や量が分かり、次の研究や新しい開発にもつながっていくんですね。
次に、「新宿みやこんじょ」のチキン南蛮を食べた時に、島村さんが絶賛していた“特製タルタルソース”。こちらの開発も同時進行で進めていきます。
今回は、三村さんが“タルタルソース”の開発を担当。まずは茹でた卵をカットしていきます。普通にカットするだけだと、フリーズドライにした時にゆで卵の白身が戻りきらず、食感がパサパサしてしまうので、かなり細かくカットするのが、おいしいタルタルソースを作る秘訣なんだとか。
フードプロセッサーでより細かくカットした卵をマヨネーズと混ぜます。
(後ろには、罪悪感からかせっせっと動きまわる島村さんの姿…。なんだかんだで本当にいいコンビですね。)
最後に彩りとして欠かせないパセリを加えて…
タルタルソースが完成!三村さんの段取りの素晴らしさに感心…!
型に移し込んだら、容器ごと約-30度で冷凍します。凍らせたチキンカツとタルタルソースは島村さん専用マシン・島村号で数時間かけて乾燥させていきます。
フリーズドライになったチキンカツ(写真・左)、タルタルソース(写真・右)
島村さん:今回は食べたときの衣&肉の柔らかさにこだわったかな。お店で食べたジューシーさと甘酢の風合いを楽しんでもらえたらいいなぁ…。たくさんの人から長年親しまれてきた味だけに、お店のメニューを再現するのって、毎回すごく難題だなぁって思うんだけど(汗)。再現性はもちろんフリーズドライならではの食感や味わいを楽しんでもらえたら開発した甲斐あるよね!
依頼主に届ける前の最終確認は島村さん自ら行います。完成したチキンカツにまんべんなくお湯を注ぎます。
たまごがたっぷりと入ったタルタルソースには大さじ1の水をかけてまぜまぜ…
そのままチキンカツの上に、トロ~リとタルタルソースをかければ最終チェックの準備完成!気になるお味は果たして…!?
亜里紗さん、お待たせしました!フリーズドライ版「チキン南蛮」がついに完成で~す!ということで早速福岡まで飛び、お届けしてきましたよ。
亜梨沙さん:うわ〜すごい!ほんとにチキン南蛮がフリーズドライになってる!どういう感じで出来上がるのか想像もできなかったのでワクワクします。
(ジュワ〜〜!)
「えっ!?ジュワ〜って音がする…!?」とびっくりする亜里紗さん。上の写真の「ジュワ~~!」はお湯を注いだ瞬間実際に聞こえる音なんです。今回はチキン南蛮の“揚げたてな感じ”もお届けしようということで、音が聞こえる細やかな仕掛けがあったんです!せっかくなら、お店で食べていた揚げたてのチキン南蛮に少しでも近い風情を味わってほしいということで島村さんが試行錯誤して考えたこの仕掛け。とっても喜んでくれたようで大成功!
亜梨沙さん:うわ〜、すごいなぁ…。フリーズドライっておもしろい〜。甘酢の香りもしてきました…。
お湯をかけただけとは思えないお肉のジューシーさもしっかりと再現できていますね。
お湯を入れた瞬間に広がるチキン南蛮の“甘酢の香り&揚げたて音”に感動する亜梨紗さん。五感で楽しんでほしい!という島村さんの細やかな心づかいに思わずにっこり。
お店に通っていた頃から“ボリューム感たっぷりのタルタルソース”が大好きだという亜里紗さんのために用意した特製タルタルソース。小分けになっていますが、たくさん乗せていきましょう。お湯で戻した時の食感にもこだわり、島村さんもこの完成度には大満足とのこと。これは期待できそうですね。
「新宿みやこんじょ」さながらお皿に盛りつけると、チキンカツはこんな感じに。
チキンカツの上にタルタルソースをたくさんかけて、盛り付けも完成!
「いっただきまーーす!」
亜里紗さん:あっ、お肉がやわらかい!甘酢の香りがして驚いたんですけど、衣にもお肉にもちゃんと甘酢が効いています。正直…最初は半信半疑だったんですけど、こんなにしっかりとお湯で戻るなんて驚きです。
東京の大学を卒業し、福岡で社会人として新たな生活をスタートした亜里紗さん。今年で5年目を迎えて充実した毎日を過ごしながらも、東京はおろか地元・宮崎にもなかなか遊びに行けなくなってしまったので、学生時代に宮崎のことを想いながらしょっちゅう食べていた思い出の味『新宿みやこんじょ』のチキン南蛮をとても恋しく思っていたそう。
亜里紗さん:福岡に来てからはチキン南蛮を食べる機会がグンと減りましたね。それこそ学生時代は毎週のように通っていた時期もあったので(笑)。でも、このボリューム感、みやこんじょのことを思い出しますね。懐かしいなぁ…。お店もそうですけど、この味がすごく恋しかったので、福岡でまさか食べることができるとは…。念願が叶いました!
亜里紗さん:フリーズドライってみそ汁とかスープとか…汁物のイメージが強くて。まさかチキン南蛮が作れるなんて思ってもいなかったので、すごく感動しました。ごちそうさまでした!
亜里紗さんにとても喜んでもらえてよかった〜!!
というわけで…今回の出前も無事に大成功!亜里紗さんにとって学生時代を思い出す「新宿みやこんじょ」のチキン南蛮。思い出の味をお届けするというミッション以外にも、フリーズドライならではの歯ごたえや、五感でも楽しんでもらうという新たな可能性を見出すことができた今回の開発。撮影にご協力いただいた『新宿みやこんじょ』の廣底さん、島村さんにいろんな料理の説明をしてくれたスタッフの皆さんも本当にありがとうございました。
次なるお題は果たして…?島村さんの挑戦はまだまだ続きます。あなたも思い出の味を島村さんに再現してもらいませんか?皆さんからの挑戦を受付中です!
それでは、次回もアマノ食堂でお会いしましょう。
撮影協力/新宿みやこんじょ
\どんな注文もおまかせ!/
アマノ食堂では、島村さんにまごころ出前してほしいという方を随時募集中!必要事項と理由を添えて contact@amanoshokudo.jpまでメールでご連絡ください。
——————–
【必要事項】
・お名前
・年齢
・職業
・電話番号
・お届けしたいor届けてもらいたい人との関係性(母親、息子、娘、恋人…etc.)
・お届け先(例)岡山県→東京都
・依頼したい料理
(例)岡山県に住む母親がつくる豚汁、遠恋中の彼女がつくる肉じゃがなど
・その料理にまつわるエピソード
——————–