レシピ 2021.12.23
ベトナム屋台のサイドメニュー! 材料は3つだけの「ハニーバター焼きバインミー」
そのままカットして食べるだけでなく、ガーリックトーストやラスク、フレンチトーストなどいろいろな楽しみ方ができるフランスパン。「ベトナムにはフランスパンを使った、ちょっと変わった食べ方がありますよ」と教えてくれたのは、ベトナム料理研究家の伊藤忍さんです。
ベトナムに色濃く残る、フランスの食文化とは?
長らく中国の統治下に置かれたのち、19世紀にはフランスの植民地となったベトナム。中国とフランス、ふたつの国の影響が合わさった形で発展してきたのがベトナム料理です。
伊藤さん「パンやサンドイッチを食べたり、コーヒーを飲んだりする習慣はフランス文化の影響ですね。ベトナムにはパリのようにゆったり過ごせる素敵なカフェがたくさんあります。フレンチローストの濃いコーヒーにコンデンスミルクを加えたベトナムコーヒーは日本でも有名ですよね。ベトナムには元々牛乳がありませんでした。そこでフランス人がカフェオレに入れるミルクのために、乳牛を飼育させたのですが、保冷設備がなかったため牛乳を流通させることができなかったのです。そこで常温で保存できるコンデンスミルクを持ち込み、現地でも製造するようになり、ベトナムコーヒーが生まれました」
牛肉のフォーのように、豚肉文化が中心だったベトナムに牛肉を持ち込んだのもフランス人との説があります。トマトなどにひき肉を詰めて焼くフランスの家庭料理「ファルシ」は、今ではエスニックな味わいになってベトナムで根付いています。
伊藤さんが教えてくれる「ハニーバター焼きバインミー」は、フランスから伝わったフランスパンとバターに、はちみつを加えた1品。材料は3つのみで簡単!フレンチトーストともひと味違う、独特の風味と食感が楽しめるレシピです。
伊藤さん「“バインミー”というと、ベトナム風サンドウィッチだと思われがちですが、実は“パン”という意味。現地ではこの『ハニーバター焼きバインミー』、屋台の焼き鳥屋さんの定番サイドメニューなんです。オーダーが入ると、焼き鳥の隣で炭火焼きにして提供されます」
焼き鳥×甘いパンという組み合わせには驚きますが、伊藤さん曰く、しょっぱい物と甘い物の組み合わせがクセになるんだとか。今回は、家庭でも作りやすいように、フライパンで作ってもらいます!
パリパリ、サクサク!風味豊かな「ハニーバター焼きバインミー」
「ハニーバター焼きバインミー」のレシピ
(料理監修 / 伊藤忍)
- 材料(2人分)
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・フランスパン…1/2本(バゲットまたはバタールを使用)
※短めのバタールの場合は1本
・有塩バター…20g
・はちみつ…30g
20分
作り方
フランスパンは2つに切り、麺棒や手で薄く押しつぶします。重い食器などで抑えてもOKです。
POINT
・パンの内側のふわふわ部分をつぶし固めて、バリッとした食感に仕上げます。
・パンをつぶして表面に亀裂を入れることではちみつやバターを染み込みやすくします。
耐熱容器にバターを入れたらふんわりとラップをかけ、電子レンジ(500W)で40~50秒加熱して溶かします。バターが熱いうちにはちみつと混ぜ合わせておきます。
バットに1を入れたら2をかけて、全体にまぶすように染み込ませます。
POINT
全体をコーティングさせるように、ギュッと押し付けるように絡めます。
フライパンを熱して3を入れ、木べらで押し付けてつぶしながら弱火~中火で全体をじっくりと焼きます。
POINT
パンにバターがしみこんでいるので、フライパンに油は不要です。軽く焦げ目がつく程度まで焼きましょう。
パンの中まで熱が伝わって柔らかくなり、バターの香ばしい香りがしてきたら、取り出してバットやお皿などにうつして冷まします。キッチンバサミなどで食べやすい大きさに切り、器に盛り付けたら完成。
焼鳥屋さんのサイドメニューの定番、甘くて不思議な料理「ハニーバター焼きバインミー」。キャラメリゼしたような表面のパリパリ食感が心地よく、バターの塩気も手伝って、つい「もうひとつ……」と手が伸びてしまうおいしさです。
このバインミーに「Theうまみ 揚げなすの完熟トマトスープ」を添えたら意外な好相性! パンの甘みとスープの爽やかな酸味がよく合う組み合わせになりました。
伊藤さん「ベトナムのフランスパンは皮が薄くて柔らかめ、しかも中もぎゅっと詰まってなく軽めの食感。なので、パン屋さんのリッチなタイプよりも、スーパーなどで購入できる市販の柔らかいフランスパンの方がより現地の食感に近くなりますよ」。
フランスパンをつぶして作る変わった調理法。ベトナムにはこんなフランスパンの食べ方があったなんて! と思わず驚きました。少ない材料ですぐに作れるのも魅力的。もちろんスイーツとして食べてもおいしいですよ!
写真/パタヤナン・ワラット(vvpfoto)
文/田窪 綾
本日の一品
具材に注目した、あふれる「うまみ」の揚げなすのスープです。とろっとした食感が楽しめる揚げなすを使用し、相性の良い完熟グリルトマトと完熟トマトペーストで濃厚な味わいの一杯に仕上げました。
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教えてくれた人
ベトナム料理研究家
伊藤忍さん
神奈川県生まれ。短大の家政科を卒業後、フードコーディネーターとして活動。旅行をきっかけにベトナム料理に魅せられ、2000年から3年半にわたりベトナム・ホーチミンに移住。一般家庭やレストランなどさまざまな場所で現地の料理を学び、地方を含むベトナムの食文化研究に没頭する。帰国後、ベトナム料理教室「an com(アン コム)」を主宰するほか、書籍や雑誌など各種メディアでベトナム料理の奥深さを発信。近書に「ホーチミンのおいしい!がとまらない ベトナム食べ歩きガイド」(アノニマ・スタジオ/足立由美子さん、鈴木珠美さんとの共著)など。
HP / Instagram / Facebook神奈川県生まれ。短大の家政科を卒業後、フードコーディネーターとして活動。旅行をきっかけにベトナム料理に魅せられ、2000年から3年半にわたりベトナム・ホーチミンに移住。一般家庭やレストランなどさまざまな場所で現地の料理を学び、地方を含むベトナムの食文化研究に没頭する。帰国後、ベトナム料理教室「an com(アン コム)」を主宰するほか、書籍や雑誌など各種メディアでベトナム料理の奥深さを発信。近書に「ホーチミンのおいしい!がとまらない ベトナム食べ歩きガイド」(アノニマ・スタジオ/足立由美子さん、鈴木珠美さんとの共著)など。
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