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第9話「思春期到来!おかっぱちゃんの反抗期」

おかっぱちゃんの反抗期

【登場人物】

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おかっぱちゃん…28歳、イラストレーター。いつもふざけてばかりいる末っ子。趣味はひとり旅。

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まちこ(母)…60歳、会社員。少女のようなかわいい人。家族のなかでは“天然ボケ”で有名。趣味はガーデニング。

 

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第9話「思春期到来!おかっぱちゃんの反抗期」

 

皆さんは若かりし頃、どんな学生時代を過ごしていただろう?

おそらく、人によっては反抗期なんかもあって親の言うことを聞かない時期もあったのではないだろうか?

 

わたしもその1人。

中学2年生になり思春期に突入してからは、親の言うことを素直に聞いたためしがなく、何かと反発していた。今思い返せば、あれは「反抗期」だったんだろう。

 

遊び盛りの中学時代。

悪さをすることはなかったものの、部活動が終わってもまっすぐ家に帰ることはなく、友達と公園で話し込んでしまい帰宅時間が遅くなったり。当時携帯電話も持っていなかったわたしは、ずいぶんと親を心配させていた。

 

ああしなさい。こうしなさい。

母に何を言われても「NO!」と返す、気難しい時期。

おかっぱちゃんの反抗期

今振り返ると、反省することばかりだが「あぁ、あの時、親の言うことを聞いておけばよかったなぁ」と後悔していることが1つだけある。

 

それは、登校時の格好について。

 

中学時代は、いわゆる「原宿系」と呼ばれるファッションが大流行していた時代で、わたしは「Zipper」や「CUTiE」などをはじめとする原宿系ファッションのアイコンとして爆発的に売れていた雑誌を読みあさっていた。そして、髪をピンク色に染めてカラフルな衣装に身を包んだ読者モデルの女の子たちの虜になっていた。

 

「わたしもおしゃれな女の子になりたい!」

 

その願いを持ちつつも、校則で染髪が禁止されていたため、せめて髪型だけでも個性的にしたいと、わたしが頭を悩ませ編み出した髪型が「シャワーヘアー」というものだった。

 

髪を四方八方に少しずつゴムで縛っていくと、水が吹き出るシャワーのような髪型になる。「よぉし!こんな髪型、誰にも真似できないぞ」と、鏡に映った自分を見てワクワクしていた。

 

鏡の前で予行練習をしていたわたしに、母が

「なあに〜?その髪型は。おかしいねえ」

 

「え?おかしい?なんで。シャワーヘアーだよ。いいでしょ?」と、ぶっきらぼうに答えると

「まさか…それで学校にいくの?変だからやめなさい」と、全力で止められた。

おかっぱちゃんの反抗期

それでもわたしは「うるさいな〜。変わってるのがいいの!」と母の意見を聞かず、熱心に予行練習を終えたシャワーヘアーのまま、予定通り翌日学校へ登校した。

 

 

学校に行くと、クラスメイトと全く目が合わない。

なぜだろう…。なぜか話をしていてもみんな頭の方ばかり見ているのだ。

 

「しめしめ…!シャワーヘアーにみんな注目しているんだな」

わたしは上機嫌で授業を終え、部活動へ。

 

硬式テニス部だったわたしは、シャワーヘアーのままラケットを持ちテニスコートを駆け回る。サーブ、ボレー、スマッシュ!どの行程も髪がいつも以上に揺れる。「う〜ん、なんだか今日は調子がいいな!」これも髪型がキマっているからだ!と自信満々に練習に励む。

 

すっかり日も暮れた頃、部活動を終え、帰宅をしシャワーを浴びる。

「ぎえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!痛い!!染みるうぅぅぅぅ!!!!」

 

なんとシャワーヘアーのせいで、頭皮がむき出しになり隙間なく日焼けしていたのだった。おしゃれだと思っていた髪型は、ただのイタイ髪型に早変わり。若かりし頃の思い込みとは、恐ろしいものだ。

 

 

月日が流れて大人になり

「中学時代の写真が見たい〜」と友達に言われても

シャワーヘアーの写真だけは、こっそり引き出しの奥にしまったままなのだった。
 

つづく

 

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