読み物 2015.07.29
【第2回】味噌汁再入門に、丁寧な暮らしはいらない。
まいど!発酵デザイナーの小倉ヒラクです。
今回は、ふだんお味噌汁をつくらない、一人暮らしの忙しいシティガール&ボーイでも楽しくつくれる「味噌汁再入門レシピ」をお届けするぜ。
…まず最初に断っておく。
「丁寧な暮らし」トレンドに待ったをかけない限り、味噌汁ルネッサンスはやってこない、と。
昨今なぜこんなに「丁寧に暮らしたい欲求」が高まっているでしょうか。
理由はシンプルで、「丁寧に暮らしたくても時間も余裕もないYO!」ということの裏返し。
ヒラクはたいへんにリアリストであるので、皆さまの「時間も余裕もない」という現実を真摯に受け止めた上で提案をしたいと思います。
味噌汁づくりにおけるハードルを下げる
それでは、発酵デザイナーの味噌汁再入門レシピはこれだ!
レシピ名:丁寧でなくても美味しさは手に入る証としての味噌汁
レシピ(2〜3杯ぶん)
味噌:麦味噌 大さじ2〜3(普通よりちょっと多めに)
ダシ:いりこ(煮干) 水約0.4Lに対して10g〜
具材:豆腐 半丁
なめこ 乾燥わかめ 適量
(ざわ……ざわ……)
「馬鹿な…!入門といいつつ、麦みそだと…!?」
「鰹節でも昆布でもなく、いりこ…!?奇策に溺れたな?」
と味噌汁業界からの動揺が伝わってきますが、僕は正気です。
この味噌汁こそが、「あ〜昨日も終電まで仕事して疲れた。マジでダルい。血圧低い。ついでに今日の運気も低い。したがってテンションも低い」とお嘆きの読者の皆さまに向けたレシピなのです。
それではその理由を説明しましょう。
◆味噌汁=しょっぱい、苦いという先入観を払拭する
お家で味噌汁をつくらないと、外食の付け合せで出てくる、何度も沸かし直しをしてしょっぱい&苦い味になってしまったものが「味噌汁の典型」になってしまいます。そこで、甘みと旨味の強い麦味噌をチョイス。
◆ダシ取りのハードルを限りなく下げる
味噌汁づくりの最大の障壁である「ダシってどう取るの問題」を解決するために、王道の鰹節や昆布ではなく、いりこ(煮干し)をチョイス。
上記2つの合わせ技により「適当に作ったのに、今まで食べたことない美味しさを味わえる」という「頼んでもいないのに、イケメン王子が言い寄ってくる」的なミラクルを実現することができるのです。
それでは、実際につくってみましょう。
麦みそ。いわゆる「九州味噌」というヤツです。
スーパーに行くと東京や大阪でも売っています。一般的な「米みそ」よりも麹の量が多く、甘味と旨味が強いのが特徴(味噌の種類については次回詳しく解説予定)。
いりこダシ。乾物コーナーに売っています。
ダシ取り専用の大ぶりなものと、そのまま食べることもできる小ぶりなものがありますが、今回は後者の小ぶりなものをチョイス。なぜならラクしたいからさ。
お鍋に水を入れ、火をかけると同時にいりこを入れます。
続いてわかめとなめこを投入。お湯が沸騰しそうになったら弱火にして、お味噌を溶かしていきます。
【ポイント】
基本適当でいいのですが、なるべくお湯を沸騰させないように。沸騰すると、アミノ酸やタンパク質が焦げてしまい風味が落ちてしまいます
お味噌が溶けたら、さいのめに切った豆腐入れて1分ほど温め、完成。
この間、およそ10分。これで美味しい味噌汁の出来上がりです。
適当でも、ちゃんと美味しいんです。
「ちょっと待ってくれヒラクくん、いりこの頭や尻尾は取らなくてもいいのかね?」
いいんです。そのまま入れっぱなし。途中で汁から引き上げる必要もありません。具として頭からバリバリ食べます。
下処理無しの代償として、若干のえぐみが出ますが、麦みその甘味が相殺してくれます。そしてなめこ&豆腐が「疲れた胃袋にもスルッと入りまっせ」とナイス&スムースに喉を通っていく心地よさよ。
何も食べる気力が無いときは、とりあえずこのお味噌汁だけでも飲んでおけば一日活動できる元気が湧いてきます。朝に一杯飲んで、帰ってきた夜にもう一杯を飲んだらば、同僚のあのイラッとする一言も忘れられます。一杯ぶんを少なくすれば、一緒に帰ってきた友だちor恋人に振る舞うぶんもあるぜ。
味噌汁再入門は堅苦しいこと抜き!毎日つくるものだからこそ、ハードル低くはじめたいもの。丁寧でなくたって、味噌汁が美味しい暮らしであれば、僕たちは結構幸せなんだぜベイビー。
騙されたと思って、明日の朝試しに作ってみてください。
ちゃんと美味しいからさ。
それでは次回「超高速でわかる!日本味噌汁MAP」でお会いしましょう。
発酵デザイナーの小倉ヒラクでした。
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