読み物 2019.01.16
【第11回】おいしいめんめん。
アマノ食堂をご覧の皆さま、あけましておめでとうございます。
劔樹人と申します。
日頃はバンド活動とマンガの執筆をしながら、主夫活動に勤しんでいます。
昨年末から年明けはあっという間に過ぎてゆきました。
ここしばらくかつてないくらい仕事が忙しかった妻の犬山は、寒くなったせいで風邪とギックリ腰をまとめて発症。
私の育児の負担は輪をかけて大きくなっていたのですが、私は私でそれなりに原稿の仕事と、年末に2本のライブをこなさなければならなかったので時間のやりくりが大変でした。
ライブというのはですね、いつもやってる自分のバンドならまあ正直、スケジュールさえ都合ついていれば行って演奏するだけなのでなんの問題もないのですが、新しく参加するバンドの初ライブと、アイドルのサポートの仕事だったので、とにかく新しい曲をたくさん覚えないといけなかったのです。
私はお恥ずかしいことに曲が全然覚えられなくて、人一倍時間がかかるので…。
そんな感じだったので、年末は田舎の母に来てもらって助けてもらいました。
母が来ている間は、母が大体食事を作ってくれるのですが、この日は私が担当。たまに作っている明太子のパスタを作ることにしました。
このメニュー、いつも作るのは、犬山が不意にリクエストしてくるときです。
よくわかりませんが、たまに食べたくなるみたいです。
不意にリクエストされてもすぐにできるので重宝しているのですが、今回は私が自発的に作るので、以前から気になっていたちょっとした仕込みを試してみたいなと思いました。
それは、パスタを茹でる数時間前から水に浸しておくというもの。
本当にただ、乾いたパスタをチャック付き袋に入れて、水を注いでおくだけ。
これをすると、普通に茹でるより麺がモチモチとして生パスタっぽくなるらしいのです。生パスタってほんとおいしいですよね。本当にそうなるのでしょうか。
明太子クリームソースはバター、明太子、牛乳に、醤油の代わりとして以前にもご紹介した煎酒を使ってみます。煎酒を使えば大体料亭っぽい味になるので、パスタにもより和風感が出てきっといいんじゃないでしょうか。
水につけておくと、実際の茹で時間も1〜2分ですんで、時短になります。
茹でたパスタとソースを絡めればできあがり。
犬山が海苔も大葉も好きなので、薬味にはどちらも乗せてみます。
こういう上に乗せる飾りは、高く盛るとお店っぽく美しくなるそうです。私の友人の料理人から教わったテクニックです。
風邪とギックリ腰で寝ていた犬山に食べてもらいました。
「いつも通りうまい!でも、水につけてどうなったかはあんまりわかんない」
あ、そうですか?
どれどれと私も食べてみると、まあ確かに、モチモチというよりちょっと茹で過ぎくらいの柔らかさですかね…。これは何か、水につけ過ぎたか茹で過ぎたか。でも煎酒の風味もいい感じだったのでオッケーです!
犬山が食べていたら、娘が「めんめん!」と言って膝に乗って来ました。
ラーメンでもうどんでもそばでも、フォーでもタリアテッレでもカッペリーニでも、うちの娘には全部「めんめん」なのです。最近はつるつるすすれるようになったせいか、麺類が大好物に。
でも、明太子はちょっとまだ早いので、母が作ってくれた野菜のソースで味付けしてもらいました。
感想は、「おいしー!おいしー!」とのことです。
やっとちゃんと感想を言えるようになりました!!
(どうやらちゃんとおいしいと思ったときに言っているようです)
***
娘も2歳を迎え、「おいしい」と言えるようになりました。「おいしそー」も言います。逆に「まずい」は言わないので、これまでつるちゃんがいかに娘のためにおいしいごはんを作ってきたかが示されたように思えます。
このね、「おいしー」と言った娘を見るつるちゃんの顔よ。本当にうれしそうな顔でニッコニコ。私がいくら「うまいうまい」と言っても引き出せなかった顔です。
しかし、ちょっと和の味付けの明太子クリームパスタなんておいしいに決まってますから、3分とかで完食しちゃいました。
しかし子どもを産んでから圧倒的に冬がきつくなりました。腰と首がすぐ痛む……。
アラサーくらいの時に調子こいて「もうババアだし〜」とか言ってたけど、腰も傷めずして何がババアだと。
「汗かくのいやだから夏が嫌い」とか答えられていたあの頃。今は切実に寒さがいやだ。汗なんかいくらでもかくから早く暖かくなることを願います。
劔樹人(漫画家・ミュージシャン)
[PROFILE]
男の墓場プロ所属。「あらかじめ決められた恋人たちへ」のベーシスト。著書に「あの頃。〜男子かしまし物語〜」(イースト・プレス)、「高校生のブルース」(太田出版)、「今日も妻のくつ下は、片方ない。 妻の方が稼ぐので僕が主夫になりました」(双葉社)。「小説推理」、「みんなのごはん」、「MEETIA」などで連載中。
犬山紙子(イラストエッセイスト)
[PROFILE]
大阪府生まれ。ニート時代に書いたブログを書籍化した『負け美女』(マガジンハウス)でデビュー。現在はイラスト・エッセイストとして多くの雑誌で執筆。テレビ、ラジオにも出演している。2017年1月に女児を出産。近著にさまざまな生き方の女性たちにインタビューし、自らの妊娠、出産も描いた新刊『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)
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