読み物 2019.02.20
【第12回】さらっとモツ鍋。
アマノ食堂をご覧の皆さま、ごきげんいかがでしょうか。
劔樹人と申します。
日頃はバンド活動とマンガの執筆をしながら、主夫活動に勤しんでいます。
年が明けましたが、妻は相変わらず忙しくしています。体調を崩したりもしてましたし。
私はというと一つレコーディングの仕事を終えたせいか、ちょっと落ち着いている毎日なのですが、目下一番の不安は、娘のイヤイヤが激しいことですね。
いわゆるイヤイヤ期のようなものが始まってから、もともと問題なくやれていたことが今までのようにできなくなってきました。
着替えがダメになり、風呂がダメになり、食事がダメになり…そういうのが日々次々と変わるので悩ましい…。
あ、今日はこっちがうまくいった、と思うと、他ができなくなるという。
ちょっと前までは保育園から帰ってくれないというのがブームだったのですが、最近はさらに保育園に行きたがらないというのが始まっています。
これが本当に困るんです。9時半に行かないといけないので、8時頃からそろそろと着替えさせたり歯を磨いたり、出かける準備を始めるのですが、家から5分で行ける保育園に着いたのが11時過ぎなんて日もありました。
先生に引き渡すときもギャアギャア泣いて暴れるので、なんか申し訳なくてこちらも帰るに帰れず…。
そんな感じの1月、なかなか家族揃って家で食事という日がなかったのですが、今日は妻が夜の生放送に出かける前にモツ鍋を食べたいとのこと。
保育園の帰り、材料を買おうと寄ったスーパーで娘をカートに乗せてしまったら、思いのほか気に入ってしまって、帰ろうとすると泣き叫び暴れる(家に帰ってもしばらく続く)という苦難もありましたが、夫婦2人がかりで収めて私はキッチンへ。
そこからはもう、鍋なので簡単なものです。
醤油やみりん、白だしなどで作ったスープに、モツを入れて一煮立ち。これから仕事の妻のために、本当はガンガン効かせたいニンニクは使いません。
キャベツやもやし、にんじんなど野菜を足して煮込みます。ニラも匂いを気にして添えるだけみたいな量にしました。
娘も食べるので、必要以上に煮込んでいます。
キャベツなんかもう、芯までしなっしなです。
大人には柔らかすぎるかなと思いましたが、妻はこのくらいが好きみたいです。
「うまい! ニンニク入ってないんだよね?じゃあいっぱい食べて行く!」
と、器2杯分を完食。
そのまま颯爽と仕事に出かけて行きました。
母が夜仕事に行くのにも慣れっこのうちの娘、全く気にせず食事です。
野菜はとにかく、モツ自体はちょっと脂っぽすぎるかなと思ったので、子ども用に普通の肉も入れておきました。
ご飯は、魚を使った混ぜご飯。
これは実は、昨日作って食べさせようとしたら、「パン! パン!」と主食はパンを要求されて、全く食べてくれなかったものを冷凍しておいたもので。
でも今日は喜んで食べてくれました。
「おいしい?」
と聞くと、感想は
「うん」
(どことなく心なさげに)
とのこと。
結局、野菜たっぷりのモツ鍋も全て完食してくれましたが、最後にあげたみかんが一番うれしそうでした。
***
仕事行く前にモツ鍋!?と思われるかもしれませんが、さすがつるちゃんです。ニンニクを控えめに仕事に行く前でも食べられるおいしいモツ鍋を提供してくれました。
まあ、口の中は油でギトギトになりますがモツの油は幸せな油、問題なし。で、チャゲですがつるちゃんの言うように超絶イヤイヤ期でございます。
何するのも大変で、お風呂も入る15分くらい前から「うわ〜チャゲと風呂楽しみだわ〜」「ジュース屋さんやっちゃう?やっちゃおっか?」みたいに盛り上げるし、保育園行く前は「うわ〜保育園からチャゲ帰ってきたら粘土一緒にやるの楽しみですけど〜!?」「今会ってるのに早く会いたいんですけど?」とか言ったりしてね。
ほんとイヤイヤ期の子どもと接していると、ちょっとめんどくさいが可愛くて仕方ない彼女に接する彼氏みたいになってしまいます。
だからごはんの連載なのですが極力つるちゃんがごはんを作らないでいいようにやってたりします。
無理禁物。手作りごはんはおいしいが、マストではないですからね。
*チャゲ…お子さんの愛称
劔樹人(漫画家・ミュージシャン)
[PROFILE]
男の墓場プロ所属。「あらかじめ決められた恋人たちへ」のベーシスト。著書に「あの頃。〜男子かしまし物語〜」(イースト・プレス)、「高校生のブルース」(太田出版)、「今日も妻のくつ下は、片方ない。 妻の方が稼ぐので僕が主夫になりました」(双葉社)。「小説推理」、「みんなのごはん」、「MEETIA」などで連載中。
犬山紙子(イラストエッセイスト)
[PROFILE]
大阪府生まれ。ニート時代に書いたブログを書籍化した『負け美女』(マガジンハウス)でデビュー。現在はイラスト・エッセイストとして多くの雑誌で執筆。テレビ、ラジオにも出演している。2017年1月に女児を出産。近著にさまざまな生き方の女性たちにインタビューし、自らの妊娠、出産も描いた新刊『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)
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