あんこ(あずき)
季節の食材のHOWTO 2018.01.15
なかしましほさん直伝!手作り「あんこ」のレシピとおすすめ和菓子4選
昔ながらの伝統的な食べ物であり、世代を超えて多くの人を魅了する「あんこ」。洋菓子やケーキのようなキラキラとした派手さはないけれど、どこか懐かしい素朴な甘さ…日本に生まれてよかった!と思う食べ物の一つかもしれません。
さて今回は、あんこ好きによるあんこ好きのための企画!料理家であり、国立の菓子店『foodmood』店主をつとめる、なかしましほさんに“あんこ”の楽しみ方を伺いました。無類のあんこ好きとして知られる彼女のお気に入りスイーツも教えていただきました。
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小さいころからあんこ好き。料理家・なかしましほさん
幼いころからあんこ菓子に囲まれて育ったという、なかしまさん。あんこが好きか嫌いかを考えるより先に家にはいつもあんこがあったそう。
「家の仏壇には、羊羹や最中、おまんじゅう、お中元でもらう水羊羹などいつも何かしらのあんこ菓子が置かれていました。おやつが食べたくなると、仏壇の前に座ってチーンと鐘を鳴らし、好きなあんこ菓子を選んだりしましたね。私にとってあんこはあまりに自然な存在で、小さい頃は好きかどうかさえ考えたことがなかったように思います」
「あんこをそのままスプーンで食べるのが好き」
そんな、あんこ界のサラブレッド(!?)とでもいうべきなかしまさん。
おまんじゅうや羊羹など、あんこを使ったお菓子はたくさんありますが、そのなかで一番好きなものは?と伺うと「あんこそのもの。皮や餅は“おまけ”だと思っています(笑)」という回答が。なかでも、ご自身で煮たあんこや、缶詰のあずきをそのままスプーンですくって食べるのがお好きなのだとか。
さすが生粋のあんこ好き、味わい方がシンプルで大胆…! でもあんこ好きさんのなかには「わかるわかる〜」と思わずうなずいてしまう人も少なくないかもしれませんね。
そんな“あんこそのまま”派の人にもぴったりなのが、なかしまさんが「私のイチオシ!」と太鼓判を押す『山清』のこしあん。
北海道産特別栽培小豆100% こしあん[缶 245g] 507円(税込)
「市販のこしあんは甘みが強すぎるせいか豆の風味が消えてしまっていて、今までなかなかおいしいものに巡り会えませんでした。でも、『山清』のこしあんは上品でとってもなめらか! もちろんこのまま食べてもおいしいですし、クラッカーに乗せたりお湯で溶いておしるこにしても絶品ですよ」
他にも、アイスクリームにトッピングしたり、バターと一緒にトーストに乗せたり…。よく考えると、あんこって食べ方いろいろありますよね。
こしあんならでは、粒あんならではの食べ方があるのも楽しみの一つ。両方とも好きだというなかしまさんは、「選ぶことは永遠にできない」といいます。
自分好みに作れる「手作りあんこ」にも挑戦してみよう!
「たのしいあんこの本」(発行:主婦と生活社)、著者:なかしましほ 価格:1300円(税別)
お店のプロが作るご褒美あんこは贅沢な味わい。ただ、より自分好みの味を突き詰めたいのなら、ぜひチャレンジしてほしいのが「手作りあんこ」です。
先月11月に発売されたばかりのなかしましほさんの新刊「たのしいあんこの本」(主婦と生活社)では、基本の粒あんをはじめ、こしあん・しろあんなどタイプ別のあんこの煮方、そしてあんこを使ったさまざまな和洋レシピが掲載されています。
自宅で作るのは大変そう…と思われがちですが、あんこは「豆を柔らかく煮て、砂糖を加える」と調理方法が意外とシンプル。特に今の時期は、秋〜冬にかけて収穫されたばかりの小豆が店頭に並ぶ頃。まさに今こそ、おいしい自家製あんこを作れるベストシーズンなんです。
基本の「粒あん(かたあんこ)」の作り方
基本のあんこのレシピ
今回は特別に、本で紹介されている「あんこの作り方」の中から、一番ポピュラーな硬めの粒あん(かたあんこ)のレシピをこっそり教えていただきました。このあんこだけは“塩”を入れるのが肝! 塩があんこのうま味をグッと引き出してくれるんです。
- 材料
※できあがり約600g分
・あずき…200g
・砂糖…160g(豆の80%)
・塩…ふたつまみ
作り方
熱湯で煮る
…厚手の鍋に水2カップ(豆の2倍)を入れて火にかけ、しっかり沸騰したら洗った豆を入れ、再び沸騰したら中火で5分煮る。
POINT
最初に豆を熱湯に入れることで、中心まで水分がしみ込み、豆が柔らかくなります。
汁を捨てる(渋きり)
…さし水1.5カップを加え、再び沸騰したら中火で5分煮て、火を止めてフタをし30分ほど蒸らす。その後、豆をザルにとり煮汁を捨てる。
POINT
蒸らすことで豆のシワがのび、均一に柔らかくなります。POINT!:蒸らすことで豆のシワがのび、均一に柔らかくなります。
水から煮る(下煮)
…豆を鍋に戻し、水3カップを加えて強火にかける。沸騰したら、豆が鍋の中で少し踊るくらいの火加減(弱火の中火)に弱めて煮る。この時、火が強いと豆が割れてしまうので要注意!
豆が湯から顔を出しそうになったら、その都度さし水1カップを加え、ときどきアクを取りながらフタをせずに煮る。
POINT
柔らかくなってきたら、色が濃くて一番硬そうな豆を選び、指で軽く押してみましょう。すっと潰れればOK!
蒸らす
…火を止め、30分以上蒸らす。(蒸らした後は、中までしっかりと柔らかくなり色は赤みが少し抜けたようになります)
POINT
火を止めた後、そのまま一晩置いてもOK。暑い時期は粗熱が取れたら冷蔵庫に入れましょう。
砂糖を加える
…ザルの下にボウルをあてて豆をとり、豆を鍋に戻す。ボウルの煮汁はうわずみを捨て、底に沈殿した濃い色のあんこは鍋に戻す。
砂糖を加え、豆を潰さないようにゴムベラで優しく絡め、中火にかける。沸騰したらヘラ(耐熱)でときどき混ぜながら、弱めの中火で煮る。ヘラで全体をかいた際に底が見え、一瞬おいてからあんこが戻るくらいの柔らかさになればOK。塩を加えて軽く混ぜて、できあがり。
POINT
砂糖を加えて熱する際はあんこがハネやすいので、やけどしないようにご注意を。
出来上がった自家製あんこは冷蔵で4日ほど保存可能なので、パンに乗せたりお菓子に使ったりと「常備菜」的に活用できますよ。
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なかしましほさんのおすすめ和菓子4選
続いては、数々のあんこ菓子を食べてきたなかしまさんに、お気に入りを教えてもらいました。
店舗のほか通販で購入できるものもあるので、気になったらお取り寄せしてみて!新年のご挨拶や、ちょっとした差し入れにも喜ばれそう。
※各店舗の情報は記事末にあります。
❶ 『甘味おかめ』のおはぎ
(写真左から、胡麻・つぶあん・きなこ 各280円)
老舗甘味処『おかめ』の看板メニューでもあるおはぎは、一般的なおはぎの2倍ほどあるビッグサイズ! 小豆と砂糖だけで作られていて甘さ控えめなので、大きくてもパクパクと食べられてしまうから不思議です。
❷ 『中村軒』の白きんつば
(白きんつば 260円)
上質な国産の白小豆だけで作られた白きんつば。皮がふんわり柔らかく上品な味わいです。定番の小豆の「きんつば」と食べ比べてみるのも楽しいですね。10日間ほど日持ちするので、来客時のおもてなしや手土産にもぴったり♪
❸ 『芽吹き屋』の餡入り三色だんご
(餡入り三色だんご[45g×4本入り] 583円)
通常の三色だんごはピンク・白・緑が一般的ですが、『芽吹き屋』は黄・白・緑。しかも、それぞれ中の餡が違うので、一口一口違う味わいを楽しめるんです。国産米で作られたこだわりの生地は、もちっとした弾力ある食感が魅力。
❹ 『大口屋』の餡麩三喜羅
(餡麩三喜羅 6個入り:951円、10個入り:1,512円、15個入り:2,214円)
生麩特有のなめらかさと上品な甘さのこし餡が絶妙にマッチ! 『大口屋』の餡麩三喜羅(あんぷさんきら)は、著名人をはじめ多くの和菓子好きに愛される看板商品。生地を優しく包みこむ山帰来(サンキライ、別名:サルトリイバラ)の葉の香りと塩味が程よいアクセントに。
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お餅やおしるこ、ぜんざいなどあんこが食卓に多く登場するこの季節。お家で過ごす休息タイムにみんなであんこ菓子を食べるのもよし、じっくり自家製あんこ作りに挑戦してみるもよし。
なかしまさんが教えてくれたとびきりおいしいあんこを、ぜひご賞味ください。
【教えてくれた人】
なかしましほさん
[PROFILE]
料理家、東京・国立の焼菓子店『foodmood』店主。書籍や雑誌でのレシピ提案、全国での教室の他、映画やドラマ、広告のフードコーディネートを行っている。著書多数、2017年11月10日に「たのしいあんこの本」(主婦と生活社)を出版。
【協力店舗】
※お店のサイトへリンクします↓
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※ランキングは2022年12月~2023年11月の弊社流通出荷実績です。