ぶり
季節の食材のHOWTO 2021.01.25
【漫画で解説】出世魚「ブリ」の特徴と「カンパチ」「ヒラマサ」との違い
焼いても、煮ても、お刺身でも。様々な食べ方を楽しむことができる「ブリ」。家庭料理でも大活躍の存在です。今回は、そんな「ブリ」の基礎知識や特徴を、イラストを交えてお届けします。記事の後半では、見た目が似ていてよく間違えられる「カンパチ」「ヒラマサ」との見分け方もご紹介。
個性豊かなキャラクターも登場するので、ぜひそれぞれの特徴を覚えてみてくださいね♪
普段は優しいお兄ちゃん! 出世しまくりの敏腕家「ブリ」
【ブリ】
いつもたくさんの仲間や兄弟に囲まれ暮らしている、明るくて優しいお兄ちゃん。家庭的&親しみやすい雰囲気で、ご近所さんの間でも評判の存在。
会社では若くして出世しまくりのできる男で、ややぽっちゃり系のほんわかオーラとのギャップにやられる女子が多数とのウワサも…。中央に黄色いラインが入った洋服がお気に入り!
「寒ブリ」という言葉もあるように、天然物は12月〜2月ごろにかけての冬が旬。春の産卵にそなえて栄養と脂を蓄えており、ぷりっとした歯ごたえと濃厚な脂の旨みを味わうことができます。
※養殖のブリは夏を旬としているものもあります
名前の由来は、脂が多いこと(あぶら→ぶら→ぶり)や、年を経た魚を意味する「フリウヲ(経魚)」から来た説など、諸説あり。1年で30㎝、2年で50㎝、3年で70㎝、4年で75㎝、5年で80㎝以上に成長し、成魚は全長1m、体重10kg程度にもなる大型魚! 天然物のブリが漁獲される主な地域は、富山県や石川県をはじめとする日本海側。最近では海水温度の上昇により、北海道での水揚げも増えているようです。
地域によって呼び名が変わる「ブリ」の兄弟
ブリは、成長するごとに呼び名が変化していく「出世魚」。出世魚は縁起のよい魚とされ、お祝いなどのおめでたい席での食事にもよく出されます。おせち料理にも、ブリの照り焼きを入れるのが定番です。
大きく成長することでその呼び名がつく「ブリ」は、いわば “スズキ目アジ科ブリ属ブリ” の中でも、お兄ちゃん的存在。 また、呼び名は地域によって様々ですが、80cmを超えるとどの地域も「ブリ」に統一されます。
●関東
モジャコ(稚魚)→ワカシ(ワカナゴ)(35cm以下)→イナダ(35~60cm)→ワラサ(60cm~80cm)→ブリ
●関西
モジャコ→ワカナ(35cm以下)→ツバス(40cm以下)→ハマチ(35cm~60cm)→メジロ(60cm〜80cm)→ブリ
「ブリ」の仲間! 間違えられやすい「カンパチ」「ヒラマサ」との違いは?
「ブリ」と同じく「スズキ目アジ科ブリ属」の一種である「カンパチ」や「ヒラマサ」は、よく兄弟(出世魚による名前の違い)と勘違いされることがありますが、実は別人! ブリと仲良しの2人を紹介します。
【カンパチ】
ブリのご近所さんの大学生。ブリの弟たちとよく遊んでくれる。寒がりで、冬になると暖かい地域へふらりと旅行に行ってはお土産を買ってきてくれる。恥ずかしがりやで、つい頬が赤くなってしまいがち。一方で、きれいに真ん中分けされた前髪にはただならぬこだわりを持っており、崩れたところを見た人はいないのだとか。
ブリやヒラマサと比べて、身はほんのり赤み+黄みがかっているのが特徴。近年は養殖が主流で、希少な天然物は高級魚! ブリと比べて暖かい海域を好み、西日本に多く生息します。名前の由来は、正面から見ると頭に「八の字」のラインがあることから。夏から秋にかけてが旬。
【ヒラマサ】
ブリの同僚で、お坊ちゃまのエリート。スラリと引き締まったスタイルの良さから「貴公子」と呼ばれている。高級そうなお店に出入りしている姿をよく目撃されているグルメさん。ストイックな性格で、筋トレが趣味。
ブリ、カンパチよりも漁獲量が少ない、希少な高級魚! お寿司屋さんや高級料亭でよく扱われます。身のしまりがよく、脂肪が少ないさっぱりとした味わいが特徴で、「青背の貴公子」と呼ばれることも。夏が旬。
仲良し3人に聞いた! それぞれのチャームポイントは?
―よく間違えられるほど仲良しなブリ・カンパチ・ヒラマサ。お互いの良いところを教えてもらいました!
ブリくんは、頼れるお兄ちゃんだよね! やんちゃな弟たちの面倒もみて、しっかりもの!
一緒にいてホッとするというか、安心感がありますよね。
でもね、最近お腹周りの脂肪が気になるんだ…(汗)。 ヒラマサさんにパーソナルトレーナーとしてついてもらおうかな。
ヒラマサさん、毎朝ジムで鍛えてるもんね!
今の目標は、美しい大胸筋をつくることですね(キリッ
さすがヒラマサさん、ストイックだな〜! ところでカンパチくんは、今日も前髪がきれいだね。ヘアセットには何時間かけているの?
前髪がいのちだからね。きれいなカーブを作るために1時間はかけているよ。
■ブリ
・体全体に厚みがある
・胸びれが身体の中央の黄色いラインよりも下にある
・ヒラマサと比べて、目からエラまでの幅が長い
・口の端が角ばっている
■カンパチ(3種の中でいちばん見分けやすい!)
・全体的にうっすらと黄み+赤みを帯びていて、口の周りがほんのりとピンク色
・頭に八の字のラインが入っている
■ヒラマサ
・ブリと比べて身体が平たくスマート
・ブリと比べて身体の中央の黄色いラインがくっきりしている
・胸びれが身体の中央の黄色いラインに重なっている
・口の端が丸みを帯びている
それぞれの特徴を活かしたおいしい食べ方
同じ「スズキ目アジ科ブリ属」でも、形や味が違えばおいしい食べ方もさまざま。ここからは、ブリ・カンパチ・ヒラマサの特徴を活かしたおすすめ料理をご紹介します!
●「ブリ」のおいしい食べ方
お刺身、ぶりしゃぶ、塩焼き、照り焼き、煮付け、ブリ大根……などなど、パッと思いつくだけでも様々な食べ方が挙がるブリ。家庭料理で大活躍のオールラウンダーです。
●「カンパチ」のおいしい食べ方
身がしまっていて、コリッとした食感を楽しめるカンパチ。生がいちばん美味といわれ、お刺身やお寿司のネタとして人気。さっぱりとカルパッチョでいただくのもおすすめです。
●「ヒラマサ」のおいしい食べ方
ブリ、カンパチと比べ脂肪が少なく、さっぱりと食べられるヒラマサ。お刺身はもちろんのこと、塩焼きや煮付けなど幅広い調理法を楽しめます。脂肪が少なく筋肉質なため、火を通しすぎないようにするのがおいしく食べるためのポイントです。
***
ブリ、カンパチ、ヒラマサ。間違えられやすいけど、実は見た目も味わいもいろいろ。今回3人が紹介してくれた、それぞれの良いところを活かして、冬の食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか?
【イラストを描いてくれた人】
えのきのこさん/イラストレーター
[PROFILE]
2005年よりフリーのイラストレーターとして、雑誌、書籍、ウェブなど多岐にわたって活動しています。絵を描くときのモットーは「ほっこり笑える」。見た人が思わずクスッとするような、心があったかくなるイラストを描いています。現在、7歳と2歳の子育てに奮闘中。著書「マンガでわかる新感覚英会話」(高橋書店)「てくてく宮崎」(ワニブックス)他。
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