なす
季節の食材のHOWTO 2015.07.16
7月の旬食材|なすの基本|産地・種類・見分け方
[なすの旬の時期]
6~9月頃
[なすの特長]
代表的な夏野菜として親しまれているなす。原産国のインド東部から大陸各地に伝わり、中国から日本に渡来したなすは1000年以上にわたって日本全国で栽培されてきました。
もともと熱帯性の植物なので高温を好むのが特徴。成分の90%以上が水分で、炒め物や煮物、揚げ物、漬け物などさまざまな調理方法があり、日本だけでなく和洋中はじめ色んな国の料理に使われています。
[新鮮ななすの見分け方]
一般的ななすは、なす紺と呼ばれる濃い紫色をしています。ヘタはトゲが鋭くとがったしっかりしたもの、皮は色が濃くハリとツヤがあるものを選ぶといいでしょう。逆に種が変色しているなすは、鮮度が落ちているので要注意! 保存方法はラップに包んで冷蔵庫で3~4日、冷やしすぎると縮むので気をつけましょう。
[日本の主な産地]
なすは夏野菜の代名詞ですが、ハウス栽培などが発達した今では、季節を問わず一年中スーパーなどで手に入れることができます。大きく夏秋なす、冬春なすの2つに分けられ、季節によって収穫される産地も違います。
<夏〜秋>
夏から秋にかけては、茨城県・群馬県・栃木県などで多く収穫されます。気温が高い夏はなすにとって育ちやすい季節なので、露地の畑で栽培することができます。
<冬〜春>
寒い季節になると、高知県・熊本県・福岡県など温かい地方での収穫量が急増。ハウス栽培などが盛んなため、気温が寒くてもなすを収穫することができます。
[なすの種類いろいろ]
なすは種類によってさまざまな大きさ・色・形があり、バラエティに富んでいます。種類が非常に多いうえ、地方によっては伝統野菜になっているなどの特色があります。私たちが普段よく目にするのは「中長なす」といってやや細長い形をしたもの。でも国内や海外には、もっとたくさんの種類が存在しているんです。それでは代表的ななすを一部ご紹介します!
【長なす】
西日本で人気が高い20cm~30cmほどの長いなす。一般的な中長なすよりも長さがあるのが特徴です。福岡の「久留米長」「博多長」などが有名。果肉が柔らかく、焼きなすや炒め物や田楽に向いています。
【白なす】
紫の色素(アントシアニン系色素)も葉緑体も持たないなす。皮はかたく、加熱するとトロリとした食感になります。新潟県や鹿児島県など昔から全国各地に在来種があり、地域によっては緑色のものを「白なす」と呼ぶことも。全体的に収穫量は少なく、市場に出回ることはあまり多くありません。
【青なす】
別名「緑なす」。皮が薄緑色から緑色で白なすと同様皮がかため。加熱すると柔らかくなるため、田楽や焼きなすにぴったり! あくがなく色もきれいなので炒め物や煮物にもオススメです。埼玉の「青大丸なす」や、生でも食べられる「万寿満」などがあります。
【賀茂なす】
京都府の北区上賀茂で栽培されている丸なす。“京野菜”として有名で、肉質は固めで実が締まっており歯ごたえもしっかりめ。田楽にすると美味しいと有名ですが、浅漬けや煮物、揚げ物にしても美味しく食べられます。
【ゼブラなす】
別名“イタリアなす”とも呼ばれる西洋種。国内でも数は少ないながら東北、北陸、関西など各地で生産されています。縦じま模様が美しく加熱すると変色します。皮が硬いので加熱してソテーなどにするのがオススメ!
【米なす】
アメリカ種を改良した大型のなすで、種が少なく実がしまっています。国内では高知県をはじめ奈良県、新潟県などさまざまな地域で栽培されています。西洋なすはどれもヘタが緑色なのが特徴。実がしっかりしているので炒め物やソテーなどに向いています。
【水なす】
大阪泉州地方(岸和田市)特産のなす。みずみずしくて柔らかい実が特徴です。通常なすはあくがあり生食に向いていないと言われることが多いですが、水なすはあくが少なく水分量が多いため生食も可能。漬け物は全国的に有名です。
どこかで言いたい「なす」の雑学
●なすは、なぜ英語で「EggPlant(エッグプラント)」なの?
なすは英語で“Eggplant(エッグプラント)”といいます。直訳すると「たまごの植物」なのですが、私たちが普段目にしている紫色のなすは決して卵っぽくはありませんよね。なのに、なぜ“Egg”と呼ばれるようになったのでしょうか?
その答えは、なすの品種と歴史関係にありました! もともとアメリカでは、なすは原産国であるインドの「白なす」がもっともポピュラーななすでした。インドの野生種のほとんどは丸型や卵型の小なす。まるで卵が実になったように見えることから“Eggplant”と呼ばれるようになったといわれています。
●縁起がいい「一富士二鷹三茄子」の本当の意味
初夢にみると縁起がよいとされる「一富士二鷹三茄子」。「富士」や「鷹」に並んで、なぜ「なす」が縁起物として考えられているのでしょうか?
こちらも諸説ありますが、将軍徳川家康ゆかりの深い駿河国(現在の静岡県中央部)の高いものを順に並べたという説で、これが富士山、愛鷹山、初物の茄子の価格だといわれています。
また、徳川家康が好んだものの順であるという説も。なすは江戸時代に温室栽培され、冬につくることが可能でした。しかし、相当な手間と労力がかかるため、初物のなすは当然値段が高く、庶民が初物のなすを食べることは夢ようなことだったそう。
イラスト/はらぺこめがね
※参考サイト:農林水産省|平成26年産指定野菜(春野菜、夏秋野菜等)の作付面積、収穫量及び出荷量
※参考文献:「からだにおいしい野菜の便利帳」著:坂木利隆
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