対談 2018.07.04
水野仁輔さん×村田倫子さん|【第1回】カレー界&モデル界きってのカレーマニアが語る!どこまでも奥深い「カレーの魅力」
-
- 水野仁輔
- 1974年、静岡県浜松市生まれ。AIR SPICE代表。1999年に出張料理集団「東京カリ~番長」を立ち上げて以来、カレー専門の出張料理人として全国各地で活動。「カレーの教科書」(NHK出版)、「わたしだけのおいしいカレーを作るために」(PIE INTERNATIONAL)などカレーに関する著書は50冊ほど。「カレーの学校」で講師を務めている。現在は、本格カレーのレシピつきスパイスセットを定期頒布するサービス「AIR SPICE」を運営中。
- AIR SPICE
-
- 村田倫子
- 1992年、千葉県生まれ。モデル。ファッション雑誌をはじめ、テレビ・ラジオ・広告・ファッションショーへの出演など幅広く活動する一方、カレー業界では有名なカレーマニア。好きが講じて始まった連載『カレーときどき村田倫子』では、店選びから取材執筆までトータルにこなす。また、お酒大好きモデルの顔ももち、食べログマガジンにて『呑み屋パトロール』と題した外飲み連載も話題。
- 村田倫子Twitter
アマノ食堂に訪れる、お客さんの“おいしい話”をお届けするお客さん対談。今回のテーマは「カレーの圧倒的な魅力」について。
ゲストは、これまで出版してきたカレー本は40冊以上(!!)”カレースター”との異名をもつ水野仁輔さんと、その水野さんがこの対談で脱帽したほどのカレー好き、村田倫子さん。モデル界きってのカレーマニアとして知られています。
今や国民食としての地位をすっかり確立した「カレー」。その奥深さをもっと知るべく、カレーの魅力を知り尽くしたお2人に語ってもらいました。オススメの行くべき名店も登場♪ 全2回でお届けします!
週にどれくらいカレーを食べていますか?
週2回以上はラボでカレーを作る
(水野仁輔さん)
外に食べに行くのは週に2回くらいかなぁ。僕は自分で作るのがメインだから、イベントの仕込みやレシピの試作で作ることが多いです。週に2〜3回は作ってますね。
私は食べに行くことがほとんどですが、週に2〜3回くらい。昨日ちょうど、喜多見の『ビートイート(beet eat)』に行ってきました。
お〜!! 僕もそのお店のオーナーとは仲良くて。狩猟免許を持っている女性の方で、自分で仕留めたジビエを提供しているんですよね。
小田急線の喜多見駅まで行く価値のあるカレー屋さんですよね! 最初はカレー連載『カレーときどき村田倫子』の取材で行かせてもらったんですが、そこから気に入って。昨日は2度目の訪問でした。
僕、その連載をきっかけに村田さんのことを知ったんですよ。「お店のチョイスにこだわりがあるな〜」って感心していたんです。
取材するお店選びにはこだわりが
自分の趣味でチョイス
(村田倫子さん)
本当ですか〜! 嬉しい!!
最初は、「こんなマニアックなお店を、モデルさんがチョイスするはずない!」って思っていて(笑)。もしかしてリサーチャー的な人が選んでるのかなって。でも、記事を読んでいるうちに「これは相当なカレー好きだぞ…」と。
お店のチョイスは完全に私の趣味で、行きたいお店に取材させて頂いています。完全に職権濫用ですね(笑)。
多種多様なカレー!特に好きなジャンルは?
―日本で食べられるカレーの種類はとても豊富ですが、特に好きな「カレーのジャンル」はあるのでしょうか?
いろんなカレーを食べた結果、スパイスがたっぷりで、油が少なめの胃もたれしないカレーが好きだと気付きました。
“本場”を味わうために「スリランカ」へ!
(村田倫子さん)
そうなると、南インドかスリランカ系のカレーに行き着くんですよね。この前、本場のカレーをどうしても食べたくて、スリランカまで行ったんです。
マジで?すごいね(汗)! いつ行ったの?
4月頭です。「スリランカのカレーが食べたい!」と思って、友達を半ば強制的に連れて行きました。
4月でも、向こうは相当暑いよね。
そうなんです。3泊5日の弾丸で行って、暑いなかカレーを食べまくりまして…(笑)。最終日には少しだけコロンボを観光して。
僕も2月にインドに行って帰りにスリランカに寄ってきたけど、それは“行ったついで”だからね。
神戸にある『カラピンチャ』っていうお店の店主・浜田くんが、毎年2月に1ヶ月間スリランカに行くんですよ。たまたま日程がかぶったので、浜田くんご夫婦がホームステイしているマータラという街に寄って、何泊かして帰ってきたという。
へえ~。カレーによる素敵な繋がりですね!
もし、関西に仕事で行く機会があったら『カラピンチャ』のカレーは本当におすすめ。スリランカ系のカレーのなかで一番好きかなぁ。あとは、大阪にある『カルータラ』もおいしいよ!
水野さんが言うなら間違いないですね。関西のカレー屋さん、巡ってみたいな〜。
もう、ぜひ。『カルータラ』は一番最初にスリランカカレーを広めたパイオニアでね。もう大阪で20年くらいやってます。時間がなくても、関西に行く時はかかさず絶対に行く。
気になるなぁ~! 水野さんが一番好きなカレーの種類は何ですか?
いろんな変遷を経て
「スパイスカレー」の虜に
(水野仁輔さん)
「スパイスカレー」が好きですね!インドやスリランカのカレーのように、現地の食文化に寄ったものもあれば、日本人が独自で作ってるカレーもあって奥深い。日本だと、湯島の『デリー』が有名ですよね。
いろいろな変遷があったんだけど、最終的にはやっぱりインドカレーに行き着くんですよ。おいしすぎて、戻ってこれなくなっちゃう。だから村田さん。これから先はしばらく危ないな〜って、僕は思ってますよ(笑)。
戻ってこれなくなっちゃいますか!?
スリランカにも行っちゃったしね。でも、南インドやスリランカのカレーは本当においしいから、もうこうなったらどっぷり浸かって!
今まさにどハマりしていて。しばらくは抜けられそうにないかも…。
僕もその世界から戻ってくるまでに7〜8年はかかったかな。「インドカレーがこの世で一番おいしいんだ! だからとにかく毎年インドに行くんだ!!」みたいな。
7〜8年かぁ・・・!
だけど、数年前にちょっとだけ夢から覚めて。スパイスを使ったオリジナルのカレーや、日本人が作るインドカレーもいいなって。もちろん、南インドのカレーも魅力的ですけどね。
人が「カレー」に魅了される理由
―それほどまでに人の心を揺り動かしてしまう、カレーの魅力って一体何なのでしょうか?
カレーの一番の魅力
それは「香り」
(水野仁輔さん)
僕はやっぱり“香り”が圧倒的な魅力だと思います。スパイスの種類や量によって、香りはもちろん、味わいも無限に広がる。それがカレーの魅力です。
スパイスですよね~。最近は、ターメリック・クミン・コリアンダー・チリペッパーという基本の4スパイスは揃えて。あとは、気分で買い足しています。
その4つだけでも十分おいしいですからね。
私的には、この基本の4つだけでおいしいカレーが作れることがまず衝撃で!カレーって、追求し始めると完全に “沼” ですよね。
あはは!でもそれが楽しいんだよね。その沼にハマったら完全に戻ってこれないかも。
そうかもしれません(笑)。あと、私カレーを食べると超元気になるんですよ! すごく幸せな気持ちになる…。 カレー好きがきっかけでお仕事や出会いも広がったし、好きになってから良い連鎖が次々と生まれてる気するなぁ。
人を幸せにするよね、カレーって。そもそも、村田さんがカレーを好きになったきっかけって何だったんですか?
きっかけは「スープカレー」なんです。もともとは“カレー=実家の味”だったんですけど、カレー好きな友達と行った北海道の『サムライカレー』でスープカレーを食べて、「カレーにこんな形があるんだ!」って驚いて。それからいろんなお店に行くようになって、かれこれ3年くらいですが全然飽きません。
まだ3年!?凝縮っぷりがすごいね! もうスリランカ行っちゃうくらいにまでなってるんだから。
そうですね(笑)。 カレー屋さんに行くと、元ミュージシャンとか、いろんな経歴を持っている店主の方が多いですよね。そういう出会いも面白くて。
お店に行くのは、今だったら店主と話をしたいっていうのが一番の理由かもしれない。極端にいうと、席に座って店主とちょっと喋って、お水を飲んだら「じゃ!」って帰ってもいいくらい。
店主との出会いや
お店の背景を知るとさらに面白い
(村田倫子さん)
わかります(笑)。お店の人と話したほうが絶対良いですよね。自分で取材する時も、味はもちろんですけど、お店の背景にフォーカスして記事を書くようにしていて。そうすると、その場所で食べるカレーの味も違ってくる。
あと、結構な確率でお店の人も「話をしたい」と思ってるはず。カレー屋をやっている人って、少し哲学的というか、自分と向き合って好きな空間で好きな味を作って。それを喜んでくれるお客さんとコミュニケーションを取れることが一番!って思っている人が多い気がする。
たまに、サービス旺盛すぎて「原価は大丈夫かな…」みたいな時ありますよね(笑)。
それでいうと、大宮の『紅茶屋さん』が一番びっくりしました。もともと、ご自宅でお母さんが紅茶のお店をされていたんですけど、カレーを作って提供したら大好評で、そのままカレー屋になっちゃったというお店で。
へぇ〜。そのお店は知らなかった! お店の名前が『紅茶屋さん』なの?
そうです。ホームパーティみたいな感じで、テーブルいっぱいにスリランカカレーやデザートを並べてくれるんですけど、これが破格過ぎるんです。紅茶とセットで1300円くらい。
へえ~。カレーを愛する人に悪い人はいないね(笑)。それにしてもまだまだ知らないカレー屋があるなぁ。これだからカレーは飽きないんだよね。
(後編へ続く)
【本文に登場したお店】
『ビートイート(beet eat)』(東京・喜多見)
『カラピンチャ』(兵庫・神戸)
『カルータラ』(大阪・肥後橋)
『デリー』(東京・湯島)
『紅茶屋さん』(埼玉・大宮)
関連記事
RELATED ARTICLES