対談 2019.01.24
柳ゆり菜さん×按田優子さん|【第2回】「たかが餃子」水餃子好きが語る、幸せな人生を送るための餃子論
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- 柳ゆり菜
- 1994年、大阪府生まれ。女優。2014年にNHK朝ドラ『マッサン』で赤玉ポートワインポスターをモデルにした「太陽のワイン」の半裸モデルを演じて話題となる。出演作として映画『恋妻家宮本』、『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』、『純平、考え直せ』のほか、テレビドラマ『きみはペット』をはじめ、2019年は『人生が楽しくなる幸せの法則』(YTV・NTV)などの出演が控えている。
- 柳ゆり菜 Twitter
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- 按田優子
- 1976年、東京都生まれ。保存食研究家、東京・代々木上原、二子玉川にある「按田餃子」オーナー。菓子・パン製造、乾物料理店などを経て独立。その土地の気候を生かした保存食作りが得意で、ペルー・アマゾンで食品加工専門家として指導にあたるなど幅広く活躍。著書に『たすかる料理』(リトルモア)、『男前ぼうろとシンデレラビスコッティ』(農文協)、『冷蔵庫いらずのレシピ』(ワニブックス)がある。
- 按田優子 Twitter
前回に続き、「お客さん対談」にお迎えしたのは、女優として活躍中の柳ゆり菜さんと、「按田餃子」オーナーの按田優子さんのお2人です。
対談テーマは今、話題の『水餃子の魅力』について。お2人が水餃子に魅了されたきっかけや、意外な食べ方などをお話いただいた前回に続き、後編では「按田餃子」に込められた按田さんの想いや、おいしい餃子の皮作りの秘訣についてお話を聞きました!
人気の水餃子店「按田餃子」に込められた想い
―按田餃子は行列ができるほどの人気店ですが、按田さんが最もこだわっているのはどんなところですか?
「誰でもウェルカム」な店でありたい
(按田優子さん)
どんな人でもお店に来てほしいなという思いが強いです。例えば、今日はすっぴんだから行けないとか、おしゃれで入りづらいとか、お店に入るのを少し躊躇しちゃうときがあるじゃないですか。そんなときでもためらいなく入れて、来てくれた人が自由に、勝手に使えるようなお店でありたいと思っているんです。
女性はとくに、ありますよね。
お店の理念に、「包みたい 助けたい 按田餃子でございます」っていうのを掲げてるんですね。
はい。
どんな人にも居場所として存在していたいって思うんです。人間一番淋しいときって居場所がないときだと思うから。でもそんなときに自分から「助けてほしいです」って言いづらいじゃないですか。だから「助けますよ」と言えば、助かりたい人が来るかなって。
「誰でもウェルカムだよ」って言ってくれている感じがその言葉でわかりますもんね。
そうそう。オープン当初は女の子が1人でも入れるお店というのを意識していたんだけど、年配の男性のお客様も結構来てくださるんです。脂っこい食べ物を受けつけないから、さっぱり食べられる水餃子になっていくみたい。
ちゃんとお腹にもたまりますしね。
だから、男性が入りづらい店にもしたくない。例えば、カップルで女の子が「按田餃子に行きたい」って言っても、男の子が入るのが恥ずかしかったら嫌じゃないですか。だからカップルでお店にいても変じゃない感じというか。そういうふうにしたかったんです。
運命に導かれるように開いた、餃子店
―もともと、按田さんは餃子屋さんをやりたかったわけじゃなかったのに、どのようにして水餃子のお店を開く決心をされたんですか?
ずっと付き合ってきた「粉」に導かれて
(按田優子さん)
餃子屋さんになりたいわけじゃなかったけれど、餃子を作るのはすごく得意なんですよ。昔はパンとお菓子をずっと焼いているような、小麦を扱う仕事をしていたので粉の扱いがわかるというのが大きかったです。
そうなんですか! たしかに、それって餃子作りにつながりますよね。
つながりますよね。あと、親戚の叔父さんが秩父で製麺所をやっていて。この皮たちもその叔父さんに打ってもらっているんですよ。そういう「粉つながり」ですよね。
なんだか運命的ですね。私、餃子の皮フェチとしては、皮の色が白ではなく茶色っぽいのが気になっているんですけど……。
その色はハトムギの色です。ハトムギの粉を練りこんでます。
ハトムギ!? 入れることによってどうなるんですか?
ハトムギは食物繊維や鉄分が豊富で、お肌に良いと言われています。血液を浄化してくれるから血色が良く見えたり…。でも、なかなかハトムギの粉を日々のお料理に取り入れるって難しいですよね。だから、餃子に練りこんじゃいました。
助かりますね(笑)!
お母さんが子どもに、「にんじんを食べてもらいたいからハンバーグにこっそり潜める」ような感覚で、無理やりみんなに食べさせているんです(笑)。
気付かないうちに美肌効果ですね。おもしろい!
せっかくお店だから、不特定多数の人に食べてもらえるじゃないですか。そういうふうに使えたらなと思って、私たちはハトムギ粉を入れています。
かわいらしい見た目に隠された
本当の理由
―色もさることながら、花のつぼみのように丸みを帯びた形も特徴的な按田餃子。形にもこだわりがあるのでしょうか?
これは誰でも作れるように簡単な包み方にしているんですよ。簡単だったら色んな人にアルバイトしてもらえるでしょ。
えぇっ! そんな理由なんですか!?
餃子屋さんでよく見かけるヒダのような形にするのは難しいし、時間がかかるので。
どうやって包んでるんですか?
丸い皮を半分に折って、それで半月の両端をぺたっと重ねると、これになるんですよ。
たったそれだけですか?
そう。それだけです。
水餃子、やっぱり皮が好き
(柳ゆり菜さん)
すごい簡単! それでこんなにかわいい形になるんですね〜。でもかわいいだけじゃなくて、この形であることによって「接続部」っていうんですか? 繋がっている部分の食感がまず最初に味わえるから、私の好みな食感になっているんです。
あはは。接続部が好きなんですか?
好きなんです。ヒダタイプの水餃子だと食感がちょっと物足りないんですよ。
接続部が(笑)。すごくおもしろいです。
ごめんなさい。変な人ですよね…(汗)。
柳さんの皮へのこだわり、すごいですよね。皮にこんなにこだわる人、初めてお会いしました(笑)。
とにかく、皮が大好きで! シュウマイや小籠包は具がメインで、それを包むためであったり、こぼれないために皮がある感じじゃないですか。要するに、ほぼ器なんですよ。
なるほど、器ですか。
でも餃子は私にとって皮が主役。そこにスパイスとして、中の餡があるところが良いですよね。…って、なんかまた熱くなってすみません(苦笑)。
社訓「たかが餃子」に込めた想い
(按田優子さん)
「按田餃子」の皮は最高です。かわいくておいしくて、健康にもいいんですもん!
もともと、餃子について研究したり詳しかったわけじゃないので、そんなに褒めていただけるなんて嬉しいです。
だからこそ、“枠を超えている”のかもしれませんね。餃子屋さんで修行をしていたら、この発想や味は生まれないような気がします。
そうかもしれません。「これこそが私が作った餃子なんですよ」みたいになっていっちゃうと、自分の世界だけで周りも見えなくなっちゃうし、世界が狭くなってしまう。だから「たかが餃子」と思っています。あ、もちろん良い意味ですよ(笑)。
たかが餃子(笑)!!
餃子にこだわっていくよりも、例えば「人に意地悪をしない」とか、そういうことのほうが大事というか。そういう意味で、たかが餃子に対してそんなに熱くなりすぎないようにしないとなと思っているんです。それが社訓になっています。
何かあったときに戻って来られる、みたいな?
そうそう。たかが餃子なんだから(笑)。
それ私、お父さんにも同じようなこと言われます!
失敗しても大丈夫と思えた父の言葉
(柳ゆり菜さん)
小さい頃も芸能界に入ったときも、「ゆり菜の人生にとってそれは一部だから、そこをゴールにするんじゃなくて、ちゃんと幸せな家庭をもったり、人としての幸せを手に入れたり、そこにたどり着くための通過点だと思ってやりなさい」って。
素敵なお父さん!
「それに翻弄されて周りに誰もいなくなっちゃったり、成功は手に入れたけど人間としての幸せは感じられなかったりしたら意味がない。肩の力を抜いて、楽しんでやることが大事だから」って言われたんですよ。
うんうん。
「熱くなりすぎないように」って。いまだに「ゆり菜、ちょっと真面目すぎるよ」みたいなことを、父から急に言われます(笑)。按田さんのお話を聞いて改めて、肩の力を抜こうって思いました。
そういうふうに、立ち戻るところがあると安心しますよね。
そうしたら冒険もできるし、失敗したって平気。ちゃんと大事にしているものがあるから。人として、そのほうが魅力的ですよね。
すごくいい話。お父さんにそうやって言ってもらえたら、すごく嬉しいですね。
はい。まさかの「按田餃子」の社訓と柳家の教訓が一緒でした(笑)。
―楽しいトークをありがとうございました! 対談後は、アマノフーズの人気商品「おしるこ」でほっとひと息♪『しみる〜♪ ほっとしますね。外の撮影で寒いときでも、紙コップとお湯だけですぐ飲めて便利ですね』(by柳ゆり菜さん)
「あんこもフリーズドライなんですか? 粒がふっくらしていてフリーズドライとは思えませんね〜。とってもおいしいです」(by按田優子さん)
試食しながら、柳さんがお店で気になったことを按田さんに聞いてみました。
餃子の調味料に黒酢が置いてあるのって珍しいですね。あと、醤油系の調味料がないのには何か理由があるんですか?
共同経営者の鈴木さんが、「お醤油味にしたら何だっておいしいだろう。それはずるいから」って言って。
カメラマンさんの案だったんですか!
きれいさやかわいさ、おいしさとかって、いろんな形があるじゃないですか。「按田餃子」に来たら「お醤油じゃないおいしさ」みたいなのを体験してもらいたいなと思って。
はい。今日はたっぷり体験させていただきました!
…とはいえ、「お醤油ありませんか?」と言われたら出すんですけどね。
ふふ。そういう優しさ、按田さんらしいですね。
でも、ものすごく仕方ない感じの顔で出すんですよ。あぁ、ちょっと寂しいって(笑)。
「一応、ありますけど……」みたいな(笑)。私も、按田餃子はぜひオリジナルの調味料で食べてほしいです!
***
初対面のお2人でしたが、水餃子を通して一気に距離が縮まった様子。
最後は、餃子の皮好きの柳さんが「今度、按田餃子に皮を包むバイトに行きたいです!」と按田さんに直談判(!?)し、「いつでも来てください。バイト募集しています」と、按田さんが快く引き受けていたのが印象的でした。
本日は素敵な対談をありがとうございました。またのご来店をお待ちしています。
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(文/大西マリコ 写真/パタヤナン・ワラット (vvpfoto) 撮影協力/按田餃子 二子玉川店)
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