対談 2019.04.01
藤井快選手×杉本怜選手|【第2回】若手選手には負けられない! 目指すは強くてカッコいいおやじクライマー!?
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- 藤井快 選手
- 1992年静岡県生まれ。都内のクライミングジムで働きながらプロクライマーとして世界で活躍する「会社員クライマー」。国内最高峰の大会『ボルダリングジャパンカップ』では2016年から2018年にかけて男子史上初の3連覇を達成。
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- 杉本怜 選手
- 1991年北海道生まれ。名門高校から早稲田大学先進理工学部に進学。2013年、大学3年生で出場したW杯にて優勝を飾ったことから、卒業後はプロクライマーの道へ。「理系クライマー」と呼ばれることも。2018年、5季ぶりに『ボルダリングW杯』第6戦ナビムンバイ大会で優勝を果たした実力選手。
- 杉本怜Instagram
前回に続き、「お客さん対談」にお迎えしたのは、プロフリークライマーの藤井快(こころ)選手と、杉本怜(れい)選手です。
対談テーマは「スポーツクライミング の魅力」について。前編ではお2人がクライミングを始めたきっかけや、日本がクライミング強豪国と言われる理由などをお話いただきました。
続く後編では、スポーツインタビューではあまり語られることのない!? お2人のプライベートなお話も深掘りさせていただきました!
―普段から食事に行ったり、家に遊びに行ったりと仲良しなお2人ですが付き合いは長いですか?
怜くんと初めて会ったのは一緒に出場したワールドユースの大会かな? 僕が高校3年のときだから、もう10年くらい前。仲良くなったのはここ5年くらいですよね。2013年のワールドカップくらいからかな?
そうそう。快と一緒にワールドカップに出場した年だから2013年。
写真に撮るほどすごかった、伝説の寝癖?
(藤井快選手)
一気に距離が縮まったのは2015年のトリノ合宿のときですよね。ユースの選手に混ざってイタリアに合宿に行ったとき、宿泊先で初めて同じ部屋になった。
大人で行ったのは快と僕だけで。ユース選手にコーチとして教えながら、自分たちもトレーニングをする合宿として参加したんだよね。同じ部屋、楽しかったなぁ。
怜くんの寝癖がすごかったのをめっちゃ覚えてます(笑)。写真撮ったもん。
寝癖で言えば、ドイツに遠征に行ったときの快の寝癖の方がすごかったよ! 両耳の上にツノが生えてるみたいになってたじゃん!
あー、思い出した! 髪が跳ねてツノみたいになっていましたね。懐かしい(笑)。怜くんとは歳も1つしか変わらないので、話も合うし居心地がよかったです。
快の家でホームパーティーもしたよね。
ホームパーティー、楽しかったなぁ。でも僕はまだ怜くんの家に行ったことがないんですよね。お呼ばれされたいなぁー。
うち、狭いんだよなぁ…。それでもよかったら全然来てほしい、 ホームパーティーやろう!
―プライベートでも仲良しなお2人。選手としては、お互いのことをどのように見られていますか?
僕は、選手の中で怜くんを一番応援しているかもしれません。
えっ、本当に!? どうして?
2014年に怜くんが大会で怪我をしてから復帰するまで、たくさんの苦労を近くでずっと見てきたので。去年(2018年)の大会で優勝をしたときは本当に感動しました。過去を知っているので「勝ってほしい!」と心から思える選手です。
自分以外で、ね?
はい、僕以外で(笑)。とはいえライバルなので、僕も勝ちたい。
それはそうだ。
選手仲間のみんな、誰が勝っても嬉しいですけど、中でも怜くんの勝利はすごく嬉しいんです。
藤井快は、努力の人
(杉本怜選手)
ありがとう。快は俺より何でもできてしまうから、そんなふうに言ってもらえて嬉しい。今、代表で戦っている子たちは高校卒業くらいから活躍している選手が多いけど、快は大学卒業くらいからグッと調子が上がってきて、大人になってからここまで伸びた。これはかなりの努力がないと難しいことだよ。
嬉しいです。同じ時代を生きて、感覚的にも近い部分もあったりして、怜くんとはお互いに高め合っている気がします。
―お互いをリスペクトし、クライミングを通して絆が深まっているんですね。日常生活のなかで、クライミング力強化のために行っていることはありますか?
僕は日常生活ではクライミングのことを極力忘れていたい。「今日はクライミングはゼロでいよう」みたいな。
メリハリは大事ですよね。僕はどちらかというと、ずっと考えてしまうからなぁ。色々考えて、抜け出せなくなることもよくあります……。
そうか。でもマジメでいいね。
過去の自分を見直すための日記
(藤井快選手)
あと、1カ月前からクライミングの日記をつけ始めました。
クライミング日誌? 僕もやってる。家ではクライミングのことを考えたくないと言ったけど、そういえば考えてるわ。
怜くんはどんなことを書いてる?
基本的にはトレーニングの内容と、自分はそのときに何を感じたのか、疲労感はどうだったかとか、主観的なことを書いてる。それ以外にも食事のことや他愛のないことも。
僕はそこまで本格的じゃないんですけど、何をした、何を食べたとか、簡単に書いています。
最初はコーチに勧められて書き始めたんだけど、結構いいよね。オン・オフが上手くできないとき、どうすればいいか、ちゃんと見直せるようになった。
過去の自分を見直すの、大事ですよね。僕はたまたま本屋で2年分の日記が書ける手帳を見つけて。2019年の日記と2020年の日記、同じページで読めるのが良いんですよ。
2020年は節目の年だもんね。
うん。良くても悪くても2020年までのことは残しておいた方がいいかなって。
―最後に、クライマーとしての今後の目標や、将来像について教えてください。
「あのオヤジ、つえー!」って言われたい
(杉本怜選手)
近い将来だと、キリアン・フィッシュフーバー選手みたいになりたい。32、3歳くらいまで現役で競技をしていたオーストリアのスター選手なんだけど、今でも強くてカッコいい。僕も将来「あのオヤジ、つえー!」って言われるような存在になりたい。だから、まだまだクライミングに食らいついていきたいな! しんどいけど…。
うん、しんどいですよね……。
しんどいけど、目指す! その後はどうしようかな。どんな形であれ、クライミングに楽しく関わっていられるといいなと思うよ。快はどう?
僕はどうだろう。とりあえず直近の目標としては、東京五輪に出場して、メダルが欲しいです。絶対に欲しい。その後は家族との時間を一番大切にしながらクライミングに携わっていきたいです。
将来的にはコーチとかも考えてる?
コーチ、やってみたいです。いつかはコーチの資格を取って、代表選手に貢献したいとは思っています。でも、そもそも僕は教えるのが上手いのか? どうなんだろう? って考えてみたり。その辺はまだわからないですね(笑)。
超贅沢だな! 藤井快に教えてもらえるなんて。
いやいや(笑)。でも僕も怜くんと一緒で、30歳を超えても続けていたいというのは1つの目標なんです。
いいね! いつまで行けるかなって考えちゃうけどね……。
35歳まで現役で登りたい!
(藤井快選手)
ボルダリングの競技だと30歳を超えたくらいでほとんどの選手が引退しますよね。でも、ボルダリングが年齢的にキツくなっても、リード種目とかもあるから、頑張れる舞台はまだいっぱいあるとも思うんです。だから35歳くらいまでは……。
おぉー! 結構いくね。あと9年。
将来はどうなっているかわからないけど、選手として行けるところまで行きたいですね!
うん! 「若い子にはまだまだ負けられない」って気持ちを持ってやっていきたいです。
―楽しいトークをありがとうございました!対談後は、アマノフーズの人気商品「いつものおみそ汁 とん汁」でほっとひと息♪
「アマノフーズさんのおみそ汁、海外の試合でもよく飲んでいます! とん汁は初めてだ。野菜や肉もしっかりしていて食べ応えがありますね」
(by.藤井快さん)
「わぁ、めちゃくちゃ豚汁! フリーズドライって今、こんなにスゴイの!? ごはんのお供として立派な一品になりますね」
(by.杉本怜さん)
―試食いただきながら、お2人の「勝負メシ」について質問してみました。
勝負メシというか、僕らはいつも「大戸屋」(定食チェーン店)ですよね(笑)。
そう、「大戸屋」!
国内遠征だと前泊することが多いので、試合前日とかに行くんです、怜くんと2人で。
「大戸屋」って全国にあって便利だし、定食がおいしいんだよね。
「ばくだん小鉢」(たまご・とろろ・おくら・まぐろ・納豆を混ぜて味わう小鉢メニュー)を付けるのが定番なんです。うまいですよね。
ごはんでゲン担ぎとかしてる?
昔は近所のラーメン屋で「味噌チャーシュー(大盛り)」を食べるのがゲン担ぎだったかも。試合前日に食べると勝率が結構高くて。席も毎回同じところに座るんですよ。
「ここぞ!」ってときにやるといいことってあるよね。毎回やってしまうと、逆に効果が薄れてしまう…。
そうなんですよ。「最近食べていないな、行くか」と思って食べに行くと、翌日の試合で優勝したり。本当なんですよ、これ!
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公私ともに仲がよいお2人の対談は、始終リラックスしてなごやかなムードでした。
プライベートでは、お2人とも「最近、ゲームにハマっている」ということで、情報交換もしていましたよ!
これからのご活躍も応援しています!
本日は素敵な対談をありがとうございました。またのご来店をお待ちしています。
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(文/大西マリコ 写真/パタヤナン・ワラット (vvpfoto) 撮影協力/B-PUMP荻窪店)
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