対談 2019.11.18
植木俊裕さん×井口タクトさん|【第2回】 早うまレシピあり! 次世代の男性料理家が感じる料理の魅力とは?
アマノ食堂に訪れる、お客さんの“おいしい話”をお届けする「今週のお客さん」。
ゲストは前編に続き、料理研究家の植木俊裕さんと、料理家の井口タクトさんです。
『インスタ発!男の料理のこだわり』をテーマに、インスタを通して料理を発信することへの思いについて語っていただいた前編に続き、後編は料理のお話を中心に対談! フライパンだけでできる簡単おいしい男子料理レシピにも注目です。
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—— 後半では、簡単にできる男子料理を披露していただきます! それぞれどんな料理か教えてください。まずは井口さんお願いします!
お酒のおつまみにぴったりな「トマトのチーズ焼き」です。フライパンで作ってそのままテーブルに出せるので、ホームパーティにもぴったりですよ。
焼肉のタレで簡単味付け「トマトのチーズ焼き」
【材料】…2〜3人分
・ トマト:大3個
・ 焼肉のタレ:60〜80ml
・ オリーブオイル:大さじ2
・ パセリ:適量
・ チーズ:適量
※焼肉のタレ:とろみのあるタレは焦げつきやすいので60ml程度、サラッとしたタレは80mlで調整しましょう
【作り方】
1.トマトはヘタをくり抜いて厚めの輪切りに、パセリは葉の部分を手でちぎり、みじん切りにする。
2.オリーブオイルをフライパンに入れて熱し、輪切りにしたトマトを中火で両面こんがりと焼く。
3.トマトが焼けたら、焼肉のタレを全体にまわしかけ、ぐつぐつさせて炒め煮に。仕上げにチーズ、パセリの順にかけて完成!
ご自宅にバーナーがある方は、仕上げに炙ると香ばしさが加わり、トマトの甘みが引き立ちます!
ー植木さんオススメのレシピもおしえてください!
僕は洋風の「しいたけの肉詰め」を作ります。しいたけを丸ごと楽しめるので、きのこ好きにはたまらないと思います。クリームチーズとみそのソースで和洋折衷に仕上げます!
「しいたけの肉詰め」みそクリームチーズのせ
【材料】…2〜3人分
・ しいたけ:8個
・ 玉ねぎ:1/4個
・ 豚ひき肉:80g
・ 塩:少々
・ 醤油:小さじ1〜2
・ みそ:(みそとクリームチーズが1:4になるように、お好み量で)
・ クリームチーズ:(みそとクリームチーズが1:4になるように、お好み量で)
・ パプリカパウダー:お好みで適量
【作り方】
1.玉ねぎをみじん切りに。しいたけは軸の部分を切り落として細かく刻み、カサの部分はそのまま残しておく。
2.ボウルに1の玉ねぎとしいたけの軸、豚ひき肉、塩と醤油を入れ、こねるようにして混ぜてタネを作り、しいたけのカサの中にタネを詰める。
3.フライパンにオリーブオイルを入れて熱し、2のタネ部分を下にして2分程度焼く。タネ部分がこんがり焼けたら、裏返して5〜7分程度焼く。
※しいたけから水分が出るので、フタをせずに焼きましょう。
4.焼いている間にクリームチーズとみそを混ぜておき、肉詰めの上にのせる。仕上げにパプリカパウダーをかけて完成!
—— どちらも彩りよく、とってもおいしそうです! どうぞ食べながらお話を聞かせてください。お互いのお料理の味はいかがですか?
しいたけの肉詰め、おいしい! まろやかでコクのあるソースとしいたけがよく合いますね! クリームチーズとみその組み合わせいいですね。
これも野菜と薬味と発酵食品の「#ややはつレシピ」なんだけど、薬味にはスパイスも含まれていると思っていて、これでいうと最後にかけたパプリカパウダーが薬味だね。
なるほど! 面白いですね。
タクトくんの「トマトのチーズ焼き」もおいしいよ! トマトの水分と焼き肉のタレの水分が合わさってすごくおいしい。これはお酒が進むね〜。
超シンプルなんですけど、焼き肉のタレとトマトって意外と合うんです。見た目もおしゃれなので、食卓が華やかになるところもポイントです。
—— それぞれの個性が輝く料理でしたが、ご自身の料理の「強み」や「こだわり」はどんなところにありますか?
僕が一番こだわっているのは、「ひと口目の感動」です。ひと口食べたときに「これ、おいしい」という言葉が出るごはんを目指していますし、そこは自信があります。料理教室とかも評判が良くて。
うん。タクトくんの料理、本当においしかったよ!
ありがとうございます! あと僕はお酒が好きなので、お酒を中心にレシピを考えることが多いですね(笑)。植木さんの料理は健康的で、素朴だけどどこかおしゃれですね。野菜のアレンジとか圧倒的にすごいです。
やさしい味とか、なじみ深い味で作るというのは、結構意識しているかもしれない。
料理だけで言うと、タクトくんと本当に対照的だよね(笑)。
—— 料理の味もさることながら、お2人の料理は盛り付けも素敵ですよね。そういった料理にまつわるアイデアのインプットはどこでされているのでしょうか?
外に出て、新鮮な感覚を料理に取り入れる
(井口タクトさん)
僕は外食するときは、まず見たことのない料理を頼みます。「こんな組み合わせあるんだ!」って発見が面白いですね。
分かる! 僕もとりあえず、一番味の想像がつかない料理を頼んでみる。
組み合わせが斬新だったら、似せられるじゃないですか。そうやってアイデアを膨らませていきます。
男はとくに、居酒屋とかに行っても決まった料理しか頼まないけど、それはもったいないよね。
わかります。あと僕は休みの日に書店に行って、ありとあらゆるレシピを読みますね。平日は会社員なので、土日を使って何千レシピとインプットしています。
―植木さんは、盛り付けの本も出されていますが、ビジュアル面ではどんなことに気をつけていますか?
上品すぎない「ナチュラルな美しさ」を目指す
(植木俊裕さん)
あまり「上品すぎない盛り付け」にしたいというのはあるかな。
「普段使いでおいしそうに見える盛り付け」みたいなイメージですか?
そうそう! 僕が「盛り付けエブリデイ」という本を出したとき、編集さんが僕で盛り付けの本を出したいと言ってくれた一番大きな理由が、やりすぎ感のないナチュラルな感じが良いと言ってくれて。
素敵ですね〜。たしかに僕もハレの日の盛り付けより、親しみやすい「ナチュラルな美しさ」を目指していて、こってりスタイリングはしない方です。
—— 盛り付けといえば、お2人のインスタでは「食器」にもこだわりを感じます。
お皿からのせたい料理を考える
(井口タクトさん)
僕は見ての通り、食器好きなので……。新しいお皿を買ったら「今日はこれにのせよう」って、お皿から料理を考えるのも楽しみのひとつです。
そういうのも料理の醍醐味だよね。ここ(井口さんのご自宅)にある食器はどんなところで買うことが多いの?
今はネットが多いですが、転勤で九州に住んでいたときは陶器市に行って購入していました。「有田陶器市」とか。植木さんは結構シンプルな食器を使われていることが多いですよね。
どんな料理にでも合うお皿を使う
(植木俊裕さん)
そうだね。僕は元々そんなにたくさん食器を持っていないんだよ。
なるほど、少数精鋭という感じですね。あと植木さんの奥さん、器のブランドもされていますよね。あれもスタイリッシュですよね、全部。
僕たちがデザイン・プロデュースしている「SOROI」は、女性的でも男性的でもないというコンセプトで作っていて、どれもユニセックスな食器だね。
料理がきっかけで、食器も作るようになったんですか?
そうだね。「料理に合うお皿」っていうのかな。料理に対して毎回お皿を変えられるくらいお皿を持っていればいいけど、普通の家庭ではそうはいかないので。だから、「どんな料理にでも合うお皿」というのを目指している。
—— 植木さん、井口さん、素敵なお話をありがとうございました!対談後は、アマノフーズの「クリームシチュー」と「ビーフシチュー」でほっと一息。
植木さんは「クリームシチュー」、井口さんは「ビーフシチュー」をチョイスされました。
すごい、ちゃんとゴロッとしたビーフが入ってる!
うん、おいしいね。濃厚でクリーム感がしっかり出ていますね。
普段コーンスープとかは食べるけど、こんな種類のものもあるんですね!
―ホッと一息ついて暖まったところで、最後に、お2人の思う料理の魅力について教えてください!
料理は気持ちを伝えられるもの
(井口タクトさん)
「気持ちを伝える」みたいなことを僕は料理に求めています。
具体的にはどういうこと?
料理って、毎日食べるものじゃないですか。毎日あるからこそ「変化を伝えやすい」ものだと思うんです。「料理で気持ちを伝える」ことが日常化していくというのが、僕の目指す姿なんです。
なるほど。
例えば、僕は昔サッカーをやっていたんですけど、試合に負けても勝ってもオカンはおいしいごはんを作ってくれていました。「今日負けたね」とか口で言われたら僕は怒ると思うんですけど、料理から「頑張ったね」って気持ちが伝わってきて、嬉しかったんです。
いい話だ……。
毎日そこにあるものだから変化を伝えられるし、気持ちを伝えられる。それがやっぱり食の一番の魅力だと思います。
日常に欠かせない存在だからこそ追求したい
(植木俊裕さん)
僕は食べることは、「第三欲求のひとつ」で、欠かせない存在だから追求しがいがある、それこそが魅力だと思う。
音楽とかは「興味ない」と言い切れれば切れちゃいますけど、料理やごはんは日常と密に接しているから欠かせないですよね。
家庭のごはんって、どんどん外食に近付いてきていると思うんだよね。外食ごはんを家で作れるようになって、全部外食のような……。だから、その崩れたバランスを取り戻さなきゃいけないと僕は思ってて、お母さんが昔作ってくれていたような、「ちょうどいいごはん」を作りたいんだよね。
なるほど。それは新しい発見でした。
それが料理の面白さだよね。身近なものだからこそ、こうやってきちんと向き合っていくべきだと思う。僕はデザイナーでもあるから、基本的に問題解決をしたいと思ってしまう。インスタグラムを始めた初期から、「問題と向き合う」というスタイルで僕は料理をしているのかもしれないな。
料理で問題解決! そんなふうに考えたこともなかったです! 味も対照的でしたけど料理に対する考え方もそれぞれ違いましたね。すごく勉強になります!
* * *
本日は楽しい対談をありがとうございました!またのご来店をお待ちしています。
【本日の一品】
シチュー2種セット
(6食入/箱 1,490円)
寒い時期にほっと体を温めてくれる秋冬限定商品。赤ワインの風味と牛肉のコクが合わさった深みのある味わいの「ビーフシチュー」と生クリームとチーズのコクとクリーミーさが特徴の濃厚「クリームシチュー」。アンテナショップではお1つずつお買い求めいただけます。
撮影/佐々木謙一
取材・執筆/大西マリコ
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