アマノ食堂に訪れる、お客さんの“おいしいお話”をお届けします。今回の対談テーマは、一度行ったら忘れられない「穴場の名店」について。

ゲストは、漫画からドラマ化された「ワカコ酒 Season2」（BSジャパン）で村崎ワカコ役を演じる女優・武田梨奈さんと、全国の飲食店を年間700軒以上食べ歩く、グルメエンターテイナー・フォーリンデブはっしーさん。予約の取れない店、行列ができる店、長く愛される老舗店など…日本にはまだまだ知られていない名店がたくさん！今回は、食べることをこよなく愛するお2人が通い詰める名店と、とっておきの店を見つけるコツをお聞きしました。

 

—まずは、お2人の自己紹介とこれまでの活動について教えてください。

最近は、「ワカコ酒 Season2」の主演をはじめ、女優業を中心に活動しています。きっかけは、小学生の頃に観た『3年B組金八先生』でした。主演の武田鉄矢さんの演技に感動して「女優になりたい！」と思ったんです。ドラマ内で武田さんが泣くシーンがあるんですけど、鼻水もかまわないほど号泣していて…人間のリアルな姿を表現できる演技力に「かっこいい！」って。それからお芝居に興味を持つようになりました。小学1年生の頃からオーディションを300回くらい受けて、正式にデビューできたのが16歳の時に出演した『ハイキック・ガール』という作品です。

小学生の頃から女優を志していたんですね。すごいなぁ。では…僕の自己紹介も。僕は“グルメエンターテイナー”という肩書きで、グルメブログ「イエス！フォーリンデブ★」の運営を中心に、グルメをエンターテインメントに昇華する活動をしています。肉フェスや全国餃子祭りなどのグルメイベントの応援団長も務めています。

はっしーさんは年間どのくらいのお店に行かれるんですか？

365日のほとんどが外食で、訪れるお店は年間で700軒を超えますね。女優の武田さんを目の前にして言うのも失礼なのですが、じつは映画や音楽にはまったく興味がなくて…（笑）。全ての興味が食に集中しているんです。

素晴らしい！まさに職人ですね。

「食」を通じて

世界中を笑顔にしたい

（フォーリンデブはっしーさん）

いやいや！小さい頃から食べることばかりに親しんできた生活だったからですよ。中学・高校は男子校で、食べて部活しての繰り返し。大学時代は電車賃を削って、大学近くの路地裏を散策しては気になった定食屋に食べに入っていました。その頃から隠れ家的な穴場のお店を探すのが好きでしたね。おいしいものを食べると、みんなが笑顔になって「頑張ろう！」っていう活力が湧くと思うんです。「人」を「良」くするって書いて『食』という字になる。僕も『食』を通じて、日本や世界を笑顔にできたらいいなと思っています。武田さんは食べることはお好きですか？

大好きです！普段からマネージャーさんに止められるくらい食べるんです（笑）。でも食べなきゃ動けないし、好き嫌いも一切ないので、気にせずに食べています。

そうなんですね！女優さんは食が細いっていう印象だったので意外です。

もともと祖母が居酒屋を経営していて、休日になると泊まりに行って、よく祖母の作ってくれた手料理を食べていました。好き嫌いの多い弟が残したごはんを全部食べてあげると、すごく褒めてくれたんです。それで「ごはんを食べると、こんなに褒められるんだ！」と思うようになって、食べることがすごく楽しくなって。最近はお酒も飲むようになったので、1人での食事もより楽しくなりましたね。

 

—お2人にとって食べることは “パワーの源”なんですね。日常に欠かせない“イチオシ“のメニューと習慣づけていることはありますか？

僕の座右の銘は、食で人生とお腹まわりを広げる“ウエストワイドストーリー”なので、美味しいものを食べて太ることをポジティブに捉えています。だから1晩で4軒ハシゴしちゃうこともあったりと、毎日毎日、全力を注いで食べています。とは言え、健康第一なので、じつは青汁を毎朝飲んでいたりしますが、それが秘訣だったりしますね。粉タイプより冷凍タイプのほうがフレッシュで、体の調子がより良くなるように感じています。

自分のペースで好きなだけ

食べられる「1人焼肉」は

至福のひととき

（武田梨奈さん）

食べることを楽しむには体調を整えることが大事ですよね。私は14年間、空手を続けているので、体を動かすことでバランスを保っています。最近は回数を減らしましたけど、一時期は毎日腹筋を300回していました。

すごい！

体を動かした後に、おいしい料理を食べることが楽しみなんです。はっしーさんはこれまでたくさんのお店を巡ってきたと思いますが、一番好きな料理って何ですか？

僕は、基本的に肉とお米が専門です。焼肉屋にはしょっちゅう行きますね。炊きたての土鍋ごはんに、アツアツの肉をタレに絡ませてオンザライスすると幸せな気持ちになります。焼肉業界は最近、ブランド牛ではなく牧場単位で肉質が注目されるようになっているので、鳥取の田村牧場や、兵庫の川岸牧場あたりの、スター牧場の牛肉は大好物です。

私もお肉が大好きなんです。焼肉も1人で食べに行っちゃいます。自分のペースで好きなだけ食べられるのは至福の時間ですよね。多い時は週に2〜3回くらい行きますよ。

1人焼肉とは、これまた意外ですね。焼肉で白いご飯も食べる派ですか？

絶対に食べます！

なんと！すごく嬉しいです（笑）

食べ物の中でもお米が一番好きなんですよ。焼肉屋さんに行って、肉よりお米を食べる割合が多い日もあるくらい。今は実家暮らしなんですけど、いつもお米を6合炊くんです。女性って体型を気にしたり、ダイエットでお米だけ手をつけない方も多いじゃないですか。でも、私はあまり気にせずに何杯でも食べちゃう。

お米は絶対マストですよね。僕もあまりにもお米が好きすぎて、「お米ソムリエ」の資格を取っちゃいました。

お米ソムリエ!?

ご飯と、相性のいいおかず。

“オンザライス”が最高！

（フォーリンデブはっしーさん）

米・食味鑑定士協会が認定する、「お米ソムリエ」（米・食味鑑定士）という資格で、お米のおいしさや品質を見極める鑑定士として“お米スキル”を磨いて、日本米の普及活動を行ったりもするんです。

すごいですね！すごく興味あります。はっしーさんおすすめのお米が知りたいんですが…。

お米って、ビールと一緒だと思うんです。例えば、辛口のビールはシャワーを浴びた後に爽快感を感じながら飲みたい。逆に、まろやかな口当たりのビールは疲れて帰宅した後にソファで寛ぎながらゆっくりと飲みたい…とか。飲むシーンによって、その時に選ぶビールも違う。お米もそれと同じ感覚なんです。

なるほど。興味深いですね。

唐揚げのようなこってりした食べ物に粘り気やモチモチ感のあるお米を合わせると、重くなっちゃんですよね。だから、さっぱりとした「はえぬき」や「あきたこまち」と合わせる。逆に、お米そのものを味わいたい時は、「コシヒカリ」や粘り気が強い「ミルキークイーン」がおすすめですよ。

面白いですね！私は、お米の中でも、しいて言うなら…やっぱり焼肉屋さんのお米が好きなんです。定食屋さんのふわふわしたご飯も良いけど、お肉に合うようにちょっと硬めに炊いたご飯が大好きです。

白米っておかずと合わせると、よりおいしさが増しますよね。僕はご飯を片手にさまざまなおかずを合わせて食べることを“オンザライス”って呼んでいるんです。

オンザライス！最高ですね〜。

 

—これまでお2人が訪れた中で、特に印象に残っている「とっておきの名店」を教えてください。

“日本一炊かれたい男”がつくる

代々木上原「おこん」の土鍋ご飯

（フォーリンデブはっしーさん）

東京にも名店はまだまだたくさんあると思います。都内だと、僕は築地・銀座・新橋・六本木・恵比寿・渋谷あたりのお店に行くことが多いですね。

私は、横浜生まれなので外食するなら横浜周辺が多いです。焼肉の他にも家系ラーメンが好きなんです。特に、横浜にある「光家」というお店のラーメンが好きで。カウンター席しかなくて、6名くらいしか入れない小さなお店なんですけど…いつも深夜1〜2時でも大勢の人が並んでいるんです。

僕も「光家」に行ったことがあります！おいしいですよね。

さすがですね！

実は、僕も横浜生まれなんですよ。

わぁ〜！一緒ですね。他に横浜近辺でおすすめのお店ってありますか？

横浜だと、センター南駅にある「炭焼喰人（すみやきしょくにん）」とか。 焼肉業界でブームになっている“塊肉”を真っ先に提供していたお店で、赤身肉を塊ごと焼いて、食べる直前にカットする。だからこそ、みずみずしい肉汁をたっぷり蓄えていて、肉好きにはたまりません。

おいしそう！今度行ってみます。

あと、武田さんに今、おすすめしたいお店があります！代々木上原の「おこん」という土鍋ご飯のお店なんですけど、店主がお米業界では知る人ぞ知る人物なんです。お店に全国からお米がたくさん送られてくるお店で、店主曰く「面接」と称したお米の査定があるんですよ。そこで、面接に合格すると、晴れてお店で炊いてもらえる。

お米の面接！お料理はどういうものが出てくるんですか？

初めに、お通しで土鍋ご飯が出てくるんです。まずは白米だけでお米そのもののおいしさを噛みしめて、その後に漬物やお刺身、牛カツ…などを一緒に味わう。そして締めにはまた土鍋ご飯が出てくるんです。

うーん！夢のような組み合わせ！最高ですね。お米の炊き加減も、やっぱり全然違うんですか？

全然違いますね。ここの店主はお米の炊き方も素晴らしいので、僕は店主のことを「日本一炊かれたい男」と名付けました（笑）。

ドラマの撮影で訪れた

幡ヶ谷・「魚貞」の日替わり定食

（武田梨奈さん）

私はここ最近「ワカコ酒 Season2（BSジャパン）」の撮影で、気ままな“ひとり呑み”をテーマにいろんなお店を回らせていただいて。そのなかで訪れた、東京・幡ヶ谷にある「魚貞（うおさだ）」という居酒屋が個人的におすすめです。新鮮なお魚やお酒が充実していますし。日替わり定食もあるので、日によって違う料理を味わえる楽しみもある。女性も1人で立ち寄りやすいお店ですよ。

武田さんは、1人でお酒も飲まれるんですか？

はい。去年、日本酒のおいしさに気付いてから1人で飲みに行くことも増えました。歩きながら良さそうなお店に出会ったら、そのままふらっと入ることも。

粋ですね。『食べログ』の評価3.0〜3.3点の中に隠れた名店が潜んでいるという持論がありまして、特にそれは地方だと顕著です。投稿数の少ない地元の人がちょっと良い評価をつけたところで数字として反映されにくいので、3.0〜3.3点の間を集中して探してみると、地元の人が通っているような良いお店がたくさん見つかります。

へぇ〜！実際に行ってみておいしかったお店はありますか？

長野・松本市「手打ちそば純」の

“だし巻き玉子”は絶品！

（フォーリンデブはっしーさん）

長野県松本市にある「手打ちそば 純」というお店ですね。投稿された口コミの評価をひとつずつ見ていくと、全体的にもかなり高いんです。そこで実際に行ってみたら本当に素晴らしいお店で、“だし巻き玉子”も絶品で、僕がこれまで食べてきた中で一番おいしかったです。

お蕎麦屋さんのだし巻き玉子なんて意外です…！私は、地方ならではの名物を探すのが好きです。なかでも、以前食べた愛媛県宇和島市の“鯛めし”にすっかりハマってしまって。ご飯の上に乗った鯛の切り身に生卵をかけて、卵かけごはんのようにかき混ぜて食べるんです。

鯛めし、おいしいですよね。新橋の「宇和島」というお店のランチメニューでも食べられるんですよ！

へぇ〜知りませんでした！今度行ってみます。はっしーさんは海外に行かれることは多いんですか？

去年はミラノ万博に行きましたよ。「おにぎり大使」として日本館のステージから世界におにぎりプレゼンをしてきました。その時は、ミラノ市内を食べ歩いたり、となり街のパルマにも足をのばして、チーズ工場や生ハム工場も見学もしたり。漫画「美味しんぼ（小学館）」に載っていたコースをたどって工場やお店を巡ってみるという、楽しいグルメツアーもできましたね。

すごいですね。今は、はっしーさんの紹介しているお店を参考にグルメツアーする方も多いんじゃないですか？

ありがとうございます。中にはブログを見ているだけで胃もたれする人がいるかもしれませんが、光栄です（笑）。武田さんは、海外の料理で好きな食べ物はありますか？

今一番気になるのは…

高田馬場の“ミャンマータウン”

（武田梨奈さん）

アジア料理が好きですね。特に、ミャンマー料理が好きで…。それこそ大好きなお米に合う料理がたくさんあるんですよ。タイ米と、ちょっとスパイシーで脂が乗っているお肉料理を一緒に食べるとすごくおいしい。食べ終わって、空になった器を見ると、店員さんがすぐにタイ米をよそってくれる。延々に食べちゃうので、ちょっと危険ですけどね（笑）。

いいですね。僕、ミャンマー料理って食べたことがないんですが、東京でも食べられますか？

高田馬場に“ミャンマータウン”というのがあって、そこで食べられるミャンマー料理が最近流行っているそうなので、すごく気になっています。

高田馬場にあるんですか！すぐに行きます。高田馬場だと…以前「米とサーカス」というお店でワニやウーパールパーの肉を食べたのが印象に残っています。

えぇ〜、ワニやウーパールーパーのお肉なんて食べたことない…。日本で食べられるんですね。行ったことない名店ってまだまだたくさんあるものですね。お話を聞いているだけでワクワクしてきました！

 

—最後に、女優とフードブロガーそれぞれの視点から“食”の楽しみ方と今後伝えていきたいことをお聞きしました。

自分にしかできない

“グルメエンターテイメント活動”

（フォーリンデブはっしーさん）

食べることが大好きなので、「食」に恩返しをしていきたいです。食事って、人を笑顔にするし、毎日を頑張れるエネルギー源だと思うんです。例えば、食事の時にカロリーを気にしている方も多くいらっしゃいます。でも、“カロリー”の意味って、和訳すると“熱量”なんです。カロリーを取って、人生に熱量を蓄えてこそ、より人生を頑張れる。これからもブログやSNSを通して美味しい情報を発信していくことはもちろん、自分だからこそできる企画・実施・発信まで一気通貫した“グルメエンターテイメント活動”で、いろいろな人を巻き込みながら、食を通じて世の中をハッピーにしていきたいですね！

芝居を通して

日本と海外の架け橋に

（武田梨奈さん）

素敵ですね！私はこれから女優として、日本だけでなくアジアを中心に海外での活動も積極的に行っていきたいです。14年間続けてきた空手や得意なアクションでは、体を動かすことを大切にしているので、日々の食事のバランスを考えることが必須です。しっかりと「食」を楽しみながら、一食一食を大事にしていきたいなぁって。今後、自分の芝居が日本と海外の架け橋になれたら、これほど幸せなことないなって思います。

 

ーさて、そろそろ〆のお時間。今回、お話のお供にお出ししたのは「食べるもずくスープ　あっさり鶏だし（※販売終了）」です。

わぁ〜！お湯でこんな一瞬で戻るんですね。

おいしい！あっさりしていて食べやすいです。ごちそうさまでした！

 

—本日は素敵なトークをありがとうございました。またのご来店お待ちしています。

撮影協力 / 新橋 くろきん 和の家、MILLION CARATS