対談 2016.10.31
辛酸なめ子さん×まつゆう*さん |【第3回】この1本で変わった!わたしの「人生のバイブル映画」
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- 辛酸なめ子
- 漫画家・コラムニスト。1974年、東京都生まれ。埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著は『絶対霊度』(学研)、『辛酸なめ子の世界恋愛文学全集』(祥伝社)など。
- 辛酸 なめ子<次元上昇日記>
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- まつゆう*
- 東京生まれ、渋谷育ち。1998年からmedia iconとして、独自の“可愛いカルチャー”情報をウェブで発信している。TwitterやLINE、instagram等を紹介する著書や全編iPhoneで撮影された写真集を発表する一方で、国内外で影響力の高いmedia iconとして数多くのメゾンやブランドをクライアントに持ち、ウェブ、ブログやSNS、TVや雑誌など多方面のメディアで活躍中。
- matsu-you* personal media-tokyo kawaii life
全3回でお届けする映画好き女子によるシネマ対談、今回がついに最終話!ゲストは、独自の視点と鋭い観察眼でおなじみの漫画家、コラムニスト・辛酸なめ子さんと、「可愛いカルチャー」を発信し、多方面のメディアで活躍中のmedia icon・まつゆう*さん。第1回は、今、観るべき“おすすめ映画”、第2回では“秋の夜長に観てほしい映画”について語って頂きました。
最終回の今回は、たくさんの映画に出会ってきたお2人が選ぶ、影響を与えられた「人生のバイブル映画」を教えてもらいましょう。
[前回のお話はコチラ]
【第1回】 映画好き女子が選ぶ!今、観るべき映画とは?
【第2回】『アメリ』『君の名は。』…秋の夜長に観てほしい女子向け映画
—これまで観た映画で、印象に残っているシーンや登場人物のセリフはありますか?
加賀まりこさん主演の『月曜日のユカ』のオープニングはすごく印象に残っていますね。レトロなアップスタイルでコケティッシュな仕草に憧れて。“やっぱり私は悪い女でしょうか?”って聞く姿がたまらなく可愛いんです。
『黒い十人の女』のセリフに共感!
実生活でも救われた
(まつゆう*さん)
あと、『黒い十人の女』という映画は、奥さんの他にも9人の愛人がいて。ちょうど、作品がリバイバルされた時期に、友達の彼氏が私の女友達に、ちょっかいを出すっていう…作品の内容と似たような出来事が現実でも起こっていて。私は巻き込まれなかったんですけど、周りから相談されて誰にも言えず、1人で困ってたんです。そんな時に、久しぶりに映画を観たら“誰にでも優しいってことは、誰にも優しくないってことよ”というセリフがあって。思わずハッとさせられました。悩んでいる周りのみんなにもそのセリフを教えたらすごく共感してました。
真理をついていますよね。まつゆう*さんの周りでは、ものすごい恋愛がいくつも巻き起こってて、なんだか羨ましい(笑)。
でも、あくまで“周り”で自分には全然巻き起こらないんです!私に直接響くようなセリフではなかったんですけど…もし、そういう状況になった時に、きっと女の人はグッとくるセリフだな〜って思いました。
こういう会話って、映画以上に面白いかもしれない(笑)。
そうかもしれませんね(笑)。なぜか周囲の恋愛ネタには恵まれていて。すごく年下の方と付き合っているとか、長年連れ添ったけど1年間口を聞いてないカップルとか。当の私は残念ながら、その話を聞くばかりなんですけどですね…。
『ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声』
少年合唱団の歌声が美しい
(辛酸なめ子さん)
でも、そういう時こそ、映画から学んだことを誰かにアドバイスできますしね。
そうですね!だいぶ話が逸れてしまいました(笑)。辛酸さんはおすすめシーン、ありますか?
『ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声』という作品でしょうか。少年合唱団を舞台にしていて、アメリカの不良少年の声がすごく美しい。その彼の歌声がすごくキレイでしたね。もともと、ウィーン少年合唱団が好きだったこともあって、映画のモチーフとなった合唱団のCDを探しに行ったりもしました。そこから影響されて、たまにキリスト教関連の雑貨屋さんに行くと、少年合唱団のCDを漁ってます。
日本にそんなお店があるんですか?
銀座の教文館とか、あと四谷にもありますよ。
すごく気になります。
癒されるんですよ。校長先生の役をダスティン・ホフマンが演じているんですけど、少年が主役なのに、なぜか校長先生のセリフがやたらと頭に入ってきて(笑)。 “君たちの歌声は神様から一時的に預かったものだ”とか、説教じみたセリフがなぜか印象的でしたね。
—ジャンルを問わず、これまでたくさんの映画と出会ってきたお2人。ご自身の価値観に影響を与えた“人生のバイブル”ともいえる1本を教えてもらいましょう。
『キャリー』の主人公と
十代の自分を重ね合わせて、励まされた
(辛酸なめ子さん)
18歳の時に、主人公と雰囲気が似ているってことで、おすすめされたのが初期の『キャリー』ですね。主人公のキャリーはすごく厳格な家庭に育って、なんとか頑張って行ったプロムパーティでいじめられてしまって…最終的に秘められた超能力を発動するんです。私の実家もわりと厳しかったので、すごく感情移入しました。最後に得体の知れないパワーを出すっていうのも、ちょっと怖い展開ではあったんですけど、「念じればなんとかなるんだな」って励まされましたね。
青春映画って感じですよね。
そうですね。青春映画にも一時すごくハマっていました。『チアーズ』や、今も『スプリング・ブレイカーズ』とか『グリーングリーン』とか…。そういう作品を見ると、精神的に若返って、パワーをもらえる気がするんです。自分がそこまで青春時代を楽しめなかったので、映画を観て疑似体験をするという感覚に近いのかも。
映画が与える影響って大きいですよね。私は『(500)日のサマー』を観て、クローゼットの中身をブルーに全部入れ替えました(笑)。
たしかに『(500)日のサマー』は、ヒロインのズーイー・デシャネルがブルーのワンピースを着ているイメージが強く残っていますね。
『(500)日のサマー』の虜に。
クローゼットの中身をブルーに一新
(まつゆう*さん)
当時、私は金髪でファッションも白やピンクが好きだったんです。でも、『(500)日のサマー』で、ズーイー・デシャネルの服や部屋の壁が全てブルーに統一されていたのを観て「素敵!」と衝撃を受けて。そこから影響されて、ブルー基調のファッションが多くなりました。
服の好みを一気に変えるのって、すごくお金かかりそう(笑)。
その通りです(笑)。でも当時、年齢も30歳を超えた頃で、そろそろ大人っぽい感じにシフトしたいなという願望も正直あって。だから、その時に観た『(500)日のサマー』が余計に刺さった、というのもあるかもしれません。あと、童話やディズニー映画だと“恋愛=結婚=最後はハッピーエンド”っていうストーリーがよくあるじゃないですか。だけど『(500)日のサマー』は“これは、ラブストーリーじゃなくて、ボーイミーツガールの話だ”と言う一節から始まるんです。
最後はハッピーエンドではないですもんね。
そうなんです!今までにないラブストーリーなので、すごく特別なんです。ありきたりなハッピーエンドじゃ物足りないって人も、かわいいファッションを見たいという人も、色んな女子にぜひ観てほしい作品です。
ーさて、お話はまだまだ尽きませんが、そろそろ〆のお時間。本日の一品は、あっさりとした和風だしのやさしい味わい「定番にゅうめん まろやか鶏だし」です。
さっぱりとした味で、食べやすいですね。
お湯を入れて、こんなにすぐに戻るんだ!家で映画を観ながらでも、すぐ食べれて良いですね。長編映画を観ている間にちょっと小腹が空いた時とか、あると結構嬉しいかも。
おいしかったです。ごちそうさまでした〜。
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撮影協力 / 池尻セレクトハウス(和光建物株式会社)
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