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田中美咲さん×川口真実さん|【第1回】私には関係ないと思ってない?彼女たちが「防災とAED」を広める理由

田中美咲さんと川口真実さん
  • 田中美咲
    田中美咲
    一般社団法人防災ガール代表理事。
    1988年生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、サイバーエージェントに入社。東日本大震災をきっかけとして情報による復興支援を行う公益社団法人に転職。2013年8月に「防災があたりまえの世の中にする」ことをビジョンに「防災ガール」を設立。津波防災の新しい合図であるオレンジフラッグを全国に広める「#beORANGE」を日本財団と共催にて立ち上げ。東京防災女性版の検討委員。2015年3月に同団体を一般社団法人化。2017年7月より滋賀県長浜市と連携し「生き抜く知恵」をアーカイブする事業を展開。好きなおみそ汁の具材はあおさ。
  • 川口真実
    1995年8月27日東京生まれ。元バイトAKB(時給1000円のアルバイト契約でAKB48の一員として活動するメンバー)として活動後2015年より、“あけて、貼って、スイッチ押すだけ”を合言葉にAEDの認知向上に取り組む『使おう♡AEDプロジェクト』の活動をスタート。現在は慶應義塾大学看護医療学部に通う現役女子大生。好きなおみそ汁の具材はなめこ。
田中美咲

アマノ食堂に訪れる、お客さんの“おいしいお話”をお届けする「お客さん対談」。今回の対談テーマは、「防災とAED」。ゲストは、一般社団法人防災ガールの代表理事を務める田中美咲さんと、元バイトAKBとして活躍後に『使おう♡AEDプロジェクト』を通して、歌とダンスを取り入れた普及活動を行う川口真実さん

防災とAED。命に関わる大切なことだとわかっていても「何だか難しそうだな…」って思っていませんか? 20代でありながら防災とAEDを広めるための精力的な活動が注目されているお2人の対談インタビュー。全2回でお届けします。

 

ー今回が初対面だというお2人。まずは、簡単な自己紹介をお願いします!また、それぞれの簡単な活動内容も教えてください。

田中美咲

2015年に一般社団法人防災ガールを設立

「防災のネガティブなイメージを変えたい」

(田中美咲さん)

一般社団法人防災ガールを2015年に設立して、現在は代表理事を務めています。災害発生時に役立つ商品開発や全国の共感者と一緒に防災を広めるプロジェクトの企画運営を通して、これまでの防災が持つ「面倒くさい」「ダサい」という、ネガティブなイメージを変えるために様々な活動を行っています。

以前メディアで取り上げられていた防災ガールの記事を読ませていただきました。メンバーの人数も多いですよね。どうやって募集をしているんですか?

今は、共同事務局長にメンバーが2名と、その他のボランティアとして関わってくれているメンバーなどを含めると120名ほどになります。メンバーは半年に1回募集して、書類審査と面接を行っているんです。

120名もいるんですね!すごい。

大学生と社会人が半々くらい。なかには被災経験者もいて、当時の話を同世代の人から直接聞く機会ってなかったし、その経験を活かしたいという声もあったりしました。

防災ガールって名前で「おちゃらけてるでしょ?」って思われることもあるんですけど…(笑)。でも、防災の商品開発をするときも、単に若者が好きそうなおしゃれなグッズを作るだけでは意味がない。実際に現場の声を直接聞いたからこそ分かるニーズも考えています。普段使いもできて緊急時でも役立つような、そのバランス感を上手く取り入れることが自分たちの強みだと思っています。

 

川口真美

2016年に『使おう♡AEDプロジェクト』をスタート!

「覚えやすい歌でAEDをより身近に」

(川口真実さん)

防災ガールが開発された商品を見て、「すごくかわいい!」って思っていました。自分で企画する仕事にも通ずるところがあってすごく勉強になります。

そう言ってもらえると嬉しいですね〜。川口さんこそ、使おう♡AEDプロジェクトの企画にも精力的に活動されててすごいなって思います。

『使おう♡AEDプロジェクト』をスタートさせたのは2015年からです。その前には、バイトAKB(※川口さんは、時給1000円のアルバイト契約でAKB48の一員として活動する「バイトAKB」のメンバーとして2014年〜2015年に活動経験がある)として活動をしていたので歌とダンスの経験と、現在大学で学んでいる看護の知識を活かして、AED(自動体外式除細動器)を広めていくための普及活動に力を入れてきました。

 

ーこれまでにない独自の普及活動に力を入れているお2人。防災とAEDについて自ら取り組むようになったきっかけとは?

川口真美

きっかけは「知人の突然死」

AEDの可能性をもっと広めたいと思った

(川口真実さん)

高校生のとき、知人が突然死で亡くなりました。人ってこんな急に死んじゃうんだ…とショックでした。それから突然死について調べるようになって。まず、健康に見える若者でも突然死の危険性があることにびっくりしました。それからAEDについてもっと深く知りたいと思ったんです。自分にもできることがあるんじゃないかと思ったのが始まりですね。

AEDの活動を始める前、他学部の友達にAEDの啓発をしていきたいという相談をしたら、「私は医療について詳しくないし、あんまり関係ないかな…」って言われてしまったんです。全く興味を持ってもらえませんでした。

その一言、すごくショックですよね。

「これが同世代のリアルな意見なんだな」って実感しました。だからこそ、そういう壁を壊していきたいと思ったんです。

私もAEDについて深く知っているわけではないんですけど、前に渋谷で偶然心肺停止状態で倒れている方を見かけて。周りにいた人たちは、こういうときにAEDを使うってことは頭では分かってはいるんだけど、使い方が詳しく分からない。いざ行動しようとしても「失敗したらどうしよう…」と怖くなってしまうのかもしれませんね。

そうなんですよね。でも、電源を入れて倒れている人に電極パッドを貼ったら、音声ガイダンスで通電ボタンを押す指示をAEDが出してくれるので、実はそんなに難しくないんですよ。貼り付ける位置もパッドなどに書いてありますし。あと、一番知ってほしいのは、AEDって電気ショックが必要な人にしか作動しない仕組みなんです。心臓が平常に動いている人には効かないので、まず失敗することはないんですよ。

それを事前に知っておくだけでも、「自分にもできるかもしれない」って安心感が生まれますよね~。

田中さんが防災の仕事に関わるきっかけは何だったんですか?

田中美咲

大学卒業直前に起きた

「東日本大震災」

被災地で困っている人の支援をしたい

(田中美咲さん)

東日本大震災が起きたのが、私が大学4年のときで。翌月から株式会社サイバーエージェントに入社してソーシャルゲームの開発に携わりつつ、休日になると被災地域へ支援に行っていました。そんな生活を送っているなかでいつの間にか、被災されて困っている方々の力になりたいという気持ちが大きくなったんです。1年半で会社を辞めて、福島で暮らしながら支援を行いました。

その行動力すごいです!

会社員時代の仕事は、防災と全く関係なかったんですけど、実は今役立っていることがあるんですよ。例えば、画面にあるボタンのデザインや色がちょっと違うだけで人のモチベーションが変わるというところからも、防災でも同じように少し表現を変えてみるだけで、「これならやってみたい!」って思う人が増えることがあるのかもって。

過去の経験が今の活動にもつながっているんですね。

そうなんです。これはあくまで経験談なんですが、小さい頃参加した避難訓練ってすごく面倒くさくありませんでした?誰もが必ず経験すると思うんですけど、“やらされている感”が強かったんですよね。あらかじめ準備されているものに参加するだけで、主体的に行動することははなかったし、そこに対して防災をポジティブに捉える機会なんて少しもなかった。そういうみんなが感じる、「ちょっと苦手」が大人になるにつれて「すごく苦手」になり、やらなくなってしまうのではなく、たまらなくやりたくなってしまうような防災を生み出したいと思いました。

Ingress

Ingress
リクルートグループのみなさんと2015年7月6日に開催した『次世代版避難訓練LUDUSOS』の様子。位置情報を活用し自ら考え行動しなければいけない避難訓練が全国的に話題に!

そこで、私たちは『次世代版避難訓練LUDUSOS』を考案しました。実際に街に繰り出して、指定の場所に足を運んでミッションクリアを目指すんです。ゲーム感覚で参加できる避難訓練があれば面白いんじゃないか、やってみたくなるんじゃないかと思って、「Ingress(イングレス)」というスマートフォンの位置情報ゲームを活用したものを開発したんですよね。

面白そう!やらされている感がなくて、ゲームみたいに楽しみながらできる避難訓練があったら、参加したくなりますね。

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【インタビュー後編はこちら】
[第2回]初めての防災は「無理なくできること」から。いざという時の衣食住の備え

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